22.古臭い不倫ドラマかなーと思って見ていたらあーそういうオチなんですね。これはむしろ現代の視点で見た方がより高く評価されるタイプの作品だと思います。単にファシズムによる弾圧という範囲を超えた男らしさや女らしさにまつわる抑圧がテーマとなっているからです。二人の個人的な出会いと対比させるためとはいえラジオのプロパガンダ放送が序盤からずっと流される演出にはちょっと単調さも感じてしまいました。冒頭5分近くも記録映像を見せる必要性もあまり感じません。舞台のもぬけの殻となった街の光景はヒッチコックの裏窓も想起させるところもあり単純にワクワクするものがありますね。何かが変わってしまったが変わらない日常を生きていくしかない、余韻を残すラストも素敵です。 |
21.全体的にはありがちな(不倫もの)ストーリーだが、個々の場面ではちょっと意外な展開も多い。 退屈そうなのに飽きずに最後まで観てしまうのは、そのちょっとした意外性とソフィア・ローレンの時々はっとさせられる美しさかも。 【simple】さん [地上波(字幕)] 6点(2014-09-15 21:19:18) |
20.《ネタバレ》 最初と最後に流れるキャスト&スタッフのクレジット画面なんですが、あの文字のフォントは何であんなにコミカルなんだろう? 映画の顔ともいえるクレジット画面って、大抵はストーリーに合わせたものであることが多く、自分の場合なんかですと、そういったオープニングクレジットを見て、シリアスな雰囲気だなぁとか、コメディっぽいなぁとか想像して物語に入るわけなのですが、ストーリーを鑑みて後から振り返ってみるとあのフォントにはどうにも違和感ばかりが出てきてしまいます。 映画全体を通して見てみると、良い部分と悪い部分とが入り混じっている印象で、序盤でヒッチコックの「裏窓」のような舞台で物語が始まり、カメラが建物の中へ「サイコ」のように入っていく長回しショットなんかはとても面白く見れたと思います。 最後にもまた同様に窓の外からカメラが入っていき、アントニエッタが寝室に行く時に一瞬電灯を見る動作をカメラで捉えることで、彼女の気持ちが依然としてガブリエレに向いている様を描いたような微妙なテクニックなど、いろいろと画面作りに対する繊細さを感じ取れた気がします。 他にも、シーツを畳む時に二人が近づいた瞬間や部屋の中で抱き合うタイミングであえて喧騒を大きく聞かせ、事が済んで画面が切り替わるとパッと音が消えて時間の経過を暗示させたりといった音の使い方をしているところは自分の中では好きなシーンのひとつです(その時にシャツの逆の襟が出ているのも、わざとらしいけど面白い)。 その一方、向かい合って卵料理を食べ終えた後に隣の部屋に移動すると、三人の娘と思われる絵と一人の女性の絵が飾ってある所で会話が展開されており、画面右手前にアントニエッタ、左奥にガブリエレ、そしてガブリエレのすぐ右隣に女性の絵という構図が出てきたのですが、このように普通に家族がいる事を暗示させるショットが出てきたにもかかわらず、ストーリーの中ではそういったことが語られずに終わりを迎えてしまっているところからすると、伏線の回収不足か又は映像に意味を持たせることへの無頓着さも感じられてしまいます。 女性の気持ちを考えると、愛のあるセックスの後に国家のためのセックスなんて、本当に死ぬほどイヤだろうなぁと思いますが、照明をリズミカルに順々に消してベッドに入るアントニエッタの淡々とした姿には女性の強さが感じられました。 【もっつぁれら】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-02-20 22:44:20) |
19.細かく計算されているあらゆるシーン、思い返すとどれも必要不可欠で繊細な作品ですね。この日はほぼすべてのイタリア人にとっては「特別な一日」であったわけですが、主人公二人にはより特別な、スペシャルな日になったわけで、その心境の変化も巧みに切り取ってあり、感動しました。すばらしいです。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2014-02-12 09:40:11) (良:1票) |
18.《ネタバレ》 名コンビである2人の安定した演技は素晴らしく物語に見入ってしまうのは確かだが、 2人にどんな背景や事情があろうと夫にとっては、ただの妻の不倫(夫には歴史的に最高の“特別な一日”なっていた裏で、最悪な“特別な一日”なっていたのである・・・憐れ)。 屋上でのやりとりが良かっただけに、一線を越えずに終わっていて欲しかった(そしたら切なく哀しいけど、もっと思い出に残った筈、そう初恋のように)・・・残念。 これ昼メロ好きの女性向きな映画なんでしょうね、きっと。 【ぐうたらパパ】さん [インターネット(字幕)] 4点(2013-11-21 14:55:31) |
