15.《ネタバレ》 知り合いにDVDを貸されたので一応真面目に見た。お勧めというだけあって好きな人は好きかも知れないが、自分としてはまあ普通というところである。 その知り合いは、一生の最高の瞬間が「匂い」とともに思い出される、というところに感動したのだろうと勝手に想像していたらそれは当方の思い込みで、実際は映像の色彩感が好きだとのことだった(彩度の高い部分ではなく、灰色だか何だかわからない微妙な色がいい、というような話だったが理解不能)。自分としては相手役の女優2人が、演技のキャリアにかかわらず映像的に好印象なのが評価ポイントである。 ところで自分としては当初、解剖を通じて呼び覚まされた記憶や感情はどうせ主人公本人のものだろうと思っていたのだが、最後は死者との交感のようになっていた(生きろ、と言われていた)のは、いわば物的な人体に“魂”までが内在しているという感覚だろうか。だとすれば本当の別れが斎場になるのも自然なことと思われる。 主人公が最後に「医者の勉強は続けたい」と言っていたらしいのは一体何を研究したいのか怪しいもので、そのうちその辺の人間を無差別に解剖し始めるなどということになると別ジャンルの映画になってしまうわけだが、あるいはこれが医学上の大発見(心理学との統一理論など)につながる研究ということなのかも知れない。 なお劇中では解剖中の学生がオイデオイデをやっていたが、こういう場合の定番である「壁に耳あり」をやらなかったのは意外だった。 【かっぱ堰】さん [DVD(邦画)] 5点(2015-04-05 00:22:19) |
14.贓物デッサンがキモすごいが、意外と乾いた映画だった。これなら血が苦手な人でも安心して鑑賞できます。浅野忠信は棒俳優というかそこに味がある役者さんだと思うが、今回ははまり役。 【lady wolf】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-09-24 01:21:04) |
13.《ネタバレ》 「自分の恋人を解剖するっていう設定」が良い。俳優もなかなか良い。リサーチしただけあって解剖実習の場面場面の説得力もあって良い。でも踊りの場面とかが最悪。 【紫電】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-02-16 21:35:56) |
12.《ネタバレ》 んー、無機質さ、煙突、ラスト、Coccoがこの映画の見どころですかね…。 【まりんこ】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-12-14 15:49:10) |
11.《ネタバレ》 このDVDがホラー映画のコーナーに置いてあったんですけど、どう見てもこれはホラーじゃないですよね。現実的にはあり得ない話なんですけど、それでも主人公の気持ちはなんとなくわからんでもない。一度全部記憶がすっとんでしまってしかも元恋人を自分で解剖するなどという体験をしたら、サイケな世界を自分で作っちゃう心理状態というのもわかるような気がする。ただ予算の問題もあるのかもしれないけど、映像的にもっとやんちゃにメリハリをつけれたら、もっとよくなったようなに思う。幻想的な画をもっと幻想的に(涼子とのあっちの世界での出会いなど)、気色悪い画をもっと気色悪く(解剖のシーンなど)、そうすればもっと力のある作品になれたはず。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2008-08-28 02:03:52) |
10.解剖というテーマからして、とても興味をひき、映画館に足を運んだ作品。期待が大きすぎた為か、大満足とまではいかなかった。でも、塚本晋也の創る世界を、堪能できる作品だと思う。私の大好きな、沖縄の「中城城」がロケ地との事前情報を入手し観にいったのだが、あまり「中城城」の壮大さが描かれておらず、その点も不満が残った 【にじばぶ】さん [映画館(邦画)] 6点(2007-09-04 09:35:41) |
