16.《ネタバレ》 チンギス・ハーンの少年期から青年期くらいまでを扱っている。最後に出る1196年の戦いが実際どれだけ決定的なものだったか知らないが、この映画ではとりあえず、これでこの周辺での主人公の優勢が確定した程度には見える。 現実にはそれまで多くの集団や人物が複雑にからんでいたのだろうが、この映画では思い切って主人公家族とライバル1人に集約して単純化している。出来事の経過をまともに説明する気もないようで、例えば幽閉先から救出→家族でピクニック→神頼み→いきなりライバルとの決戦、というように場面が飛んで、主人公の気持ち本位で物語が進む。 それでも映画だからまあいいかといえなくはないが、結局全体として何が言いたいのかわからない。家族として出ていた息子(ジョチ)と娘(目が大きい)は両方とも主人公の実子でなかった感じだが、妻の子でありさえすれば構わない、という純愛を表現した映画だったということか。それでもいいがそれだけで終わりか。 歴史上の人物を扱う場合、その事績の実現に至った動機や熱意の源が何だったかを若年期に求めようとするなら話はわかる。しかしこの映画では、愛する妻の願いをかなえるためにモンゴルを統一した、というくらいはいえるかも知れないが、その先にある空前の世界帝国の形成(さらにユーラシアの東西交流の拡大など)にまでつながっていく気はしない。そこまで意図するのでなければ、そもそも何でチンギス・ハーンを題材にしたのかということになる。 歴史物語として半端な一方でドラマ的にも受け取りづらく、残念ながら褒めたい点が発見できない映画だった。 以下その他雑記 ・浅野忠信は目が細いから選ばれたのかと思った。 ・主人公が幽閉されていた場所にあった「国家滅亡を企むモンゴル人」の看板は西夏文字のようだが3字で間に合うのか。「表語文字」だそうで、漢字でいうと例えば国・滅・蒙の組み合わせ(語順不明)かと勝手に想像した。 ・主人公はモンゴル語が世界言語になるかのような夢を語っていた。今となってはそうなるとも思えないが、とりあえず肉=мах(makh)は憶えることにした。 ・突然の悪天候で勝ったのは、モンゴルでも神風のようなものを期待する風習があるということらしい。 ・どうでもいいことだがエンディングの曲は「ジンギスカン」(1979西独)ではなかったので、映画が終わってからYouTubeで勝手に聞いた。 【かっぱ堰】さん [DVD(字幕)] 4点(2024-08-24 09:46:51) |
15.浅野忠信が、屈強な男に見えなかったので、残念..映画としての、雰囲気、世界観は良かっただけに、物語として、どのように人々を束ねたのか、もっと詳しく観てみたかった... 【コナンが一番】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-03-22 12:43:56) |
14.モンゴル帝国の皇帝、チンギスハーンが争いの世を収め国家を統一するまでの話だと思っていたのですが、それ以前の部族紛争の話であり後に皇帝となる男がどのように形成されていったのか、そして妻との物語がメインとなっているので歴史的知識が無くても十分観る事が出来る映画でした。抑揚が少なく長く感じられましたが浅野忠信の演技は見事でした。何度も囚われの身となり、自由に喋ることも許されない状況でのテムジンの精神力の強さを感じさせる浅野の表情で見せる黙して語らずの演技は素晴らしかった。同じ事は妻を演じた女優さんについても同じ事が言える。他にもっとお美しい候補者もいただろうが、よくぞこの人を選んでくれたと思います。恐らくは自国の歴史的英雄であろうチンギスハーンを外国人が演じたこと、そして演じた浅野忠信の演技はモンゴルの人々にはどう映るのでしょうか? 【とらや】さん [DVD(字幕)] 5点(2010-02-25 21:02:25) |
★13.《ネタバレ》 浅野忠信の目演技がいい。彼の「モンゴル人」ぶりはなかなか板に付いていたように思えた。雄大な草原の景色とホーミーも良かった。でも運命の宿敵ジャムカとの出会いがやたら簡単でそんな程度で何でいきなり盟友になるのか意味不明のまま話が進んでいき、ストーリー展開に置いてきぼり感があった。レッドクリフを見たばかりなので、ジャムカとの対決をテムジンがどうやって切り抜けるのかとワクワクしてたら、雷ってそりゃ反則でしょ。山の神様に手足の枷を外してもらったあたりから、ファンタジーだと思ってみるべきだったのか。モンゴルに特段興味のない自分でもそれなりに楽しめたのでよしとする。 【lady wolf】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-06-19 14:16:11) |
