21.《ネタバレ》 ついついひきこまれる映画だった。かつて主人公は借金を抱えた。妻と子供に逃げられた。妻の故郷に来てよりを戻そうと妻に会いに来る。遂に妻に会うことができたが、妻に「なんで16年も帰って来なかったの?」と言われる。しかし、何を言われようと妻と子とよりを戻そうとするひたむきな姿は感動する。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-12-29 15:12:16) |
20.《ネタバレ》 それでも人は希望をもって生き続ける、そこに静かな感動を覚える作品。三峡ダムで過去を失った(または同時進行で失いつつある、または過去を消して上塗りしたい)人々を様々な角度から描き出す。船上のカード博打から始まり、最後はダムの行く末をも綱渡りに例えて静かに幕を閉じる。その場にいるような臨場感と映像美に瞬きすら忘れてしまう。 【★★★1/2】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-12-18 20:59:08) (良:1票) |
19.いまや世界の「脅威」ともなった中国だが、そういうものは感じられずこの頃はまだそんなにパワーがなかったのかもしれない。ただし、現代でも都市と農村の格差というのは大きいわけで、こういう風景・風俗は残っているところもあるだろう。日本人の自分が見ても「この頃の中国はまあこんなもんだよね」という感想しかないのだが、本作は国際的に評価されたようで、それもある種の「オリエンタリズム」なのかなと思ったり。 |
18.服はボロボロ、メシは不味そうでも、全員携帯は持っている。日雇いの肉体労働者がギリギリの生活をする一方で、やたら豪華な橋が架かろうとしている。沈みゆく町のそんなギャップが、見どころといえば見どころでしょうか。 しかしまあ、退屈なお話でした。タバコだの酒だのというテロップの意味もよくわからないし、妙なUFOとかロケットとかももっとわからない。いずれにせよ、この程度なら検閲に引っかかることもなさそう。 ちなみにオープニングを見て、本題が始まるまでのつもりで1.5倍速にしたのですが、途中でそのことをすっかり忘れ、結局最後まで1.5倍速のまま見てしまいました。それでもまったく違和感はありません。長江の流れのようにスローリーな作品ということで。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-04-01 01:52:38) |
17.《ネタバレ》 導入部では、ランニングシャツのオッサンがあちこち訪ねたりどうしたりしているだけなんだけど、その無力ぶりがかえって面白い。また、じわっと動くカメラで撮られる長回しや、人物の沈黙や静止の活用、さらには画面内の人物配置バランスなどは、テオ・アンゲロプロスを彷彿とさせる部分もある。しかし、もう1人の主人公である女性が絡んでくるはずが、これが媒介として機能していないのです。シンプルにオッサンを最後まで追い続けて尺も短くしたら、もっと強力な作品になったのにと思いました。ラストの「え、そう落とす?」という着地には、別な意味でインパクトがあっただけに。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-03-27 22:03:36) |
16.雰囲気は嫌いではないけど、面白いかといわれるとそうではないかな。 【noji】さん [地上波(字幕)] 4点(2012-11-02 22:40:33) |
15.主人公の一人は特に見栄えも良くもないオッサンで、しかも9割方はくたくたのランニングシャツ姿でウロウロすると説明すれば、とても魅力的な作品とは思えないでしょう。ところがどうして、これが面白くて見入ってしまうのですからジャ・ジャンクー監督は、映画は、凄いのです。不勉強なもので三峡ダムのことなどほとんど何も知らず社会的背景をしっかり理解していないので、もしかせずとも全然わかってなくて色々と見落としているのかもしれませんが、そういった部分を差し引いたとしても、ただ単に人間と移りゆく時代の姿に胸を打たれたのです。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-02-14 18:31:41) |
14.《ネタバレ》 やがて水底に沈む、鉄さびの匂う貧しい瓦礫の中の労働。しかし、人々の暮らしや街や河の詩情は豊かで、汽笛、クラクション、工事音、恋唄などの演出もあり、画面の印象が深まっている。男は過去に拘泥し、女は未来に舵を切る。浮かびあがれるだろうか。なで肩ランニングのオヤジどもがべちゃべちゃ食って、飲んで、タバコ吸って、信頼して、時に幻が空をよぎったり、発射したり。ものうげな遠近と近景に眠気を誘われた2時間でした。 【ねこひばち】さん [DVD(字幕)] 8点(2011-02-21 22:46:28) |
