15.《ネタバレ》 結構、見るのが怖かったのです。原作は、まさに横溝作品を代表すべき傑作なのですから。しかし、意外にも前半は、あの祝言の一夜が、じわじわじわじわと不穏な雰囲気で進んでいきます。いざ事件が起こってからも、軽率に登場人物が騒いだりせず、原作の展開に忠実に進行していきます。これはなかなかの出来の内容でした。●ただ、いざ謎解きの部分になると、急にレベルが落ちてしまうのが、邦画の常というか何というか・・・。まず、そもそも金田一が推理披露をしていない時点で、こんな美味しいシーンを何で放棄するの、と思ってしまいます。三本指の男に関する意外な真相とか、犯人が部屋を密室にした理由とか、器具の選定理由とか、そのあたりもさらっと通り過ぎて(あるいは無視されて)います。密室トリック自体、本当はもっとダイナミックに見せてほしいのですが、すでに指摘されているとおり、何かチマチマしていて、しょぼいです。●とはいえ、ATG製作ならではの(?)独特の暗さも手伝って、一応の原作的世界は維持されていますし、市川崑監督の一連のシリーズをはじめとするこの後に発表される作品群よりは、大幅にマシです。あと、中尾彬の金田一も、案外悪くないです。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2024-10-22 01:08:42) |
14.金田一役に中尾彬。さすが、若い頃からしっかり苦み走ってて、金田一さんにしてはちょっとコワい顔なんですが、それなりに朴訥とした感じもあって、意外に違和感もなく。 何だか、金田一役って、誰でもできるんじゃないの?という気すらしてきますが。 さて、本陣殺人事件。な訳ですが。例のトリックを、繰り返し映像で見せてくれはするんですが、この描写で、原作読んでない人にもトリックの全貌が伝わりますかねえ。この奇抜なメカニズムを、もうちょっと手際よく見せられないものか、と思っちゃうのですが。 庭の琴柱や鎌の存在も、原作を読んだ時に感じる不気味さが、映像ではなかなか感じられなかったり。 それ以上に残念に感じるのが、「雪の密室」の典型たるこの題材、なのに、あまりに雪の印象が薄い事で。季節外れの雪、というのは、花や蛙で示されていることからも、よく判るんですが、やっぱり事件当夜の描写においてまで雪の印象が薄いのは、ちょっとツラい。予算不足、なんですかねえ。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 6点(2021-07-31 05:45:37) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 田村高廣は名優だと思うが、本作についてはミスキャストだと思う。京都弁のアクセントではんなりした感じになってしまい、一柳賢造の心の奥から滲みでてくる悪意が感じられない。また、本作の象徴である高沢順子もアンニュイすぎて鈴子の純粋さが全く感じられない(これはこれでいいという人もいるかもしれない)。当たりキャストは中尾彬で、横溝正史本人がほめたのもうなずける。東宝が市川シリーズを「本家金田一シリーズ」と言っていたが、時系列的にはATGが本家といってもいいんだから、中尾彬で金田一シリーズを作ってほしかった(製作費が安くすみそうな原作で)。絢爛華麗な市川シリーズとは比べるのもおかしい作品だけど、本陣殺人事件のような滅びの美学が題材になっている作品は低予算で地味な方がむしろ良いのではなかろうか。 【陽炎】さん [DVD(邦画)] 6点(2018-03-11 09:41:15) (良:1票) |
12.この映画なぜか好きです。時代設定も現代に変更されてるし、金田一の服装、中尾彬さんの金田一という違和感だらけの映画ですが、好きです。映画そのものが丁寧につくってあることと、言い方が変ですが謙虚なところでしょうか。金田一のキャラクターに頼らず、大げさなスプラッターシーンも入れず、地道にストーリーが進んでゆきます。あと、石坂金田一が世に出る前の作品なので、自由なアプローチかつ独自の表現が魅力的で、日本の風情の美しさが非常によく出ています。これはおすすめの映画です。 【金田一耕助】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-12-23 15:24:16) |
11.《ネタバレ》 アキラまきをしていない中尾彬なんてっ(しくしく) 【センブリーヌ】さん [DVD(邦画)] 5点(2012-05-03 14:36:27) |
★10.《ネタバレ》 推理小説の映像的解説としては、かなり良く出来ていると思う。事件の細かい要素もちゃんと描写している。だが映像的解説すぎて、人間のドラマの部分が若干、稀薄。一柳賢蔵の性格を納得できるかどうかで、この物語はアリかどうか別れるのだと思う。そういう意味でも、残念な映画。予算が無かったのかも知れないが、もうちょっと時間をとって、人間を描けていたらと思う。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 5点(2012-04-23 17:55:24) |
9.1976年の「犬神家の一族」から始まった横溝ブームだが、これはその前年に公開された作品。 原作自体が評価の高い作品で、密室トリックの複雑怪奇さが面白いのだが、 あまり詳しく触れておらず、推理物としては正直ちょっと物足りない。 金田一は長髪、袴姿ではなく、風来坊の青年というスタイル。それに合わせているのか、 ドロドロ色はやや控えめで、ドラマのほうに焦点を当てた作りになっている。 ビッグタイトルと比較すると娯楽性は乏しいが、演出や映像に多少のこだわりを見せているので、 横溝ファンならまあ楽しめる範囲内の作品かと。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 4点(2011-08-05 02:23:31) |
