★1.《ネタバレ》 笠置シヅ子演じる紙芝居屋さんと大勢の子供達が歌いながら歩いてやって来る場面を見て、思わずマキノ正博監督の大傑作「鴛鴦歌合戦」を思い浮かべてしまった。何とも軽快な感じの始まりも日守新一が出てきた途端、急に湿っぽくなってしまい、どうも日守新一が出てくるとその顔付きがいつでも暗く感じてしまう。しかし、その一方でこの映画は何と言っても笠置シヅ子の紙芝居と歌による明るさとそれを観て、または聞いて楽しそうにしている子供達の健気さが作品全体の空気をとても良い雰囲気に変えてくれている。清水宏監督の映画を観るのはこれで3本目だが、どの作品も全編に流れる空気と懐かしさ、心地の良い音楽と本当にそこにあるCGなんかじゃない、本物の大自然を生かした映像とが観ていて心癒される。それほど大した面白味のある話でもない今作にしてもやはり自分が子供の頃に楽しんだ紙芝居や桃の花の咲く下でとタイトルにもあるように木の下で大人達と歌ったり遊んだりした懐かしい思い出が甦ってきて、それでけでもこの監督の映画は観ていても嫌な気持ちにはならないし、観て良かったと言えるものがある。ラストの桃の木の下で聞えてくる歌声の響き、ここでスッパと終わらせることで残る余韻、清水宏監督は余韻の残せ方も上手いと感じる終わり方、いつまでもぐたぐたと引っ張らない所もこの映画の良いところです。 【青観】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-07-21 11:44:36) |