1.《ネタバレ》 現代劇が主流のロベール・ブレッソンが、騎士道末期の時代を描いた、言わば異色作。
ブレッソンは現代劇にこそ、その真価を発揮すると個人的には思っているだけに、やや不安をおぼえながらの鑑賞だった。
騎士道という独特の世界を描いているので、ブレッソンらしさは多少薄くはなっているものの、その映像からくる静寂感と荘厳な感じは健在。
話は正直分かりづらく、入り込みにくい。
しかし、ブレッソンはそれを彼独自の映像感覚と映像的静寂感をもって見事に料理している。
それでも尚、ブレッソンはやはり現代劇に向いた監督だと私は思う。
ブレッソンが永らく映画化を望んでいた題材らしいが、観ているこちらはやや置いてきぼりにされる感は否めないところ。
ブレッソンの有名作品に比べると、本作は一段落ちると感じる。
それでも、ブレッソンが好きな人には、どうしても観てもらいたい作品であり、又、観るべき一本である。