★20.《ネタバレ》 瞳で語る、気迫で語る、背中で語る。 言葉とは裏腹の人物の心の動き、こちらに迫るものがありました。 オダギリジョーさんの切れ味、香川照之さんの気迫。 素敵な方たちの本気の演技、そのヒリヒリ感に圧倒されました。
暗めのお話なのにとっても楽しめるのは、監督の”人”に対する暖かさから来るのでしょうか。 香川さんが「ダイヤモンドのような逸材」と監督を評価されていますが、まさに同感。 これからの作品が楽しみですし前作「蛇イチゴ」は是非観たい、いや、観なくては! 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 10点(2006-10-29 23:20:01) |
19.信用と懐疑、羨望と嫉妬、そして真実と嘘。二人の兄弟を引き裂いたのは一人の女性の死を期に初めて露呈した互いの胸の内だったわけだが、果たして偽ることは罪なのか。時には自分を偽ることでしか保てない人間関係もあるし、逆に真実が誰かを傷付けることだってある。真実と嘘の間で翻弄され、時に喜び時に悲しみ、揺さぶり続けるのが人間。あの壮絶なラストに僕は思わずそんなことを考えてしまいました。 【とかげ12号】さん [映画館(邦画)] 9点(2006-10-28 12:14:29) |
18.《ネタバレ》 『ゆれた』『ゆらした』『ゆらされた』 どうしよう!俺 σ(^_^; 原因は『ゆらした』です 自分がカワイイのは仕方ないです …でお兄ちゃんカワイソス… 【栗頭豆蔵】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-10-20 17:10:32) |
17.私が田舎ものでつまらない人生を送っているからか、この物語の深淵を覗く力がないからか…。皆さん、どのあたりでゆれました?自分自身のリアルな生活で感じる「ゆれ」よりもハッとさせられました? 【のはら】さん [映画館(邦画)] 6点(2006-10-16 23:29:26) |
16.《ネタバレ》 眼力の映画と言っていいですね。 父・伊武雅刀。叔父・蟹江敬三。兄・香川照之。弟・オダギリジョー。もしこれに渡辺謙が加わったら日本最強の眼力一家だ。オイラなら、こんな一族が経営する店には絶対近づかないぜ(笑)。 とにかく目で語れる役者を集めたので、演技はほとんど目でやってる。例の「智恵ちゃんお酒飲むとしつこいでしょ」ってシーン、全然目が笑ってなかったので先読みし過ぎて「兄がカマかけたのを弟が気付いて動揺し…」と取ってしまいました。香川照之やりすぎです。 裁判所の最後のカットや、ラストシーンの一瞬の表情の変化なんかは、彼の眼力なしでは意味不明になってしまう…けど、やっぱり演技過剰だったかも(笑)。ロシア映画みたいに、もっと仏頂面で逃げても良かったような気もします。作中、最も鬼気迫る「てめェ殺すぞ!」っていう香川照之の表情が、留置所面会室のガラスに映り込んだ顔だったのも、彼の眼力をもってすればこその大胆な演出でした(DVDで映るかな、コレ…)。 オダギリジョーは主人公なんで、香川照之ほど思い切った演技はやれません。なんで観客と映画とを繋ぐために、ちょっとオーバーアクトになっている。実はこれも残念でした。どうせ全部を明らかにしない映画なんだから、もっと無表情で演っちゃってよかったんじゃないかナ、と。 そういう中で、伊武雅刀が流石の貫禄というか極めて硬派。蟹江敬三の腹黒さと合わせ、この二人でハードボイルドの世界を構築してました。 あとロケーションなんですが、吊り橋の下の三人のバックが、それぞれ違う。このシーンの間ずっと同じモノの前に立ってます。智恵子の背後には巨大な岩が、弟の背後には木々の緑、そして川で遊ぶ兄の背後にはポッカリと開いた黒い洞窟…この絵が怖すぎでした。3人の心理がおっかないくらい出ています。 さてこの映画の最大の考えどころは「兄がラストでバスに乗るかどうか」なんですが、非常に微妙です。それまでの香川照之の目の演技から《兄・早川稔》という人物像を考える限り、オイラとしては「彼はバスに乗った」と思います。もちろん確信はありません。 【エスねこ】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-10-09 01:45:02) |
