★15.《ネタバレ》 「思惟や思想とは関係なく、ただ人生は続くもの」という寓話をロシアの大地と生活を綴り描写したコラージュ作品と若い時は思っていたけど、もうこの映画に関してはブルース・リー曰く「Don't think, Feel」的な見方、意味なんかどーでもよい、それでいいのだと感じてる自分がいる。初見の20代はジャガイモをハフハフする狼くんにキュンとし、30代は戦争をイメージする人生の暴風雨に気が滅入り、昨日久方ぶりに鑑賞した際は打ち上げ花火と物悲しいアコーディオン音楽にホロリと来た。さて、次回鑑賞時にはどんなシーン情景に心揺さぶられるのだろう。 持っててよかった、ブルーレイ。はいいんだがもうそろそろ、再販していただけないですかねぇ?限りなく9点に近い8点。 【Nbu2】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2024-10-13 10:38:54) |
14.《ネタバレ》 GYAOの無料動画で視聴。「25日・最初の日」「ケルジェネツの戦い」「キツネとウサギ」「アオサギとツル」「霧の中のハリネズミ」「話の話」の6本。とくに最後に2本には、まるで自分自身の体験だったかのような強烈な既視感。不安や焦りをともなったノスタルジー。もしかしたら昔どこかで観たことがあるのかしらと疑ってしまう。 「話の話」は、一見すると脈絡のないイメージの連なりのようでありながら、何度か見ていると内在している物語が見えてくる。赤ん坊をあやす子守歌。端っこに寝ていたら子供のオオカミが脇腹をつかまえて森へ連れて行ってしまう。そんな子供の狼がいつしか主人公になって、子供の視点から大人たちの世界を巡っていく。 大きな牛と縄跳びをした時間が終わるように、木の上でカラスと林檎を食べた時間も終わってしまう。旅人が海辺を去り、漁師の父が海へ出ていったように、母とベンチで話し込んだ父も見知らぬ場所へ行ってしまう。エンジンを噴き上げる自動車。木の葉を吹き飛ばす列車。戦争で引き裂かれる男女。 現在のアパートに残っているのは、足踏みミシンのブランコと、焼け焦げた木の枯葉と、茎の生えたジャガイモ。風に巻き上げられてくるまったテーブルクロスのように、テーブルから盗み出した詩人の譜面もくるまって赤ん坊に変わる。海岸で詩人と猫が書いていたのが、ほかならぬ自分の子守歌だったのかもしれない。 【まいか】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-07-01 17:26:11) |
13.ノルシュテインの映画は初めて見たが、その独特の世界が新鮮だった。 まず、画のすばらしさに引き込まれる。 どうやって作っているのか気になり、ノルシュテインのドキュメンタリー映像を見てみた。 CGを使わず、ものすごい労力をかけて作っていることに驚く。 わずか十秒ほどの街角のワンシーンに、数ヶ月かかることもあるとか。 ディテールに徹底的にこだわり、妥協を一切許さない姿勢がすばらしい。 手書きの切り紙を使った独特の技法で紡ぎだす世界は詩情にあふれ、まさに映像の詩人と呼ぶにふさわしい。 セリフがほとんどないシュールな作品だったが、わからなくても人の感性に直接訴えかけてくる。 沈む夕陽を眺めていると、センチメンタルでノスタルジックな感覚を呼び起こされるが、それに通じるものがある。 名画や名詩と同じように、そこに普遍的な何かがあるから心が揺り動かされるのだろう。 ストーリーがシュールなものは元来苦手なので評価はしづらいが、最もアート性の高い映画といえるかも。 【飛鳥】さん [インターネット(字幕)] 7点(2013-02-02 21:46:04) |
12.ソ連末期の映画人って、映画史上一番デリケートな人たちって気がする。ハッキリ言えないからこうなるのか、ハッキリ言えないことがもう習性になり、こういう世界を作るの専門になってしまったのか。ノスタルジアの世界。牛が縄跳びをする、永遠に失われた世界。戦争があってタンゴの場から男たちが狩り出され、ある者は不具になって帰ってくる、ある者は帰らない。そしてもう一度あの懐かしい世界へ狐が忍んでいく。赤ん坊に時代を越える何かを託しているよう。それらがデリケートにデリケートに綴られていく。風に吹かれるテーブルクロスの美しいこと。雪の中に落ち続ける梨。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-01-10 10:00:36) |
11.終始セリフは少なめで、より詩的な色合いが強く出ている中篇。 オオカミがこれまた愛嬌のある顔をしていて、それでいてどことなく哀愁が漂っている。 このオオカミが人間の赤ちゃんをあやすシーンなんか、ぐっとくるものがあった。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-03-22 10:00:51) |