12.《ネタバレ》 浅野忠信さんの、全編を通してモンゴル語での演技、最後までただの一度も違和感を感じなかったのは見事!でした。どれだけ練習したんだろう。妻・ボルテ役の女優さんも好印象で、日本人好みの顔立ちではないかもしれないけれど、内面からにじみ出る強さと美しさのある人で、少ない台詞の中、表情だけで十分みせる演技をしていました。 モンゴルの風土や生活、思想を知ることができるのも興味深くて良かったし、テンポが良いので退屈しません。 ただ、国は違えど、同じような英雄ものの映画を多数みているせいか、作品としては強く心に残らなかった、というのが正直なところです。 【ぷっきぃ】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-05-15 03:12:56) |
11.ひとつ興味があったのは、遊牧民族の伝説ってのは、農耕民族の伝説となんか根本的に異質なものがあるのではないか、というところだったが、さして違わなかった。親の仇を討ち、さらわれた妻を奪い返す。もっともこの映画がどの程度、モンゴル現地の伝説に由来しているのかが分からず、途中で農耕民族にも分かり易いように変形させられたという可能性もある。現在世界に流布している文化の型は、圧倒的に定住の農耕系由来のものなので、非定住から生まれるまったく異質のものも見てみたかった。ちょっと違うかなあ、ってとこは、盟友との関係がサラッとしているとこ、あるいは血のつながりに関してもサラッとしているとこ。ここらへんに湿度の低い文化圏をわずかに感じた。映画としては、省略や物語のジャンプに変わったところがあり、不思議なリズムの体験。浅野忠信の起用と血煙りの描写は、たぶん監督が北野の『座頭市』を観ているのだろう。騎馬兵が、両刀を水牛の角のように構えて走ってくるところがいい。それと、とにかく広いこと。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-05-11 12:03:49) |
10.《ネタバレ》 浅野がモンゴル人に見えないという意見も多いようですが、もうすこしよく考えてみましょう。少年のテムジンが突然「浅野」に切り替わったとき、あまりにも唐突で少しおかしいと思いませんでしたか?浅野は自分のことをテムジンだと名乗っていますが、そんなに簡単に信じていいのですか?子供のころのテムジンの面影がまったくありませんし、どう見ても日本人にみえます。常識で考えるならば、この日本人はテムジンに成りすましていたと見るのが妥当だと思いませんか?ここまで言えばもうわかった人がいるでしょう。そうです、この日本人こそが日本からモンゴル大陸に渡ったあの義経なんです! だから浅野がモンゴル人に見えないのは当然なのです。私の推測だとおそらく「五条霊戦記」で浅野が義経を熱演していたことから今回オファーが出たのだと思う。 【花守湖】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-04-03 21:17:43) (笑:1票) |
9.チンギスが出世して行く過程を描いた映画かと思ったら、もっと内面に比重を置いていました。部族の後継争いの渦中で幼少から監禁と逃亡を繰り返したが、苦しい状況でも意思を曲げなかった。かなり頑固で辛抱強い奴です。子供の頃に選んだ嫁さんを何年も忘れずにちゃんと迎えに行く。とても律儀で一途な奴です。監禁されている間に嫁さんが他の男との間に作った子供をあっさり自分の子供として受け入れます。度量が大きく胆力も備わってます。でもチンギスの軍勢が大きくなって行くところは思いっきり端折られていて、その過程が見えないと実像に迫れなかった印象です。チンギス・ハーンの認識は歴史の教科書よりも進歩したし、モンゴル民族の習慣が垣間見られたことには意義がありましたが…。それにしても、良い嫁の条件が、顔が平べったくで目が細くて足が強い(太い?)女性って、モンゴルの男たちは可哀想かも。浅野忠信のモンゴル人は、モンゴルの人の目にはどのように映ったのでしょう。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-24 04:01:16) |