9.《ネタバレ》 博史と涼子。首を絞め合い、擬似の死を味わうことで生を感じ、同時につながりを確認する。相手が分からない。自分が分からない。分かるはずなのに分からない。それは見た夢を思い出せない感覚に近いのかも。記憶を失った博史。彼が涼子の体を解剖することになったのは必然だった。彼女を知ることは、彼女を通じて自分自身を知る作業でもありました。彼女の体の隅々まで観察する彼。体の仕組みを知ることで、心までも理解する。非科学的です。でもその感覚は分からなくはない。解剖はいわば死体との会話。いやSEXに近いか。その人の全てを知り尽くす感覚はそれ以上のものがある。博史の心の中で、生を謳歌するが如く踊る彼女。生きているときよりも活き活きと。そして深く交わる2人。彼女は今まで見せたことのないような、穏やかな表情を見せます。分かり合い、今を認識することで歩き出せる。「博史はまだまだ生きなきゃならないから」という彼女の言葉が胸をつきます。それが彼の妄想だとしても、希望を感じずにはいられない。さて、本作を理解する上で避けて通れないのが、“4本の煙突”の解釈。これが難しい。一見、工場の煙突。男性シンボルの象徴か。何で4本なのか。自信のある答えはとても出ませんが、自分の解釈は次のとおりです。煙突は献体(死体)焼却の意。(↓【トナカイ】様ご指摘のとおりです)。つまり4つの煙突は4つの死を表している。指し示すのは、作中で死が確認された涼子、中井教授、涼子の母。でも一人足りない。4人目は主人公と推測します。でも彼が亡くなっていたとは思えません。彼の場合は心の死。記憶喪失も言い換えれば、それまでの自分の死と言える。死んで、そして生まれ変わる。主人公はこの経験を乗り越えて、やはり医者を目指すといいます。希望は、COCCOのエンディングテーマと相まって、より強く光を増します。 【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-07-17 18:21:13) |
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8.この映画作家のものは以前『鉄男』をざっと観て流したほかは、『双生児』を一度観ただけだけれども、この人の素材への偏執狂的ともいえる熱中とこだわりには感服いたしました。無機質の鉄から有機質の人体へ。それも生きた身体でなく死体解剖へ。「記憶」ですら有機質に残された構造であって、生命とは持続する有機質の構造にすぎず、死者も誰か生者の有機質の構造に持続している限り生きている......。岸部一徳と國村隼は私の好きな俳優で、本作でも期待にたがわず光っておりました。浅野忠信もいつもの自然な演技を越えて、たんなる有機質の演技の域へと進み出ていて、よろしゅうございました。 【goro】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-07-03 19:37:18) |
7.これまで塚本晋也が一貫して描いてきたテーマは「何かに取り憑かれることによって外部へと開放される魂」だったと思いますが、今回はそのテーマが非常に判り辛い。記憶を無くした男が取り憑かれたのは自身の過去なのか、恋人との思い出なのか、恋人の死体なのか、解剖という行為なのか、それとも死そのものなのかが不鮮明。また物語自体も、外ではなく、内へ内へと向かっていく。基本的な物語構造は塚本映画らしくても、元々テンションの低い浅野忠信を主人公に据えてることで、テーマや作劇の方向転換を試みたのは明白。しかし結局、主人公(の心)の変化が最後まで伝わってこない。二人の女のキャラの立ち方も少し控え目。塚本監督にとって本作は、新たな段階への「助走」なのかもしれません、5点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-04-25 00:05:58) |
6.ただ単に解剖という一般には出来ないことをやりたかっただけで、それをえいがにするために安易なラブストーリーを絡めたというだけの映画。 |