17.《ネタバレ》 どうということはない会話が延々と積み重ねられ、映画というよりは舞台劇のような前半は、平坦な印象しかなかったのです。しかし、2人の感情が高ぶるにつれて、かえって雰囲気は虚しさを増していき、一線を越えたところで、一気に色が反転する。むしろそれまでの平凡なやりとりこそが至福であったことが分かる仕掛けです。灯りが1つずつ消えていくラストも秀逸。見終わった後にこそ、じわじわと味わいが出てくる。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-11-14 02:10:13) (良:1票) |
16.結構ひきこまれてみてしまった。彼女以外の配役だったらどうだったろう。ソフィアローレンの存在って大きいな。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-10-31 06:56:47) |
15.《ネタバレ》 ヒトラーのイタリア訪問の式典の日、子育てに追われ生活に疲れたファシスト党の主婦と、ゲイである事を理由に局を追われたラジオアナウンサーとの交流を描いた話。閑散とした団地で式典の実況が流れる中、静かに繰り広げられる2人の応酬は、不思議と緩やかなのに張り詰めている。個人的にファシズムvs自由恋愛(不倫)みたいな構図は大嫌いなのだが、単に下世話なメロドラマとして終わらせない語り口にはかなり好感が持てた。それどころか扇情的なBGMや戦闘・演説シーンなど一切無しで、反戦・反ファシズムを描き切った見事な映画。脱帽です。 【オルタナ野郎】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-27 16:47:37) |
14.《ネタバレ》 名優マストロヤンニとS・ローレンの二人が見せる、ほんとにたった一日の出来事。男と女の邂逅と、互いの孤独が溶け合ってゆく様を切り取ったこれぞドラマ。背景に流れるのは常に孤独の影。見るからに疲れた主婦然としているS・ローレンと、何かを抱えているマストロヤンニ。ラジオから流れる喧騒で かえって取り残されたような人気のないアパートの一室の寂しさがしん、と際立つような。男が連行されるのは決まっていたこと。特に「何も起こらなかった」一日。なのに心に焼印のように残った一日。なんだろう、この衝撃は。こんなに静かな映画なのに。 【tottoko】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2012-01-30 17:53:10) (良:1票) |
13.変にひとけがない感じがいい。『黒いオルフェ』では、カーニバルの賑わいの裏道の静けさってのが生かされてたけど、あれを思い出した。ファシストの集会にみなが出払った後のアパートの静まり。この設定がファシストおばさんとホモおじさんの出会いに必要だった。自分で女は劣っていると思い込んでいるほど素直にファシストの言葉を信じているヒロイン。公園でムッソリーニを見かけて気絶しちゃったってんだもの。あの当時のこういう素朴な一般庶民てのはなかなか映画で主役をやらせてもらったことなかったんだよな。ムッソリーニは貧困をもたらす敵だったのではなく、彼らにとって希望の象徴だった。小道具、九官鳥からルンバの足形、砂のオモリつけた電球、などなどが生きている。管理人のおばさんも重要。世間そのものといったような無垢な残酷さ。ラジオによる沿道の賑わいの中継が生きる。管理人のおばさんが大きな音で聞いているの。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-05-20 09:46:40) (良:1票) |
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12.これは、奥の深い作品なんだと思う。ファシズム批判は特に描かれていないのだけれど、ガブリエレがゲイであることで、しかもそのゲイが異端であるとして連行までされてしまうという現実を描くことで、体制批判以上のマイノリティ排斥への憤りを表しているのでは。ともかく、『ひまわり』では感じなかったソフィア・ローレンの美しさと色気を堪能させていただきました。同じ主婦の不倫モノなんだけど、駄作『マディソン群の橋』の肉欲先行の陶酔不倫とは違って、こちらは現実逃避のヒリヒリするような切羽詰った痛みを分かち合う。これはキツイ。前半ガブリエレの電話のシーンが印象的。もちろん屋上のシーンも。「三銃士」の本と直ってしまった電灯が、切ない。 【すねこすり】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-11-30 15:50:23) (良:3票) |