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8.《ネタバレ》 去年のソリマチ・ハーンに続き、今年はタダノブ・ハーンなのか。ソリマチ・ハーンの方は一生をまんべんなく描いたのに対し、こちらはアンダであるジャムカとの闘いをメインとして描いているのが大きな違いとなっている。しかしソリマチ・ハーンは単なるモンゴルごっこだったが今回のは本気である。演技とや美術とか本気。浅野さんの演技も非常に良い。特に表情がいい。残念なのは話が冗長で起伏が無い事かな。雷のお話も上手くいかせてない気がするし音楽も少々唐突である。でもホーミーがモンゴルらしい。 【サムサッカー・サム】さん [映画館(字幕)] 5点(2008-05-03 12:08:45) |
7.浅野忠信がモンゴル人らしくないのが問題。 また、浅野忠信の魅力が出ていないというか、浅野忠信である必要があったのだろうかという疑問が先にたつ。 壮大なスケールの作品だが、その系統の作品はハリウッドに任せておけば良いわけで、『コーカサスの虜』という繊細な傑作をつくったセルゲイ・ボドロフが撮るべき作品のようには思えない。 【にじばぶ】さん [映画館(字幕)] 5点(2008-04-29 23:23:49) (良:1票) |
6.アカデミー賞効果で、地元の映画館で見ることができて良かったです。 私の場合、モンゴルそのものに興味があるので、キャストは特に重視してません。 浅野さんのチンギス・ハーンも似合ってはいますが、妻役の女性と並ぶと、 やはりモンゴル人には見えないです・・・。夫婦としても違和感がありました。 親友も、単なる一時的な仲間程度にしか見えないので、話に深みが感じられません。 もっと人間的な苦悩とか、心理的な部分を見せて欲しかったです。 ただ、全体的な雰囲気は良く、雄大な風景も美しく、なかなか良かったと思います。 全くモンゴルに興味がない人にとっては面白くないかもしれませんが・・・。 個人的にこの映画の一番評価すべき点は、音楽!! ホーミーが効果的に使われていて、特にエンディングテーマがかっこいいです。 ホーミーの新しい魅力発見て感じ。サントラがあれば買いたいです。 ちなみに続編の話があるので、今後にも期待してます! 【びくーにゃ】さん [映画館(字幕)] 6点(2008-04-21 14:00:57) |
5.《ネタバレ》 小学校5年の時、学研の「学習」に連載されてたテムジンの物語(タイトル失念)でうっすらと記憶がありましたので、話の流れつかめました。テムジンの台詞が極端に少ないし、唐突に展開するのでちょっとわかりにくいかも。ただね、部族毎に分裂していたモンゴルが何故ひとつにまとまったかというのが観終わってからもわからないのね。作品中で語られる理由だと弱すぎる。現在のモンゴルと内蒙古自治区、タタール部とオイラート部といったように後にまわり(ロシアだとか中国だとか)から強制的に分割されたわけでなく、ばらばらに存在してた各部族を一気にまとめ上げたテムジンという存在のすごさがこれでは伝わらない、残念。浅野忠信の「眼の芝居」がよいだけにもったいない。よくモンゴル語勉強してると思うよ。 【shintax】さん [映画館(字幕)] 7点(2008-04-15 11:12:48) |
4.《ネタバレ》 まず、伝承でしか語られないテムジン=チンギスハーンの物語を、血肉の備わったリアルさで現代の私たちの前に見せてくれたことに拍手を送りたい。父イェスゲイの毒殺や嫁選びなど、遊牧民特有の風俗や習慣があってはじめて、原作・元朝秘史が語るひとつひとつの出来事が起こりえたのだと、素直に納得できる出来映えだった。族長が強いうちは結束が固いが、弱ったり信頼を損なうと配下の者に見限られ、別のリーダーのもとへとあっさり去ってしまう淡泊さ。また、盟友となった相手とも仲違いをし、戦をする不合理さ。弱い部族を襲い、殺し合い略奪することなど、私たちの常識に照らし合わせればあまりにも不可解で悲惨だ。殺さなければ殺される、生きることが難しいくらいの過酷な世界。なんでこんなに襲撃・戦さ、殺し合いばかり見せるのか、理解しにくいくらいだ。