1.米屋の養子長五郎がどのような経緯で清水の次郎長と名乗って渡世の道に入ったか、という、いわば「清水の次郎長エピソード1」ですな。遊び人だけど、曲がった事や困っている人を見捨てる事が大嫌い、という次郎長を中村錦之助が好演。田中春男の法印大五郎や平幹二朗の仙右衛門、東千代乃介の三五郎など、脇を固める子分衆もかっちょ良いのだけれど、やっぱ見所はクライマックスの殴り込み!渡世人スタイル(なんつうの?三度笠と、縦縞のマントみたいな奴)で颯爽と駆けて行く次郎長親分と六人の子分衆(マキノ作品の走るシーンってホンットかっこ良いんだから、一度観てみてよお!)、そして大勢のやくざ達に怯むことなくカンカンカーンと威勢の良い啖呵(たんか)、んでうりゃあ、バンバンバーン!行くぜワッショイワッショイ、ぐるぐる回っちゃうぜ!ズバッ!ドスッ!イヤッホーってなもんでい!チクショー!熱いぜ。<余談>この作品が公開されたのは1960年(昭和35年)。戦後の荒廃からやっと立ち上がろうとした時期だと思うのだけれど、きっと当時の観客にとって「闇米」というのは、現代よりずっと重みのある言葉だったのだろうなあ、と思う。