11.《ネタバレ》 冒頭、大勢の人達の大騒ぎ的なパレードのシーンにおける映像に込められた力強さと同じように強い心で生き抜くソフィア・ローレン、彼女にとっての特別な一日は出逢った男、マルチェロ・マストロヤンニとのひと時であり、それはヒトラーが訪れた日がイタリア国民にとって特別な一日であるのと同じであったに違いない。これはそんな特別な一日の出来事を描いた映画であるが、誰だって自分にとっての特別な日が欲しい。そういう思い、願いが心の中にあるばすです。ソフィア・ローレンの演技の凄さと相成って生まれる女の愛、それに対してゲイである為に女を愛する事を知らないのに、何とか応えようとお茶目な姿を見せるマルチェロ・マストロヤンニもこれまたお見事!単なるメロドラマ、不倫ものとは一味違う大人のドラマの奥に感じられる歴史の重さが感じられる作品として見応え十分!音楽を一切、使わない映画作りというのも新鮮であり、聞えてくるのはラジオから流れてくる声や雑音だけであり、そんな中で演じられる名優の名演技が一層、ドラマとしての深みを与えている。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2009-10-28 22:38:52) (良:3票) |
10.子供6人を抱える母親が、家事に追われ、刺激を求めたというソフィア・ローレンの心理は理解できたものの、同性愛とやらのマルチェロ・マストロヤンニが、ソフィア・ローレンを執拗に誘う心理がどうも理解できなかった。 反ファシズムの党員として、アパートメントから出立する前日の「特別な一日」にそういう行動に出たともとれるが、それにしてもシックリはこない。 前半から中盤にかけての、男性から誘われる側の女性の心理を緻密に描いた部分は良かったのだが、後半にかけていまいち乗りきれない作品だった。 ただし、淡々と描写される室内の登場人物達の動き、屋上での男女二人のやりとりなどは、とても印象に残るシーンだった。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-06-29 00:10:57) |
9.《ネタバレ》 住民は皆イタリアにやって来たナチスを歓迎する式典に出掛け、それを実況しナチスを賛美する、隣人が大音量で垂れ流すラジオ放送以外はひっそり静まり返ったアパートの一室。そこで繰り広げられるマストロヤンニとローレン演じる中年の男と女のたった一日の情事に至るまでを描いた作品です。決して喋りすぎない2人が実にいいです。家事をする姿、お互いを見つめる目、室内を歩く姿、鏡に映る自分を見つめる表情、そして後姿さえも。何気ない一つ一つの動作で表現する2人の心情、心の揺れが痛いほど伝わってきます。この2人の名優が創り上げる室内の空気が見事でした。2人の会話から男は反ファシズムの為職場から追放されたアナウンサーであることが分かる。そして最後には当局に連行されていく男。それを窓越しに見つめる女。男が彼女に残した一冊の本と彼が修理した電球。マストロヤンニ、ローレン、絶妙に配置された小道具が三位一体となって織りなすラストシーンは物悲しくも、僕にとっては忘れられない名シーンの一つとなりました。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-12-13 17:22:34) (良:2票) |
8.たった半日で終わる不倫でも、紛れもなく恋をしていたんだな・・・ 【mimi】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-05-04 03:33:28) |
★7.誰もいなくなった団地。管理人のおばちゃんが大音量で流すナチスの集会の放送だけが聞こえるその団地での、ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニとの出会いは、既に諦念によって包まれており、そこにはあらかじめ決められたかのような不可能性があるばかりだ。ラジオから流れる「軽さ」と、カメラの前で繰り広げられる特別な一日の「重さ」が同時進行していく、その緊張感は見事としかいいようがない。 ラスト、少しずつ電気が消され暗くなってゆく室内は、特別な一日が終わりを迎えた事を示すだけでなく、さっきまで「軽さ」であったはずの戦争は生活に直接影響する「重さ」へ変わり、二人の出会いは風船のような「軽さ」へと変わる。ソフィア・ローレンに残されたのは三銃士と修理された電球だけだったが、それは消えてしまいそうな軽さの為に欠かせない、錘なのだった。屋上でのシーンとともに忘れられない映画。 【Qfwfq】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2004-12-07 01:22:26) (良:2票) |
