7.《ネタバレ》 ハンフリー・ボガートがハイシエラに立て籠もるシーンに「死の谷」が浮かびました。鑑賞後、本作をラオール・ウォルシュ監督がセルフリメイクしたのが「死の谷」なのを知る事に。出世作となったボガートの魅力は感じたものの、起承転結は元旦早々から涙したリメイク作には遠く及ばない。崖から転げ落ちる最期のスタントマンの仕事ぶり(あれで生きてられるのが凄い!)に+1点。 |
6.《ネタバレ》 宮崎駿監督がこの映画を見たか否かは不明だが「カリオストロの城」のカーチェイスの原点がここにあった!、と思うくらい良く出来たカーチェイスシーンがある。警察から逃げるロイはハイ・シエラ(=シエラネバダ山脈)を駆け上がるのだが、車が重そうだし(だがスピード感はある)、性能も今ほど良くないので時々スリップしかけてる。当然山道だから道を外れれば命はない…。このヒヤヒヤ感は狙ったものかは分らないが、素晴らしかった。その後、ロイは山に篭り抵抗。一夜粘って、朝日をバックに何を思うかハンフリー・ボガートのかっこよさ。逮捕より死を選ばせてあげたマリーもさすがロイを好きになった女、分ってらっしゃる。大物犯罪者の散り際を二人の女性と一匹の犬を絡めて、これだけ面白くしたのは見事。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-04-16 11:19:05) |
★5.《ネタバレ》 己の身より約束を優先するボガードの男っぷり。高みへ高みへと上りまっ逆さまに落下する呆気ない無惨さ…というこれは男の映画であるのですが、同時に女の映画でもあります。純情な娘とあばずれ女との対比。求婚されれば恋人がいると泣き出し、脚が完治すれば踊りまわる娘は残酷なまでに無垢。対して一度は頼った男を殴れないという女には不幸なまでの献身さを感じさせます。娘の脚が治った後、ボガードとこの女二人が対面するシーンが良いです。怪しげな恋人と踊りはしゃぐ娘は今までの純朴な描写と異なるからか、その喜ぶ姿は当然であるのにどこか退廃的なものを感じさせます。そしていけ好かない恋人に凄むボガードの怖さと幻想が立ち消えた失望の姿。さらにそこへ乗り込まずにはいられない恋する女…。男と女と、その繊細な恋愛模様がこの一幕でバッチリ描かれています。 それから凄いのは犬の使い方、抜群です。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-09-25 18:08:02) |
4.《ネタバレ》 ハンフリー・ボガートの出世作、既に風格充分でワイルド&スタイリッシュ。背は低いし顔は大きいのに細身のスーツが最高にクール。それにしてもこの作品の二人の女の描き方はまさに秀逸ですね。まさかの求婚にはずっこけたけど、内反足だった女の素性を描くためには求婚しかないかなと思える。それにしても灯台下暗し、自分にとって最高の女が身近にいるのに自分の心の中の安らぎというか、"キャバクラ嬢にのめり込むのとほぼ同次元で惚れちまってるぞ!"とボギーの肩でも叩いてやりたくなります。それにしても人間は怖い。クララが立った歩いたうちは感動するけど、歩けるようになったクララのキャラが激変することも充分ありえる、いやそんなもんだとも思う。 【よし坊】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-02-05 00:33:25) |
3.うん!これまた面白い映画見っけ!久しぶりにハンフリー・ボガート主演の映画が観たくなって借りてきましたが、これは面白いです。まずは何と言っても主演のハンフリー・ボガートがかっこ良くて渋くて男の中の男て雰囲気を十分に醸し出している。犯罪映画ではあるけど、これは男の女の切ない恋愛映画でもあると言えよう!ハンフリー・ボガート演じる一人のギャングとそこに関係する二人の女の描き方がとても味わい深い上にスリリングで観ていて面白かった。この作品を観てもハンフリー・ボガートという俳優の持っている人間臭さ、紳士的な人柄、愛する女の為に闘う男のロマンとでも言うべきか?が描かれていて、この作品もハンフリー・ボガートの魅力再発見出来て良かった。そして、この作品で忘れることの出来ない犬ですよ。犬!この映画の中に出てくる犬がこれまた本当に良い! 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-10-14 18:49:43) |
2.余韻を拒むようなサクサクしたテンポが心地よく刻まれるボギーの犯罪映画。雪に覆われたシェラの山々、出所したボギーが公園を歩く時の澄んだ空と風に揺れる木々のざわめきに彩られる画面は<フィルム・ノワール>に対し<フィルム・ブランカ>と呼びたくなるような白さを感じさせます。そして足の悪い少女、ボスの病死などを描きながら、男女関係、上下関係に全くべとつきを感じさせない乾いた人間関係の爽快感が全体を覆い、最も存在感を漂わせる犬・・・その犬にまつわるエピソードが序盤に語られることで、そのしぐさが愛くるしいほど相対的に「不吉」さがじゃれるように始終フィルムにまとわりつき、ラストでバスケットから左目だけをのぞかせるその犬のショット、牧歌的なこの弛緩したショットが不吉性の飽和状態を突き破り、必然なる結末を予感させる鮮やかさはお見事。これは“いぬのえいが”です。 【彦馬】さん 9点(2005-03-22 17:10:50) (良:2票) |
1.伝説の宝石強盗に二人の女を絡めた犯罪映画で、久し振りに観るボギー作品。今はバイオレンスとセックスの描写そのものを主眼とした殺伐としたものが多いが、往時はこの作品のように、犯罪映画の形を借りて人間のロマンを追及したヒューマンな名作が多くあった。ややセンチメンタルな所もあるが、名シーン、名セリフが随所にちりばめられた中々の秀作である。 【きりひと】さん 8点(2004-03-30 14:16:55) (良:1票) |