1.個人的にはそれほど小津作品に対して深い思い入れはないのですが、この作品もヴェンダースの「東京画」と同じく、興味深く観ました。特に印象に残ったのは、登場した監督の多くが小津作品を「普遍的」と評価していた所。大抵の日本人にとっては極めて日本的(しかも一昔前の)と映るであろう小津作品の家族像に、彼ら(世界中の監督)が自分の家族を重ねている、というのは何だか不思議な感じでした。小津映画が世界各国の監督に与えた影響は多大なものがあるようで、それ程小津作品を観ていない僕でさえ、時々外国の監督作品を観ていて「あ、これは何となく小津っぽいな」と感じられることがあります。そういう意味で言うと、小津映画を一本も観たことがない人にも、小津映画の影響が知らず知らずのうちに及んでいるのかもしれません。