20.《ネタバレ》 こっちが原型とは言え、寅さんシリーズの完成度に比べるとやはり見劣りしてしまう。ハナ肇では華が無いし粋でもないから仕方ないが。時代背景も関係した批判精神も垣間見え、喜劇に徹する事ができていない点もいまひとつ。ラストの娘が安さんを覚えていないというのは、切なくもあり、馬鹿とは所詮そういうモノであるという切なくもあり、後味の悪さもある。 |
19.《ネタバレ》 まさに「無法松」と思っていたら、本当に劇中劇で登場してしまうのにはちょっと笑ってしまったが、しかし、労働争議やテロリストが日常生活の中に当たり前に絡んでくるある種の背景的暗さが、あちらと一線を画している。そして、最後の安五郎のあの「告白」、あんなに悲しい、哀切に満ちた告白の台詞は、私は聞いたことがない。●最後のダイナマイトの場面、安さんは当初、ご新造さんの依頼があったと思ったからこそ突入を決意します。しかしその後、ご新造さんはそんな依頼などしていないという正しい情報が伝えられます。それなら安さんが突入する理由はなくなったので、そこで止めてもいいはずなのですが、安さんはやっぱり突入します。なぜ安さんはそうしたのでしょうか?台詞では「人に頼まれれば嫌とは言えねえ」みたいな説明がされますが、あのシーンのハナ肇の芝居は、そんな単純な心境の表現ではないように思えます。解釈はいろいろ考えられますが、かなり奥の深いシーンです。 【Olias】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-07-19 13:41:00) |
18.山田洋二監督は自分の作品も日本の喜劇映画100に推薦していました。馬鹿でも阿呆でもある種の純粋さは心の琴線に触れるものがありますね。寅さんより素朴でがむしゃらな人物をハナ肇がいい感じで演じていました。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-08-05 18:26:58) |
17.「無法松の一生」も好きだけどこっちの映画も好き。桑野みゆきのご新造さんが安五郎の身を案じて「本当は強くないのよ。運が良かっただけ」と言ってを止めようとするときほろっと来てしまった。無法松の松五郎よりも馬鹿さ加減が目につくけど、人間くさくて良い。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-02-15 21:41:55) |
16.《ネタバレ》 劇中でも出てくるわけですが、『無法松の一生』を彷彿とさせるところがあります。安さんは松さんよりも純粋というか、世間知らず。しかしそこが魅力で、無法松と同じく、今の日本人からは失われたものを垣間見させてくれます。労働運動や、ヤクザから暴力団へと移りゆくような世相も、よく表れていました。相手役の桑野みゆきが素敵。それと、八は本当にいい奴だなあ~。きっと最後のハガキも八が書いたんでしょうね。安さんは仲間に恵まれていましたが、それはきっと本人の人徳でしょう。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-07-08 22:03:35) |
【ホットチョコレート】さん [地上波(邦画)] 6点(2012-05-20 06:35:51) |
14.普通ならホロッと泣けてしまうようなシーンもあるのですが、バックのミュージックがなんだか間抜けで、最後まで喜劇でした。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-06-30 20:07:48) |
13.ハナ肇と渥美清のからみが観られたのは良かった。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2007-10-14 17:42:29) |