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8.《ネタバレ》 意外に評価低いですね。これほど「水車の音」が効果的に使われた映画を知らない。昨今の全ぺん煩いくらいBGMが流れる映画に、半分うんざりしつつ慣れきってしまったせいか新鮮で、この映像にこれ以上の効果音はあり得ないだろうという出来。ひと癖ある登場人物(薄弱な少女、指噛み、チック症)の、根底には同様に内なる狂気が潜んでいると納得させる、さり気ない演出も効果的。石坂金田一と真逆のタイプの硬派な中尾金田一もありかと。この作品には石坂浩二よりも中尾彬の方がマッチしているように思う。ただあのサングラスはいただけない。犯人の動機(設定を現代にしていることで尚)が納得出来ない(役者の演技力で救われている)ことを除けば、個人的に地味だけど後をひくこの横溝作品も好きです。低予算でこれだけの映画が作れるのだから、チープで陳腐な誇大宣伝映画は見習ってほしいと切に願う。 【LORETTO】さん [DVD(邦画)] 8点(2011-05-16 22:46:09) (良:1票) |
7.和服でない金田一耕介とは珍しい(しかも中身が中尾彬!)。市川版「犬神家の一族」と続けて観たので、あまりのケレン味の無さが気になりますが、事件を分かりやすく丁寧に描写しているのは確か。 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-04-09 22:30:14) |
6.岩井俊二監督の証言によると、この「本陣殺人事件」は、晩年の市川崑監督で再映画化の話が進められていたようですね。正直「犬神家」リメイクよりそっちの方が観たかったかなあ・・・なんて。ATG製作という事で低予算映画にもかかわらず、意外なほど丁寧に作られていたのには感心しました。いまやテレビバラエティ番組の重鎮中尾マフラー彬氏のヒッピー風金田一も、こういうアプローチの仕方もあっていいのかなって私は許容範囲内。ただ豪華キャストが見得を切ってケレン味たっぷりの大芝居を見せる、一連の市川監督版横溝金田一シリーズを見ている人間にとっては、今ひとつ盛り上がりに欠け物足りない。鈴子役は今なら栗山千明か。何故か音楽担当がデビュー前の大林宣彦監督なのも一興。言われてみれば旋律がそれっぽい(笑) 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-04-03 11:44:21) |
5.完璧を求める、ぼんやりだがと分かる気がする。 三本指の男が死ぬまでのシーンが一番泣けたが、 中尾彬はどうしても悪役顔で、 本編を見るまでDVDのパッケージ写真は 容疑者の一人だと思っていた。 原作未読だが、結局真犯人は自殺するという 金田一ものの定番はすでにここから始まっていたのか。 |
4.制作費が乏しいのはいいとしても、達成感が乏しすぎるのは如何なものか。ハマる程の面白さは無いものの、雰囲気は出てたと思う。中尾彬、若いなぁ。 【aksweet】さん [DVD(邦画)] 5点(2007-01-10 16:10:28) |
3.「犬神家の一族」の前年、横溝正史ブームの先陣をきったのが本作だったんですねぇ…。メジャーの横溝作品に比べると、いかにもなATG臭さが全編を覆ってましたけど、この耽美的世界観は横溝作品にぴったりの様な気もします(顔が1/5位しか見えないカツラの高沢順子が怖~)。それにしたって、本来なら金田一耕助が関係者一堂を集めて真犯人を特定するのがセオリーの筈。しかし本作は、終盤にダラダラと真相が明かされていくので(一部は犯人の独白)カタルシスが非常に小さい。この高林陽一の娯楽に背を向けた作風が、ATGのATGたる所以でしょうか…、5点献上。 【sayzin】さん 5点(2005-03-24 00:06:07) |
2.こんなにうまくいくものかと疑問は抱きたくなるが、この密室トリックは日本独自のものという点でちゃんと原作を守ってましたので良いと思います。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2003-10-30 11:25:02) |
1.《ネタバレ》 原作は横溝正史のベストワークと呼んでも差し支えない程の秀逸な出来。石燈篭や水車、琴や日本刀等など日本の様式美に拘ったトリックの鮮やかさは勿論「三本指の男」などの胡散臭い戦後のドサクサっぽいタームが満載なのも横溝原作の持ち味。しかーし!本作は何と時代設定が戦後間もなくから現代(70年代)へと変更されており、こともあろうに中尾彬の金田一耕助は”ジーパン”を着用しているではないかぁ!!何というセンスの悪さ!ムードぶち壊しじゃあ~~~!!しかーも、鈴子役の高沢順子が原作のイメージと全く一切てんでちーーーっとも合っていなーーーーい!頼むから誰かリメイクしてくれ。カネは出さんが口は出すぞw。そもそもATG作品では「低予算でーーす!!」と高らかに宣言しているようなモノ。もっとリッチなプロデューサーにお願いしたい。横溝先生には悪いが5点マイナスてことで夜露死苦。 【へちょちょ】さん 5点(2003-10-21 01:26:36) |