|
9.《ネタバレ》 時折見せる写実的な画のあまりの完成度に緊張感が漂う。何故こんなにも光や土や水や木を捉えられるのだ。何故大きな一枚の画を自由に眺める視点のような、二次元を散歩しているような感覚を作り出せるのだ。 現実世界では、男たちが戦争に駆り出され女の下を去って行き、狼は車の排気でくしゃみをする。夫婦同士でさえ仲良くできない両親と言う現実を見せられた瞬間、カラスと林檎を分け合い肩に手を回す子供の夢想はハジけて消える。 一方、牛や猫や男や女が共に縄跳びをし、揺りかごを揺らす2次元の世界。魚までもが同じ画(世界、社会)に収まるフィクションの世界。眩いほどの光を放ち、正体が分からないほどにイノセントな生命。 ユートピアから盗んでしまった子供、ユートピアに近付くための必死の子守唄。 戻ってくる男と戻れない男、片足を失った男。 そして花火。 再び夢想に浸る子供。 それとは対照的に魅力を失っていくユートピア。牛はひとりで縄跳び。男は一人でイスに座る。 必死の子守唄が実を結んだ瞬間。人間ではなく獣によって理想郷を必要としなくなったその瞬間である。 【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-09-24 12:49:10) |
|
8.村(町?)から男がいなくなったり、オオカミが子供を育てたり。なんか悲しいお話です。皮肉です 【ようすけ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2006-05-14 17:23:29) |
【魚弱】さん 10点(2005-03-13 15:09:20) (良:1票) |
6.初めて見た時は、なんじゃこりゃ?でした。点数にしてせいぜい5点がいいところか。ただあまりにも意味不明だったのでもう一度見てみました。ところどころの意味がわかってきました。全てはわかりません。でも少しわかっただけでたまらなく好きになってしまいました。もう一度見ました。今度は考えずに眺めました。どんどん好きになってきました。さらにもう一度見ました。なんなのでしょう、この感じ。映像詩という言葉がぴったり。いろんな時代を見てきたオオカミの子供。牛や猫がでてくる家族団欒の画は理想郷?光は眩しく火は温度を感じ、さまざまなエピソードに季節が宿る。また見たくなってきた。 【R&A】さん 8点(2004-10-01 16:24:37) (良:1票) |
5.出てくる映像には一つとして解説が付いてないけれど、その美しさにただただ感動するばかりです。やたらとアニメや漫画が流通している時代、いろんな人に見てもらいたいです。 【トナカイ】さん 9点(2004-06-23 00:22:08) |
4.これほどの深みをもって心象風景を視覚的に再構築出来る作家がいるとは・・。語られるエピソードすべてについて解読できる能力を持ち合わせていないが、心の奥底にずしーんと響いてくる奇跡のような映像と音楽に内省を迫られる感じ。他人の夢の中に入り込んだ結果、彼のあまりのナイーブさに打ちのめされたとでも言えばいいのでしょうか。これを観て「宮澤賢治の世界を視覚化できるのはこの人しかいない!」と強く感じました。・・・・・・その後、絵柄を真似したとおぼしき“注文の多い料理店”を見て、あまりのダサさに衝撃を受けました。浅い。 なんなんでしょうね?この違いは。 【皮マン】さん 8点(2004-02-25 00:12:02) (良:1票) |
3.初めて見たときびっくりし、自分のもつアニメという概念の薄っぺらさに呆れた。 【コーラL】さん 9点(2004-02-08 17:35:54) |
2.意外とレビュー少ないな。 散文的なテーマは特になくて(懐古趣味みたいなテーマは感じられるが)映像詩が流れる感じ。 阿佐ヶ谷のアニメ祭り見に行けばよかったと後悔、ぜひスクリーンで見てみたい。最近ノルシュテインブームなんだろうか。ジブリ美術館でも展示してるし。この前本人が渋谷に来てました 【ことり式】さん 8点(2004-01-24 22:07:52) |
1.日本でのこの作品、監督の知名度からいってなぜこんなに投稿が少ないのか理解できない。「霧のなかのハリネズミ」の印象のほうが強いからかなあ。ともかくロシア人の生活の中で民話そして詩がいまだいきいきと生き続けていることをこれほど力強く、そして美しく描ききった映像はめったにない。必見。大学生の頃、はじめて観たけど、それまでのアニメ観を改めた。宮崎駿よりもノルシュテイン体験のほうが先だったのは、幸か不幸か。。。 【バッテリ】さん 10点(2004-01-16 14:58:45) |