13.《ネタバレ》 ダム建設工事が進む長江上流の街をさすらう男女を別々の視点から描いた良作です。高低差のある町並みを静かに追いかけてゆくカメラワーク、ダム建設のために解体されてゆく家屋、汗ばむ男たちの裸体と大河のうねりが絶妙に組み合わさっています。映像の隙間の作り方が素晴らしく、携帯番号を交換するだけのシーンや、扇風機で胸元の汗を飛ばすシーンであっても、思わず見入ってしまう魅力がありました。 【さめがい】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-12-22 22:31:37) (良:1票) |
12.三峡ダム建設は、世界的なニュースとして有名だが、日本人からすれば、それは単なる海外で起きているニュースにしかすぎず、当然、それに関して特別な感傷を持ち得ない。 それが、本作を観て、心を揺さぶられなかった最大の要因だ。 当然、三峡ダム建設によって住まいを奪われた人がこの作品を観たら、生涯忘れられない作品になるだろう。 映画祭常連のジャ・ジャンクー監督が、数々の受賞歴の中でも一際輝くヴェネチア映画祭グランプリを獲得した本作ではあるが、彼のフィルモグラフィの中では決して上位にくる作品ではないだろう。 万人受けする作品より、もっとジャ・ジャンクー色が出た作品を撮ってほしい。 決して、チェン・カイコーやチャン・イーモウの二の舞になって欲しくはない。 ただ、それを祈るのみである。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-02-16 00:54:09) |
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11.《ネタバレ》 様々な批判を浴びながら建設が強行された三峡ダム。長江(揚子江)をせき止めたこの有名なダムが舞台です。今の若い日本人が見たら別世界かと思うような人々の暮らしぶり。ダム湖にかかるアーチ橋に灯りが点灯する様は見る者に激しい嫌悪感をもたらすでしょうが、これこそ戦後の日本人が辿ってきた道でもあり、その結果、いまの日本という国があります。エコの教訓などを垂れるひまがあったら、こういう映画を見て世界の現実を直視してみるといいでしょう。 【きのう来た人】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-02-06 07:03:47) |
10.《ネタバレ》 嫁さんをお金で買うのには少し驚いたけど、ストーリーに大した意味はない。同様に、芝居自体にも観るものはない。飛んで行く建物もちょっとした遊びで深く考える必要はない。これは作品全体から中国を感じる映画だと思う。やる気が有るのか無いのか分からないような空気感があの国の虚飾のない日常なのでしょう。それは観光などでは見えない側面です。この監督の作品は「一瞬の夢」に続いて2作目だけど、今作の方がメッセージが明確でした。携帯電話は持っていても、尋ね人を探し当てるまでに何ヶ月も掛かる。決して人口が多いからじゃない。それを見せてもらったことには、意味がありました。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-01-13 18:36:39) |
9.んーあまり響かなかったなあ。「烟・酒・茶・糖」ってのもなんかむかついた。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(字幕)] 4点(2008-12-28 23:12:42) |
★8.まず目がいくのは映像の美しさ。ほとんどのシーンが曇り又は雨で、全体的に青白く霞がかかったような感じで非常に美しく、マイナスイオン大放出の癒し系映像となっております。ドラマは前半後半でふたつに別れていますが、殆ど接点もなくただ二本立てといった印象。しかしどちらも描き切ったという印象はなく、何のためにこういう構成にしたのかちょっとよく分かりませんでした。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-10-26 17:14:57) |
7.急速に発展する中国とその近代化の弊害を描き続けるジャ・ジャンクーのいつもの映画でありながらも、ドキュメンタリータッチの鋭い視点とドラマチックでスケールの大きい物語という相反する両者が奇跡的ともいえるぐらいに見事な共存を見せる。消えゆく街の、家々の中に密集する、もの言わぬ小物たちがそれぞれの生活を語る。そこで人は食し、眠り、生きてきたと。その証しを全て無かったことにするかのように水の中に沈めてしまう近代化という名の脅威。世界最大のダム建設が過去に何度も政治的都合で中断されたように、ロケットのようなイビツなカタチをした建物がまるで近代化の弊害の象徴のように建っている。そしてまさにロケットと化して飛んでゆく。映画にしかできない演出を躊躇なくしてみせる大胆さに感動した。ラスト付近でも綱渡りをする人影が写されたりとドキュメンタリーとファンタジーを見事に融合させる。綱渡りは、男がこれから向かう場所が命を落とすかもしれぬ危険をはらんでいることのメタファーだろう。ジャ・ジャンクーらしい繊細さと稀に見る壮大さを併せ持っているとんでもなく素晴らしい映画だと思う。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 9点(2008-09-25 17:51:45) (良:1票) |
