6.《ネタバレ》 単純に映画としてみた場合、良くも悪くも、本広監督らしい
可も不可もない微妙な作品でした。
ですので、5点という評価をさせて頂きます。
ももクロを知らないの原作本のファンなら、酷評する方もかなりいるのでは。
ファンにとっては、これ以上にない楽しい作品ですが。
本広監督は「ただのアイドル映画にはしたくなかった」と仰ってます。
各メディアでは、それを純粋な青春映画を目指したと受け取ったようですが、作品を見た限りでは、
「ファンに向けて真面目に作った作品」、ファンのために非常に良く作られた「アイドル映画」という印象でした。
長編の原作を120分に縮めるためためには、
様々な部分に手を加え、説明を加えなければならないと思いますが、
正直なところ特に各キャラクターの人物像で、この点が大きく欠落していると感じます。
ところが、ももクロのキャラクターに親和性が非常に高いこの作品、
ファンに対してはこの部分でほとんど説明がいらないのです。
そのままメンバーに重ねてみればいいだけです。
唯一、中西さんだけが、
「滑舌が悪い」
「声が出なくなった」という原作にはない設定がもりこまれ、
演者の杏果に重なるように誘導されています。
このほかにも、
ユッコ(しおりん)と中西さん(杏果)が打ち解ける重要なシーン、
舞台道具に色を塗ってるシーンは、
ユッコが緑色、中西さんが黄色(お互いが相手のももクロでの担当カラー)を塗っているという象徴的な演出
さらに、結構重要なシーンでのBGMに
「行くぜっ!怪盗少女」や「あの空へ向かって」が使われていたり、
最終的にエンドロールで唐突に始まる「走れ!」
これら全てが、この映画が、ももクロの成長とリンクするのだと示唆され、そこに一番のキモがあることを教えてくれます。
そのために、ファンは歓喜し感動を覚えるのです。
逆にファン以外の人間には、そのキモが全くわからないでしょう。
つまり、この映画はももクロを熟知した者がファンにのみ向けて作った限定的な傑作なのです。
よく、「人を選ぶ映画」といわれるものがありますが、
たぶんこの映画は「ファンを選び出す」映画です。
結論:この映画は「アイドル映画」の範疇からはずれない、
逆に「アイドル映画」をとことんまで突き詰めた映画です。
そこにこそ、この映画のキモと制作者の覚悟があるのです。