15.《ネタバレ》 本当の事実は、タケルがカメラの望遠レンズでしっかりと見ていた。そのことを示唆するシーンで、僕は兜を脱ぎます。それと音楽がいい。 ミノルの恐ろしさは、人当たりのいい人格者という側面が徹頭徹尾仮面であったことにある。人から受け入れられたり、評価されたりする部分が全てウソで塗り固められた表層であることを知ったタケルは、耐えられなかったのだと思う。弟が兄を断罪したのは、チエコを殺害したかどうかの罪ではなく、兄の表層を形成するのが、「ウソ」であったことの罪であった。自分の思いを正直に出す性格のタケルにとって、正直さと純粋さは同義語だった。そのため、タケルからみてミノルの「優しさ」が作り物、純粋さのカケラもないものだと感じられたのだろう。純粋さと作為的な「ウソ」と、どちらが人間らしいのかについては様々な意見がありうると思う。とても難しい問題だ。「人間らしさ」なんかにこだわらなければ、そんなこと別にどうでもいいのだが。 【wunderlich】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-10-01 19:02:33) (良:2票) |
14.吊り橋は確かに「ゆれる」象徴として、木々が風にざわめき、鳥がはばたき、川のせせらぐショットが的確に差し込まれ、兄弟のクロースアップが見事に彼らの揺れるメンタリティをスクリーンに滲ませる、のですが、どうも映画そのものが揺れてくれないのです。 【彦馬】さん [映画館(邦画)] 5点(2006-09-18 17:21:18) |
13.《ネタバレ》 そうか・・・。腕の傷はそういう意味だったのか・・。自殺しようとしてたのか?それにしては縦の傷??って思っていた天然です・・。ゆれるっていうか私はこの映画でとても「混乱」してしまいました。私的にあの田口トモロヲさんを見えてとっても満足でした。それにしてもオダギリジョーはTVで見るときはいつも罰ゲームみたいな衣装を着てるけど、実はパッツンパッツンのパンツが好きなんだってコトがわかりました。 【さら】さん [映画館(邦画)] 6点(2006-09-14 16:40:18) (笑:1票) |
12.殺人事件後にワイドショーで平気にウソをついている犯人、「役者やな~」と常々思うと共に空恐ろしく感じ、人間はみな名優だと感心させられる事もしばしば。この映画、この人無くして成立しないのでは?香川照之がケビン・スペイシーを彷彿とさせるほどのずば抜けた演技力と存在感を見せ付けてくれました。たった一つの真実をめぐり、一人一人それぞれの思いが心の”ゆれ”を生み出し、そのゆれをシーン毎に見事に表現されていました。人間とはなんと心の弱い生き物でしょうか、人を信じるというのは斯くも難しい事でしょうか。ラストの香川照之の笑顔、本当の彼の姿はどちらなのかがまるで読めず、その先にあるのは果たしてどちらなんでしょうか?とても怖いラストでした。 【亜流派 十五郎】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-09-08 20:58:50) |
11.《ネタバレ》 人間というのはなんて不安定なんだろう。自分は相手を信じていると思っていても、相手から否定された時、今までの信頼が簡単に憎しみに変わってしまう。人間は相手がいないと一人では生きていけない生き物なのに、相手がいればいたで相手に影響されて、自分というのがどんどん変わってしまう。「本当の自分」なんて言えるのだろうか?人間という存在は常にゆれている。猛が帰ってきた事により、稔も智恵子もあっけなくゆれる。稔に「触らないで」と叫ぶ智恵子。猛にガラス越しに唾を吐きつける稔。稔のゆれを受け、猛もまたゆれ、裁判で稔に不利な証言をする。人間というものの不安定さを映画はこれでもかと見せつける。映画は最後に、ゆれるが故に戻る事もできる、と救いの手を差し伸べる。が、猛の呼びかけに稔が振り向いた所で映画は終わる。人間というのは答えの出ない、どこまでもゆれる存在だ。なんて事を考えました。 【めっく】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-09-05 02:16:59) (良:1票) |