6.このテンポ、ゆったり流れる長江に重なる。会話の‘間(マ)’には、より長い会話がある素晴らしさ。最近の機関銃のような、途切れることの無い会話が多く、付いていけない私には心地よい。 これは西洋には無いし理解出来ないと思ったが、ヨーロッパの人も解るのだなあ。 自然(長江に代表)と人工(建物が代表)が青白き水墨画の美しさと構図で表現。中国大衆の歌謡曲?らしき音楽が又良い。私が若い頃の行った中国とあまり変っていない様な風景。でも皆の携帯電話のやり取りが現在だと実感させる。でも建物らしきモニュメントがロケットのごとく、飛びだったシーンにはポカ~ン?監督インタビューとして「飛んでいくタワーは住民の移住を記念して市が建てたモニュメントですが、建設途中でお金がなくなり未完成のままです。三峡の美しい風景とあまりにそぐわないので、飛んでいって欲しいと思い、あのようなシーンを作りました。」とあったが私には不要な場面だ。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-08-27 17:33:33) |
5.《ネタバレ》 三峡ダムのために水の中に沈む村を写した写真展を見たのですが衝撃的でした。長江哀歌は、その沈む街に帰ってしまった妻を呼び戻しに行く夫と、帰ってこない夫を待っている間に他に好きな人ができて結婚すると告げに行く妻の、別々の話を2つ描いていますが、あまり意味がない気がしました。おまけに妻を呼び戻しに行く夫は妻を愛している感じがしなくて(メイドのように)必要としている気がしました。もともとお金で買った妻なので、そうなのかもしれないけれど、妻も夫との暮しが嫌で逃げただけということだし、感情が見えない映画でした。三狭ダムで消えゆく土地を描くのなら別の方法があり、お金で買った妻を探しに行く映画なら、日本の田舎にフィリピンなどから嫁いできて、子供ができてさえも、お金がたまった途端に国に帰る妻の話を描いた方がリアルだと思います。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-08-11 04:06:13) |
4.《ネタバレ》 せっせと作られていく廃墟の街のその荒廃ぶりが、フィルムに記録されていく。外からの暴力にあって廃墟となったわけではない。強制立ち退きという、いわば内なる病魔によって、秩序正しく蝕まれていったその荒廃は、より痛ましい。消毒液を撒く人たちの姿も凶々しく、破壊するための労働に従事している男たちの肉体のみ、テカテカと光っている。近代化とはどこの国でも結局こういうことになっちゃうんだなあ、という深い諦めのようなもの。街をなくしてダムにたたえられることになるだろう膨大な量の水に圧倒されながら、その街をさすらう女の飲むペットボトルの水がより貴重に見えてくる。いくつかはさまれる驚きのカット、京劇役者が部屋に座っているのは、消えていく伝統ってことかな、と考えられないこともなかったが、飛んでっちゃった建物は、私にはまったく理解不能だった。それが何を意味するのかも、そのカットが入ることでこの映画にどういう効果をもたらそうとしたのかも。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-07-11 12:12:48) |
3.新宿の映画館行ったら、自分以外全員お年寄りだった。 主人公は1人で競艇場にいそうなおっさんだし、たしかに哀歌(エレジー)というのがぴったりな渋い作品。 現実を憂う内容なんだろう。 雄大な大河と共に生きる人の想いが交錯したり、は、しない。 勝手な想像しといて何だが、長江どころか中国まで少し嫌いになった。 【祥子】さん [映画館(字幕)] 4点(2008-06-26 18:24:13) |
2.《ネタバレ》 評価が高いので、楽しみに観たのですが、自分にはイマイチでした。主人公といえる人物が最初の方で出てきたので、ドラマがあるのだろうと思ってましたが、観終わってみると、これはドキュメンタリーに近い作品でした。ただ、中国に関するドキュメンタリーって、何かって言うと、大声で言い合う中国人が出てくるので、この作品の静かさは意外で、「お前の住んでたところも美しいんだなあ」なんて中国人が言うなんて、と驚きました。やはり、底辺で働いてる人同士ではこんな情の交流があるんだなあと当たり前かもしれませんが、そう思いました。ビルがロケットのように飛んで行くシーンはよく分からない。まだ若い監督らしいので、こういうこともやってみたかったんでしょう。配給がオフィス北野というのが関係あるのかな? 【トント】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-05-08 16:27:20) |