5.《ネタバレ》 トルコ映画史上最大の製作費(約1,000万ドル)で、トルコ史上最大動員を果たし、アラブ各国でも好評を博したとのことです。イラク戦争後の米軍によるイラク支配を描いた作品で、トルコ映画なので、トルコ人が主人公なのですが、イラク戦争におけるトルコの立ち位置の微妙さ、複雑さを反映してか、序盤は次々と出てくる登場人物達の関係が把握しづらいです。そんな複雑で微妙な話が進むのかと思いきや、後半はトルコ人主人公グループvs米国軍グループのドンパチアクションになってしまい、米国の大衆向け娯楽映画並に分かりやすいことになっていて少し残念です。米国製の戦争映画とは予算が一桁違いますが、自爆テロの映像は迫力ありましたし、特に破綻したところはありませんでしたね。米兵によるイラン人捕虜の虐待を取り入れて見たり、覆面過激グループによる人質の斬首事件を絡めて見たり、当時ニュースとして話題になったことを、うまく取り込んで、飽きさせません。この映画に出てくる、米国軍人は、いつもどおりの通常営業なのですが、この作品は、なぜか反米映画とされているようですね。米国以外の国がつくる反戦映画が、反米の認定を受けてしまうというのも困った話です。作中で米国人役を演じた役者の役者魂には本当に頭が下がります。