6.《ネタバレ》 「ゆきゆきて、神軍」を観て衝撃を受け、奥崎謙三という人物に傾倒し、本作を鑑賞した。
しかし、あの奥崎先生は、もうそこにはいなかった。
本作の時点で存命してはいるものの、「ゆきゆきて、神軍」でみせてくれたあの気概はもうなく、奥崎先生は実質的に死んでしまっていた。
ラストのインタビューシーンが、それを如実に物語っていた。
奥崎邸を訪れ、奥崎先生カムバック!と、奥崎先生本人に必死に訴えかけるも、奥崎先生は、「血栓溶解法」と称し手首を振るだけ。
もう何を言っているのかわからない。
どんな変人も歳には勝てないのだ。
体も衰えるが気概も衰える。
そして、ますます世から離れていき、やがて誰からも理解されなくなる。
「ゆきゆきて、神軍」は、そういう意味で、もっとも良い時期に撮れた作品だと思う。
奥崎先生のキチガイぶりと、世の中の接点とかがギリギリのところで存在していた。
本作の時点では、残念ながらその接点をみることはできない。
奥崎先生は、手首を振るだけだ・・・
それにしても過激な内容だった。
スカトロシーンあり、アナルファックシーンあり、嘔吐シーンあり、オカマプレイあり、SMあり。
こんなん必要だったのか??
奥崎先生が素晴らしいのは、その思想と信念が一つ芯が通っていたからであり、それをカメラに映したからこそ、「ゆきゆきて、神軍」は素晴らしかったのだ。
本作の変態AVまがいの部分については、不要ではなかったか?
あんな変態シーンより、せめて意味が分からなくても良いから、奥崎先生の語りをもっと見せて欲しかった。