6.ソフィア・ローレンって美しいな~。高いところ目指してて・・・ああ収めてしまうのも、なんだかもったいない。でもそう捕らえる自分、そこが青いんだな。 【ジマイマ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2004-11-14 17:06:35) |
5.何よりも雰囲気がすごく良かった。式典の模様がラジオ放送される中での男女のやりとり、式典が終わり騒々しい日常へと戻るソフィア・ローレンの姿、そして三銃士の本を大切な思い出をしまうかのように戸棚にそっとしまうラストシーン、どれも心を締めつけられる思いで鑑賞していた。そして状況は違えどもこんなシーンって誰の心にもあったり、これから経験したりするものなのかななんてことを考えたりもした。自分にはこういう経験はまだないが、これからの人生恋愛だけでなく色々な面で特別な一日となるような経験が待っているのだとしたら人生捨てたもんじゃないなって思う。(ラストの文章臭すぎました。すいません(笑)) 【ゆきむら】さん 7点(2004-11-14 17:05:52) |
4.何事につけ鈍感な自分には、熟年男女の心の機微をちゃんとつかめてるかどうか大いに怪しいのだけれど、そんでもこの作品がものすごく丁寧に作られているのは、分かる。冒頭の流れるようなカメラワークから始まって、垂れ下がってしまう電灯やボタンで作った絵など、小道具の巧みな使い方(小道具といえば、あの手動のコーヒーミル、欲しいなーって思った)、さり気ない台詞や表情で見せる登場人物の心の動き、なんと言っても名優二人の名演技(実は「ひまわり」で初めてソフィア・ローレンを見た時は「うわっ、怖い!(ソフィアファンの皆様、ごめんなさい)」と思ってしまったのですが、この作品で見た彼女は、とても綺麗に思えたのでした)。ラスト、アントニエッタがガブリエレから貰った「三銃士」を戸棚にしまい、電気を消して床につくシーンは静かな感動を呼びます。あと、この作品は(それが主眼ではないのだろうけど)当時のファシズムの文化的・風俗的な影響、あるいは何故ファシズムが人々に支持されたのかということも描かれていて興味深かったです。人は時に、不安定な自由よりも統率の取れた抑圧を求めてしまうものなんだな(別にファシズムを肯定するつもりは毛頭ないけれどね)。【かーすけ】さんも仰るとおり、年を重ねてから観るとより感動できる作品だと思うので、10年後位に見直してみたいです。<追記>決して宣伝ではないけれど、先日この「知られざる名作」のDVD発売を知った僕はすぐさま近所の二軒のレンタルビデオ店にリクエストした。一軒は「発注したらお知らせします」と言ったきり音沙汰がないが、もう一軒の方は先日ちゃんと入荷してくれた。偉いじゃん、ツ○ヤ。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-10-22 18:12:13) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 高揚して涙するのがいいドラマだ、と思ってきた私をボコンと打ちのめしたのが本作、まさに特別な一本 です。 友和&百恵、リズ&バートン、ヤンニ様にはおフェイさんにドヌーヴ・・と公私混同お似合いカップルは世に幾組もありましたが、生活感が出せてイタリア語で、という条件なら彼の御相手は、なぜか妻ではないこのおばさん(すみません)しか考えられませんね。ワイシャツ姿でキッチンに立つ男、所帯やつれしてるのに左横顔がことに美しい女、、ほとんどを団地の2室でかわしあうこの二人の心情表現がこの上なく練れています。室内外の小道具の使い方、音の出し方、窓を映すショット、どれも憎たらしいほど上手いわん。屋上シーンはドラマ部門名シーンBEST10(←今考えました)にぜひ入れましょう、素晴らしい。/満点じゃないのは、愛する「ひまわり」を演じる方が簡単そうに見えたので大嫉妬の減点、まだまだお子さまの私に良きアドバイスをお願いします、そっとお待ちしてます。バルカンとラッタッタァのCMになぜこのごっつい二人がそれぞれ出てるか当時はわからなかった、若い頃なら本作の半分も吸収できなかったと思います。トシとっていいこと、ありました。 【かーすけ】さん 9点(2004-07-29 22:42:14) (良:2票) |