49.《ネタバレ》 案山子はカラスに笑われる。変な格好をしてて何をされてものんき顔・・
こういったようなキャラなんですがそれが実はパチーノなのでした。
ある意味弱い自分から逃げている案山子。
そして受け入れざるを得ない悟りの精神。
ハックマンにはわからない・・
刑務所で受けたパチーノの暴行にハックマンは切れる。
この刑務所行きもハックマンはパチーノが笑わせようと仕組んだことが原因だと思って、
ハックマンはシカトしていたのですが・・
とにかく最終的には前に感動した場所と同じところで泣いてしまったのです。
案山子になれと教えた道化者が案山子でいられなくなる・・
やはりバーでダンスを踊るシーンから電話をかけるシーン、
噴水のシーンのクライマックスへとものすごいリズムが変わります。
今までの(刑務所シーンはのぞいて)のんびりしたロードムービーはどこへ??
クライマックスまではセリフの少ないいい演技をしていたハックマンのほうが際立ち、
電話ボックスからはもうパチーノの一人芝居といっていいくらい。
特に噴水のシーンは妻であった女性の嘘の突き刺さる責め言葉に、
いつもの案山子になりきろうとするパチーノはパニックを起こし意識を失います。
ここの演技もさることながら音が効果的で正直怖かったです。
めまいの音、いわゆる耳鳴りのようなキーンという音が鳴ります(ルメットの未知への飛行でもあった)
案山子が道化を忘れて倒れてしまう哀しさ・・
ハックマンの懸命ながなり声が病院に響くともうだめでした。
やっぱりここで今までの場面が頭で流れ出し感動してしまう・・
自分の仕事のことしか考えてなかったはずなのに、
その貯めたお金をくれてやるから助けてやってくれと。
お金を調達するために往復キップを買おうとするハックマン。
まだ足りなかった・・
靴の底にあることを思い出し底からお金を取り出す。
払い終えたあとカウンターを靴底で叩く。
窓口のおばさんは怪訝そうに見る。
叩き続ける靴底にエンドクレジットがかぶさるように流れ出す・・
見事です。
後味のよろしくない作品のラストに救いを持ってくることはとても難しい。
たいていは付け足しのようにせっかくの場面さえうそ臭くなる。
この救いのセンスがとてもいい。