12.《ネタバレ》 寅さんのパイロット版のような雰囲気です。笑えてホロリの人情喜劇。ただし控えめです。大笑いという感じではありません。まだ、笑わせ泣かせの手法が確立されていないような気がしました。本作と比べると『男はつらいよ』の洗練具合、完成度の高さがよく分かります。ハナ肇(自分たちの世代では銅像でお馴染み)も演技が上手いとは言い難い。でも自分は本作を好きになりました。親分は確かに馬鹿まるだし。御新造さんに対する気持ちも、おだてに乗りやい性格も全部バレバレ。故に周りに都合よく使われ、貧乏くじを引かされるハメに。でも本人は全然そんなことに気付かない。一所懸命が空回りするタイプ。ホント単純です。でも自分は親分さんに憧れてしまいました。冗談ではなく真面目に。自分には無いものを沢山持っているから。損得勘定なく動けること。表裏が無いこと。馬鹿を隠すことに苦労するより、馬鹿まるだしのほうが清々しい“いい生き方”に思えました。手紙で知らされた親分の最期には、不覚にも涙。「池にはまって溺死」。ちょっと笑える“らしい”死に方。植木等は言います。「大人物を亡くした」と。ふざけ半分なのは確か。でも半分は本当に尊敬していたのだと思います。それにしても命を助けられた娘さんが、親分さんを忘れていたのは切ないですね。でもそれも含めて“らしい”のかも。出来ないけれどあんな風に正直に生きてみたい。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-01-15 18:08:02) (良:2票) |
★11.《ネタバレ》 確かに「男はつらいよ」シリーズの完成度や安心感と比べれば落ちる所は多々あれど自分はこの映画、嫌いではない。「無法松の一生」に感激した男の行動は感動以前にはた迷惑以外の何者でもないし、実力を伴わない義侠心によって失明してしまう羽目になる主人公。ヒロインへの熱い想いも表面的にはまったく報われる事もなく、結局ダサいオヤジとして一生を終えた主人公。客観的に自分を見る事が出来ない、憧れのヒーローに近づくべくがむしゃらに奮闘する男ハナ肇は、スクリーンの中では愛すべき「馬鹿まるだし」である。憧れの人物になりたいと思っていても何やかんや理由をつけて「彼(彼女)は彼(女)、自分は自分」で片付けてしまう現実からすれば、主人公は自分の思うがままに行動しとりあえずは自己満足でもそれを最後まで誇示し続けたのだ。いいじゃないですか。といっても私も関わりたくはないですが。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-06-03 00:10:22) (良:1票) |
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10.もともと桑野みゆき目当てで見たんだけど、山田洋次作品だし渥美清も出てたりするのでちょっと期待したけど桑野みゆき以上のものはなかったなと。時代的にも思想的にも「男はつらいよ」のように単純なコメディとして楽しめないというか。ちょっと悲劇的するぎる気がする。 【バカ王子】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-12-30 23:31:45) |
9.ぜんぜん楽しめませんでした。「寅さん」シリーズは好きなのですが、これは合いません。要は主人公にどこまで共感できるかなのでしょうが、やっていることが意味不明な個所が何ヶ所もありました。これって、私が生真面目なせいなのでしょうか。とにかく退屈でした。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 2点(2005-11-19 19:11:35) |
8.困っている人がいたら放っておけない。頼まれたら断れない。恩義には忠誠で報いる。正しいと思ったことは相手が誰であろうとぶつかっていく。でも惚れた女は口説けない。男気を感じさせる安五郎の七転八倒ぶりに拍手を送る。 こんな馬鹿なら町内に一人ぐらい居て欲しい。 【WEB職人】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-16 11:34:19) |
7.喜劇としてはちょっと重たいけど、最後まで楽しく見られた。ハナ肇演じる安五郎のキャラクターが最高に面白い。「男はつらいよ」以降の山田作品では見られない展開や、「男はつらいよ」では見られなかったハナ肇と渥美清の絡み(初期の山田作品の常連であったハナ肇は「男はつらいよ」シリーズには一作も出ていないため。)が見られるのが嬉しい。ラストの植木等の使い方が「たそがれ清兵衛」の岸恵子と全く同じだったのがちょっとビックリした。 傑作とは言いにくい映画だけど、ラストの告白シーンにちょっと感動してしまったのでちょっと甘いかもしれないけど9点。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2005-08-14 17:47:05) |
