10.《ネタバレ》 シモーヌ・シニョレにせよセルジュ・レジアニにせよ(少なくとも話の当初は)全然こんな顛末になる様にも思えないキャラではあるのですよね。特にレジアニは躰のナリも全然ゴツくないですし顔立ちもワリと甘い感じで、ソコにこれ見よがしにヒゲだけ蓄えてるモンだから個人的には何つーかマリオ(否、ルイージの方)にも見えてしまって……でも、かなり高度にノワールなラス前を越えてゆくと、結局行きついた先はスーパー純愛(悲恋)物語…という作品なのであって、ソコの質感には2人の繊細さは実にドンピシャだったかなあ、と(ラストシーンとか超・好かったですよね)。その意味ではシンプルに、ノワールとロマンスで二度美味しい映画だ、と言っても好いのかも知れません。コンパクトながらそのお得感も在る優れたクラシックだったかと。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-05-28 12:10:12) |
9.《ネタバレ》 ベッケルの作品は個人的に合うものと合わないものがあるのですが今回は後者の方でした。 シモーヌ・シニョレがあまり好きではないというところも起因するのですが。 ただ、過不足ない設定や男の友情、殺人といった要素が色々と絡み合ったものは見応えあったのかな、という感じでした。 全体的にあまりピンとこなかったのですが、終盤の、ルカを殺そうとするシークエンスからの流れは個人的に良かったです。 【クリムゾン・キング】さん [DVD(字幕)] 5点(2021-11-07 18:52:31) |
8.《ネタバレ》 娼婦マリーに恋した市井の大工マンダの破滅までの物語。口数少ない無骨なマンダの恋愛模様は盛り上がりに欠けますが、レイモンとの友情模様は胸熱にさせられました。パリッとしたお洒落な外見とは裏腹に卑怯で下衆なクズっぷりに血圧が上がったヤクザの親分ルカの存在が三人を引き立てており、物語を盛り上げてくれました。名匠のいぶし銀の秀作。原題「黄金の兜」=マリーの結い上げた髪 これを「肉体の冠」という意味不明なタイトルにした方の感性を疑います。 |
★7.映画の中盤、ワインとチーズを食するクロード・ドーファンの手にナイフが光る。 その禍々しい光沢、それだけでそのナイフが後々何らかの悲劇を引き起こすであろう ことを仄めかす。
説話上の段取りとして配置された単なる伏線に留まらない。 物語とは無関係にみえるさりげない細部でありながら何故か胸をざわつかせる、 その不吉な光沢の描写力が圧倒的なのだ。 それこそ、より映画的な伏線のあり方と云えるのではないか。
果たしてその刃はウィリアム・サバティエの胸を貫く事となり、 ナイフ、剃刀、と変奏される刃はラストのギロチンへと連なっていく。
その処刑シーンを階上から見届けるシモーヌ・シニョレの金髪。 その光沢もまた逆光の中でひときわ高貴に輝いている。
ダンスシーンの優雅な回転運動。 その中での、セルジュ・レジアニとS・シニョレの視線劇のスリリングなあり方。 決闘シーンのコントラストの利いた照明設計。 ルノワールゆずりのボートシーンの瑞々しさ。 小鳥のさえずりの官能的な響きと、 全編見所見どころに溢れている。
【ユーカラ】さん [DVD(字幕)] 10点(2014-01-30 21:37:18) |
6.《ネタバレ》 フランス映画が生み出した幾人もの名匠・名監督の中で、私にとってベッケルはたまらなく大好きな一人。監督としての器や世界観だけなら師匠ルノワールの方が上かもしれないが、映像作家としての技量(アクション/日常の穏やかな描写=緩急付けたメリハリのある描写で写し出すところとか)・出演俳優の魅力を存分に引き出しているという点では間違いなく彼の方が上手い、と個人的には思っている。でこの作品。芋みたいなレジアニ、ぽってりなシニョレをここまで魅力的な美男美女に描き出した事自体(特に愛する事を知ったシニョレの表情はまさに官能的)凄いのだが、緩急使い分けた描写=シニョレをのせた船が水面を走り、隠れ家にいるレジアニを尋ねるその美しさ/刑務所からの逃亡劇~親分を射殺するまでの緊迫感あふれるアクションそして断頭台のラストシーンまで、テンポのある語り口で見せてくれる彼の作風にしびれっぱなしですわ。「穴」「モンパルナスの灯」にも負けず劣らずな名作だよ、これは。 【Nbu2】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2011-08-21 22:00:32) |
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5.《ネタバレ》 なんちゅう邦題だ。センス悪過ぎ。古い映画には結構多い「一目惚れ」、これもそう。一目惚れにしちゃあ、セルジュ・レジアニは本人も登場シーンも地味過ぎで説得力がイマイチ・・・。何で彼? と思わせるのが狙いなのかと思わせるほど、その後のマンダはカッコエエのです。惚れた女にゃ命を賭け、友情にゃ惚れた女を捨てでも命知らずの義理を通す、こんなオトコ、今時地球上を這いずり回って探してもせいぜい1人か2人(根拠はありません)見つかればいいとこでしょう。方やヤクザの情婦マリーも硬軟あわせ持つ気風が良くてカワイイ女。最後は悲惨な幕切れですが、人間ドラマに満ちたなかなかの逸品ではないでしょうか。 【すねこすり】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2009-11-05 16:39:47) |
4.ベッケル作品の中では比較的、一般な評価が高い作品である。 しかし、個人的にはイマイチ乗り切れなかった。 シモーヌ・シニョレが自分の好みに合わなかったせいであろうか?? うーん、よく分からない。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-09-20 23:23:42) |
3.《ネタバレ》 大工という職業柄、庶民的な顔でなければならなかったのかもしれないが、マンダ役の俳優がちょっと存在感に欠けていたように感じられた(マリー役の人は適役だったけど)。 また、マンダとマリーがお互いに惹かれ合う心理的描写もはっきりとしてなかったと思う。 序盤くらいまでは気が強い女に見えたマリーが「私のこと好き?」なんて聞いたり、結婚式を覗き見しているときや髪をおろしたときは普通に可愛く見えた。女って、一見強そうに見えてもそういう可愛らしさがどこかにあるんだなぁ・・・って思った(勘違い?)。 【もっつぁれら】さん [ビデオ(字幕)] 5点(2006-02-12 22:19:14) |
2.ジャック・ベッケルほど緊張感のある「びんた」を描く監督はいない。同じ監督の「エドワードとキャロリーヌ」でもそうだったが、女性のびんたはすごい。なんでもない一瞬がサスペンスになる。「猟奇的な彼女」の「びんた」と見比べるのも一興。 |
1.《ネタバレ》 舞台は19世紀のパリで、娼婦マリーをめぐる物語であるが、肉体の冠というタイトルは原題”黄金の兜”というらしい。彼女の髪型からつけているという、、。どんな話なのかと思っていたら、けっこう日本のヤクザ映画のようでもあった。私はこの、シモーヌ・シニョレという女優さんが好きである。ドッシリとした圧倒的な存在感。それこそ極道の姐さんのようであり、目で勝負する女優さんだと思う。その彼女の魅力に取り付かれて悲劇的な運命をたどらなければならない男たちはとても哀れで仕方なかった。切ない思いが最後に残った。 【fujico】さん 7点(2003-11-09 15:31:59) |