★5.カルト映画を作る人は痛みというものの概念に独創性を持っているような気がする。心の痛みとかそういうのでもなくて、精神と肉体つまり精肉(by武田泰淳)がごっちゃなのか或いは等価なのか。痛みの境目が曖昧でありそこになんとなく惹かれてしまうような、一味違う感動を与えてくれるようだ。それは壊れやすさといってもいいかもしれない(異形とはそもそも欠落なわけで)。ホドロフスキーの映画にもそういう部分で感動する。で、「ヴィタール」だが、所々に映画全体を暗示するようなイメージの挿入がなされる展開に目を丸めてしまうが、よくよく見ると凄く単純なストーリーだとわかる。そう、これはメロドラマだ。愛する女を失ったことをいつまでも引きずる男と、なんとかこっち側へ引き戻そうとする独占欲の強い女、そして時々姿を見せる死んだ男の恋人の幻影が織り成す三角関係(ま、強引だけど)。ただし話を包む世界観があまりにも独特だ。小さい頃は心というものが体のどこにあるのかと不思議に思いながら、その疑問を保留にして生きてきた自分にとって、こういう魂と肉体の解釈には新鮮なものを感じた。浅野忠信の恋人役は、生気に溢れた魂としての死者を大胆に演じていたと思う。反対に浅野忠信はミスキャストのような気がした。彼のミステリアスな風貌は必ずしもこの映画の方向と一致してない。だってこれ、コテコテのメロドラマだし。浅野じゃなければできないというよりも、とりあえず浅野、みたいな感じだ。この映画は「鉄男」を撮った監督としては、なんというか安易な印象を受ける。それは才能だけで撮ったという意味でもある。解剖手術を痛みの感覚的表現にしたとしても、あまり伝わってこなかった。何よりも、登場していた研修生達が医学生に見えない。まるで美大生のようだった。都市と人間の関わりというテーマのための「方法」が今作では中途半端だったように思う。コンクリートの湿った質感だけが塚本の異能を保っているようだった。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 6点(2005-04-25 13:51:02) |
4.《ネタバレ》 「天才と狂人は紙一重」って言葉はこの監督のためにあるのかも? ある意味狂気を感じたね、これだけ死体にこだわった映画もそうはないぞ。 高木や涼子の歪みっぷりはいろんな意味で怖かった。 ある意味そこらへんのホラー映画より凄い。 少し脱線しますがパンフ1500円は高すぎ。ま、確かに内容詰まってますが。 【ふくちゃん】さん 7点(2005-02-23 00:27:18) |
3.タイトルは、ベルグソンの『エラン・ヴィタール』からとったようだが、ベルグソンを囓ったことがあると、かえって戸惑う。語感が良いから、つけただけにしか見えない。また、人体解剖という素材の掘り下げをあの程度に止めるのであれば、思わせぶりな表現はかえって陳腐である。設定にリアリティが欠けている点が散見され、低予算の中での苦労が忍ばれる(被害の最終転嫁者は、観客であるが)。柄本奈美の演技は悪くないと思いましたが。 【みんな嫌い】さん [映画館(邦画)] 3点(2004-12-23 14:24:43) |
2.《ネタバレ》 いやいや、塚本監督大好きなんっすよ。しかしながら今回はキツイ。期待し過ぎだったのかな?最初の三十分にいろいろつめ込みすぎていて、はしょりすぎているような気がする。 時間の制約があったのかなとも思う位。 幻想のシーンと現実のシーンの対比を、もっと明確にして欲しかったな。 海辺を使って表現していたのかもしれないけど、陰影や音でももっと強烈に印象を与えて欲しかった。されが塚本監督だと思うので。 テーマやストーリーは、まあそうかという感じだけど、やはり六月の蛇でも見せてくれた、「なんでこのシーンがはいるの?」というような、理不尽を通してしまう強烈さが欲しい。 煙突がダブるところなんかがそうなのかもしれないけど、もっともっと!!と叫びたくなった。 ラストシーンは素敵。Coccoの歌が救いか。 監督、もっと、もっとぶっ飛んじゃってくださいよ!だからあえて3点・・・。 |
1.《ネタバレ》 っしゃ、一番乗り!!この監督の映画は始めてみましたが、とても深い作品だと思いました。最初に何回も煙の出てる煙突が出てくるシーンがあるんですけど、おそらくこれはさいごに凌子さんが火葬されると言うことを暗示しているんじゃないかと思います。残念なのは、浅野さん以外の出演者の演技が余りにも下手なこと。もっとプロを選べばいいのにと思ってしまいました。主題歌は、coccoがこの作品の台本を読んだ後に、この曲ならばと推薦したものらしいですが、本当にぴったりでした。 【トナカイ】さん 5点(2004-12-13 01:33:12) |