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10.人は自分の目で見、自分の耳で聞いたことさえストレートに認識することが出来ず、脳内で一度処理された情報を追認することしか出来ない。だから人は見たいものを見て、聞きたい音を聞き、信じたいことを信じる。それが一己の人間性を形作っていく。事実や真実とされる事柄も、所詮は相対的な不確定情報でしかない。法廷でも面会室でも、兄は正直に自分の真実を話し、そのことが弟を徹底的に揺さぶっていく。妬み、羨望、歯痒さ、負い目。血を分けた兄弟であるが故の葛藤は、代が変わっても受け継がれ、そして弟は信じたいことを信じるに至る。自らの人間性の否定に比べれば、これまでの生活を捨てることなど造作もないこと。人はかくも弱き生き物なり…。若干32歳の西川美和は、既に師匠の是枝裕和を超えた。脚本もさることながら、絶妙のカッティング・センスが素晴らしい。唯一の難を言えば、ラストに弟のモノローグはいりませんでしたね、7点献上。 【sayzin】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-09-05 00:04:53) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 この映画を観て正直面白かったとは思わないが、「いい映画とはこういう映画なんだな」とは思った。観終った後の余韻に浸れる感じがよい。しばらくの間、頭の中で様々なことがぐるぐるとかけ巡る感じがした。 特に、観終った直後から「あの後、稔はバスに乗っただろうか。それとも乗らなかっただろうか。」ということをしばらくずっと考えていた。 意見は別れるとは思うが、恐らく稔はバスに乗って、猛の元を去ったのではないかと思う。 稔はこの事件を通じて猛に対して兄弟の関係を問いたかったはずだ。稔は「智恵子が付けた爪の傷跡(無罪を立証する物証)」というカード(信頼)を猛に委ねて、猛に対して執拗に兄弟の関係をぐらぐらとゆらしてみた。その激しい揺れに耐えかねて、そのカードを切らずに猛は稔を裏切ってしまった。 しかし、ラストでようやく稔は「兄」の存在の大きさに気づかされる。「今、自分がこうしているのも兄のおかげだ」と。 稔と猛の兄弟は、兄弟という関係に初めて真剣に向かい合って、ラストには真の意味で昔のような兄弟に戻れたと思う。それは猛の叫びと、稔の笑顔が証明している。 確かに兄弟という関係には戻れたと思うが、以前のような生活には戻れないはずだ。 やはり、弟の裏切りには、責めを負わせる必要があるだろう。兄は、なにもかも奪ってしまった弟から、はじめてなにかを奪われる責めを弟に負わせたはずだ。稔は猛から「兄」という存在を奪ったのではないか。だから、自分は最後にバスに乗ったと思う。 また、稔自身もリスクだけを背負ったわけではない。もし弟がカードを切らなかったとしてもよかったと思ったはずだ。この事件がなければ、田舎町でしがないガソリンスタンドを経営し、ボケた父親とともに一生つまらない人生を送っただろう。いっそのこと有罪になることで、彼なりに「つまらない人生からの逃亡」を謀ったのではないか。 そういう点からももうあの家には戻らないだろう。 猛がカードを切って無罪となれば、猛に対して語ったようにガソリンスタンドを改修して、田舎町で人生を送るつもりだったのだろう。弟からの信頼があれば、つまらない人生に対しても意義を見出せると思ったのではないか。 【六本木ソルジャー】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-09-02 02:48:59) (良:3票) |
8.大根だと思っていた役者の演技に脱帽。一人一人の役者の演技がとてつもなく凄い。役者の演技を見ているだけでも本当に楽しかった。邦画でもこういう作品が作れるんだと感心し、そして嬉しく思った。内容もとてもいいと感じた。物語の進み方は邦画ならではの淡々とした構成なのだが、全く飽きる事無く最後まで引き寄せられっぱなしだった。おもしろいと感じた事の一つに食事のシーン。これがまた、どの食事のシーンも全くおいしくなさそうなんです。まさに砂を噛むと言うか、ゴムを食べている様な重苦しい感じが実にうまく表現されています。人間心理の描写が本当にうまい監督なんだなと感じました。 【はむじん】さん [映画館(邦画)] 8点(2006-08-27 01:14:26) |
7.ミステリー??うーん・・面白いんだけど微妙に消化不良かも。映画館で見なきゃいけないってほどじゃなかった。 【ひで太郎】さん [映画館(邦画)] 5点(2006-08-21 19:15:43) |