6.皆さんと違って、私は山田洋次の最高傑作だと思う。「馬鹿」の荒々しさとやさしさ、危ないところと人の良さ、生真面目さとはちゃめちゃさが、実にペーソスをなしていて、極上だ。『寅さん』も初めのほうはそうした性格が出てたけれども、しだいに荒々しさを失って、国民的アイドルとして品良くなりすぎていった。それにテキ屋という危ないところのある設定が、もう時代に合わなくなっていたと思う。それに比べて、ここにはまだ戦後のどさくさ時代のバイタリティがあって、「馬鹿」の生き生きする余地があった。ハナ肇の油っこいところがすばらしい。それに渥美清もちょい役で出てくるが、実に生き生きとしていた。 桑野みゆき(小津安二郎『彼岸花』の娘役)も素敵だった。 【goro】さん [地上波(字幕)] 10点(2005-08-07 04:24:30) (良:2票) |
5.今さっき、30分ほど前までBS2で放送していたので今回、初めて観ましたが、寅さんに比べるとどうしても落ちる気がする。けど、それなりに楽しめました。ハナ肇演じる松さん、憎めないキャラですね。タイトル通り、本当に馬鹿まるだしな映画ですけど、そこは監督が山田洋次監督とくれば、近頃のお馬鹿で、下品なアメリカンコメディよりはずっと良い。 【青観】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-03 22:00:23) |
4.レンタルショップで一生懸命探して、背表紙の色あせた一本をやっと見つけた。寅さんシリーズに比べると重い内容のシーンが多い「馬鹿シリーズ」だけど、安さんのキャラクターが凄く好き。一生懸命で可愛い。なんだかレビュー数が少ないけれど、もっといろんな人に観てもらいたい。 【揺香】さん 7点(2004-07-08 15:57:55) |
3.寅さんの原型となる山田喜劇の誕生とも言うべき重要な佳作。完成試写を見て、喜劇を作れと会社に言われたのに、ひどく糞真面目で、ちっとも可笑しくなく、しかも全くつながってないバラバラの映画が出来た、俺はもう駄目だ、クビだと、完膚なきまでに山田監督は落ち込んだそうだ。ところが映画館で上映すると客がみんな笑ってるという知らせを受けて、劇場に駆けつけた監督は上映後、柱の陰から出てくる客に泣きながら頭を下げたという。こういうエピソードを知ると、喜劇って真面目な話なんだなと痛感する。そして、大衆がこの監督を支え育てたという事実は本当に素敵なことだと思う。 【ひろみつ】さん 8点(2004-05-09 00:37:52) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 かなり昔に見ておもしろかった記憶があり楽しみにしていた。先入観からか、やはり寅さんの原型というイメージがあるのは致し方ないか。毀誉褒貶の話だが、最後に持ち上げるための誘拐事件だけは唐突でそこは苦しいかな。ハナ肇の躍動感がたまらなく良い。何はともあれクレイジーキャッツが嬉しい。 |
1.《ネタバレ》 山田洋次の初期の代表作だそうな。正直、喜劇としてはちょっと物足りない所があります。音楽も、何と言うか「♪ほゎんほゎんほゎんほゎんほわわわわ~ん」って感じ(文字でこのニュアンスが伝わるだろうか?)で、何だかなあ、だし。ただ、主人公安五郎を演じるハナ肇(当時三十代)が眼光鋭く、黒光りしたワイルドさがあって意外にも良かったです。加えて安五郎が「ごしんぞさん(=御新造さん。他人の妻に対する敬称だと、後から辞書引いて分かった)」と呼び、密かに慕う夏子(桑野みゆき)が、すごく可憐で、息を呑む美しさ。それに、これは僕の特殊な感じ方だと思いますが、周りから「親分」とおだてられ、都合の良いように利用される安五郎の姿が、何だか「シザーハンズ」のエドワードとダブって思えてしまったのです。特に「ごしんぞさんが頼んだから」という理由でさらわれた娘を助けに行く姿は、まるでキムに頼まれたから泥棒をしたエドワードを彷彿とさせて・・・。また、特に秀逸なのがエンディング。(以下、特にネタばれ部分)事件から十数年後、安五郎の惨めな死の知らせが届くが、彼に命を助けられた娘は彼の名前を聞いても思い出すことが出来なかった・・・というラストは、ニヒリスティックでありながら切なく、衝撃的でありました。原作の方は読んでいないのであくまで憶測ですが、ここの部分は共同脚本の加藤泰によるものではないでしょうか。 【ぐるぐる】さん 6点(2004-02-06 19:23:48) (良:1票) |