68.《ネタバレ》 製作者のやりたいことは分かるが、描き方がまずかった。
嘘をつき、アル中を隠し、何とか無実を勝ち取ろうとする主人公。ところが最後の最後で、主人公は嘘をつくのやめ、すべてを正直に話す。
こここそがこの作品のミソであり醍醐味でありテーマである。…のであるが、残念ながら、それがうまくいっていない。
というのも、その「正直に話すきっかけ」になったトリーナという客室乗務員について、作中でほとんど語られていないからだ。
最後に正直に罪を認めたのはどう見ても「トリーナに罪をかぶせることはできない」という気持ちからに見える(もちろんそれ以外もあるだろうが)。トリーナの遺影を見て、主人公が答えにつまるシーンから見ても明らかだ。
だが、そうであるなら、どうして作中、もっとトリーナにスポットを当てなかったのか?
そもそもこのトリーナという女性がどういう人物だったのかが作中に全然描かれていない。
一番大事な「主人公とはどういう関係だったのか?」すらほとんど語られない。最初に主人公とセックスしてるのもトリーナで、そこから主人公とトリーナが懇ろなのは察しがつくものの、そんなの誰も覚えてないって。
彼女はアル中だったらしいが、その事実すらも最後の最後でいきなり降って湧いたように明らかになる。
さらには事故の時、トリーナが死んだシーンすら出てこない。何でだ? 別の搭乗員のカミーの死亡シーンは出てくるくせに・・。
他にトリーナが出てくるシーンと言えば葬儀のシーンだけ。見てる方は完全にトリーナって誰だ?状態である。
これで「トリーナに罪をかぶせることはできない」「だから俺は正直に話す!」ってなっても感動もクソもない。
この重要なシーンにからむトリーナをもっと話に出すべきであった。それなのに、ニコルというよくわからないシャブ中女はやたら出てくる。
逆にこいつ、出す意味ある?あんまり話に関係ないじゃない。
あとは、ちょっと長ったらしいことも残念だった。中だるみしすぎ。この話なら1時間半くらいにまとめてもいいい。