6.《ネタバレ》 新聞(ここのサイトでも)などでの高評価からちょっと 期待しすぎてしまったのか、実際に見ての感動はあまり感じられませんでした。 あまり先入観を持たずに見るべきだったのでしょうか。意味深な会話や印象的 な映像の挿入など心理劇を盛り上げる工夫が盛りだくさんで、監督の思い入れ を感じますし、主人公二人や脇を固めたベテラン俳優陣の演技力には感服しま すが、やや食傷ぎみでした。 謎解きがテーマではないと思うのですが、結局真実はどうだったのか、にこだ わってしまいました。 「最初に兄が証言したように、彼女が勝手に落ちて、兄は手をつかんで助けよう とした」なのか、それとも弟が証言したように「彼女の言葉に逆上した兄がわざ と突き落としたのか」。兄の腕に残った傷をみれば(意味ありげに何度も映して いましたが、なぜ弁護士がそれを兄に有利な証拠として取り上げなかったのかだ ろうか?)、前者だと思うのですが、じゃあなぜ弟はあんな証言をしたのか。 弟の妄想なのか。なぜ兄を嘘つきだと思ったのか。もし前者が真実なら弟の証言 には悪意があり、出所した兄は家に帰ろうと迎えにきた弟を絶対に許すわけはない、 などなどすっきりしない点が多々残りました。(こだわり過ぎなのかもしれません) 【キムリン】さん [映画館(邦画)] 6点(2006-08-20 19:39:02) (良:3票) |
5.《ネタバレ》 香川さんの演技すげー。鳥肌。田舎もんが都会もんをうらやむ姿、土下座する姿、オダギリジョーに悪態をつく姿・・・それぞれの姿にどぶっと感情移入しちゃいました。そんでもってとても映画らしい映画。至る所に映画ゆえのこだわりが見られる。若いのにすごいなー、西川監督。人の心は揺れに揺れる。だけどいくら揺れてもブランコのように元に戻る。人間ってそんなもんでしょ。だからやり直せるのよ。 【とむ】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-08-18 22:49:48) |
4.《ネタバレ》 すごく良かったです。「これ!」という結論があるようにも取れるし、ないようにも取れる。先が読めるようで、読めなかったりもする。人の感情というものをとても巧く捕らえていらっしゃるな、と感じました。人間とは、自身を凌駕する感情を理解できるときもあるし、理解できないときもある。感情から生まれる衝動を抑えられるときも抑えられないときもある。そういうことを考えさせてくれるような、思い起こさせてくれるような、行間がある、観るものにそういうすき間を与えてくれる素敵な映画でした。香川照之さんの演技の素晴らしさには感動しました。 【aimee】さん [映画館(邦画)] 9点(2006-08-11 00:27:23) |
【michell】さん [映画館(邦画)] 9点(2006-08-08 15:27:40) (笑:2票) |
2.《ネタバレ》 こんなに良い映画は久しぶりに観た!ただ事実を映すのではなく、人間のこころという真実を描き出していた。微妙なこころの揺れ動きを、落ち着いたカット割りと長回し気味のカメラによって見事に表現。登場人物のかすかな心の揺れを、顔をアップにしたり、カットの切り替えしの連続で役者の顔を捉えたりすることなく、淡々としているように見えて実にじんわりと、しみこむように観ている者に訴えかけてました。観ながら完全に映画の世界に引き込まれて、登場人物と同じように私の心も揺れ動いていました。心って本当は、白黒つけたり完全に割り切ったりすることができずに、微妙な感情が複雑に絡み合って混在しているもので、この映画ではそこが如実に描かれていた。脚本が綿密に作り上げられていて、久しぶりに良い映画を観ました。西川美和監督、大注目です。役者では香川照之がうまかったです。 【kaneko】さん [映画館(邦画)] 9点(2006-08-02 19:31:17) (良:1票) |
1.凄まじい映画。心理描写が深く、そして鮮やか。人間の心のゆらぎを正確にそして静かに描いた秀作。とくに盛り上がる所もなく、終始淡々としているが、ところどころでその脚本にハッとさせられ、カット、カットに力強い意思を感じる。また、出演者の演技も秀逸。とりわけオダギリジョーと香川照之には目を見張るものがある。ちょっとした仕草や、台詞回しのどれもが映画全体で有機的な働きをし、またくムダがない。またそうした演出が極度の感傷を避け、そしてこの映画の質を高め、凄みをかもし出している。どこをとっても隙がない。賞賛されるに値する素晴しい映画だと思う。 【ジャザガダ~ン】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-07-27 19:52:40) |