けれどその疑問をボルテに語らせ、テムジンが答える。それこそがこの映画の要の部分で、チンギスハーン一人の物語にとどまらずに、あの時代に生きた遊牧民全体を語る深みにまで到達できたと思う。景色は雄大で本当に美しかったけど、ロケーションとしては地元モンゴルで撮影した「蒼き狼」のほうがリアルさで上かな。主役浅野とボルテ役の女優の目で語る演技にはとても惹きつけられた。ジャムカはエキセントリックなパンク野郎で、ちょっと笑える。捕虜時代や衣装など、エンタメ性を考慮したフィクションなどもあったんだろうけど上手に処理している。戦闘シーンはつらいけど、もう一度見てもいいな。 【藍色吐息】さん [映画館(字幕)] 8点(2008-04-10 21:31:58) |
3.《ネタバレ》 まさに雄大で荘厳な美しい風景を見ることができ、嬉しくなってしまいました。 食事・酒宴・風呂・首枷・馬糞を捏ねて乾燥させた燃料作成・葬式・・・ モンゴルの日常生活も垣間見れて興味深かったです。 西夏に奴隷として売られて来ていたと言う虚構は、史実上の空白期間を 想像して作られたとの事ですが、それはそれでテムジンの眼に大いなる意志 の力を認めた代官・僧侶は大したものです。唯、ボルテとの声と影だけの ラブシーンはやや興ざめで、減点となりました。ボルテを取り返しに行く時の 戦斗シーンは、どこか「300」と似た感じがしましたが、迫力がありました。 戦斗シーンは最後のジャムカの大軍とのシーンが最高でした。特に尖兵として 特攻を行う二刀流の黒鎧軍団の突撃俯瞰シーンには久々に思わず「おう!」と 小さく叫んでいました。少なくとも「蒼い狼・・・」よりはエキソシズムに溢れ、 浅野忠信さんの熱演(あまり話さず、眼で意志の強さを表した)が際立った 映画でした。 【亜酒藍】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-04-08 19:56:21) |
2.チンギス・ハーンについては教科書ていどの知識しか持ち合わせていないので、伝記としてどうなのかは知りませんが、映画としての虚構作品としてはいま一歩な感じがする。というのも、モンゴルの大草原を軍馬が疾走するシーンが当然あるのだが戦闘シーンとなるとアップが多く何をしているのか良く分からないし、鍵となる雷のシーンもどれもパッとしない。また成り行きを説明するような台詞が多い。ただテムジンとボルテ、ジャムカのそれぞれの会話シーンのいくつかはなかなか力強いと思うし、浅野さんの存在感やけっして美人ではないが凛としたボルテ役の女優さんは良く、二人の愛の物語は神話レベルの印象を残す。 この監督さんが撮りたかったのは自作の「コーカサスの虜」でも描いたように民族と奴隷のように思える。争いの種は尽きず幾度も追われ捕まり逃亡し追われ捕まる。首に枷をつけられ、檻に入れられ自由を奪われる。そして身動き一つせず耐え忍ぶテムジンの不屈の英雄像をもってその負の連鎖が断ち切れる様を描いているのだ。 それから何処で撮ったか知らないがあの広大な風景は素晴らしい。モンゴルが実際あのような場所だとすれば朝青龍が帰国したがるのも当然だと感じられる。 【ミスター・グレイ】さん [映画館(字幕)] 6点(2008-04-08 18:19:53) |
1.《ネタバレ》 チンギス・ハーンことテムジンの青少年時代の物語。 テンポよい展開で、退屈はしません。 が、力がものをいう世界で、羊や馬や花嫁を盗んだり、仇を殺したりするのが当たり前という中世の価値観になかなかついてゆけなかった。 血が飛び散る残虐場面が多すぎます。 歴史的事実として受け入れることができるけど、感動はできませんね。 テムジンが捕虜になって見世物の檻にいるのを妻が助けるのは虚構でしょうね。 9歳のときから婚約した妻との愛情物語にもなっているのですが、妻のつり目に引いてしまいました。 もっとかわいい女優さんに演じてほしかったです。 最後の大決戦の場面が途中でフェイドアウトしてしまうのは解せない。 最大の見せ場なのに…。 また見るかといわれると、特に見たくはない作品ですね。 現代とつながるものがあまりないんですね。 所詮殺し合いで、最後に勝ったものが征服者になるという世界観です。 恩人である友人とも容赦ない殺し合いをするのですから。 【よしのぶ】さん [映画館(字幕)] 6点(2008-04-07 23:48:49) |