13.《ネタバレ》 暴走する色狂いのオジー、挙句に自殺 夫に何度も浮気のされ近親相姦的に息子を溺愛する母親 どうしようも無く女にだらしない父親 ヒロポンで頭がおかしくなり日々男に身を委ねる女 自堕落な生活を送り、悪い遊びに誘う幼馴染のトシちゃん 男を知って突然色狂いに豹変する幼馴染の彼女 そら、閉塞感の中、こんな変な人たちに囲まれてたら、逃げ出したくなるわな! 鳥籠のメジロを逃すシーンが印象的。そして自分も東京へ。これぞ青春の旅立ち。 ラスト、殺人犯に成り下がったトシちゃんのバンザイ!が切なすぎる。 やっぱ、トシちゃん役の原田芳雄の演技が良かった。 【とれびやん】さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-09-17 22:32:38) |
12.《ネタバレ》 これは名作で間違いないでしょう。 1970年代の日本の高知県にある村。 その小さな村、閉塞的な村社会で起こる出来事の数々。 これが実にリアルで面白い。 その村で最初は清廉潔白ながら、徐々に大人になっていく主人公。 こんだけ狭い村でドロドロとした人間関係、母親との関係、男女関係を堪能したら、もはや都会に出るしかないだろね。 東京に行っても良い事があるとは限らないけど、少なくともこんな村で一生を過ごす位なら、確かに一度は都会に出たい!と思うのも納得がいく。 日本ならではの閉塞的な村社会を丹念にリアルに描き、鬱屈とした青春時代を描いた本作は、見ていて素直に面白いし、名作と言えるだろう。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2020-09-06 19:00:11) |
★11.《ネタバレ》 昭和30年代初め、主人公・楯男が住む高知の田舎町は、人々が肩を寄せ合うように生きる、極めて濃厚な人間関係が充満する町だった。治安も性的モラルも高いとは言えず、シナリオライターを夢見る楯男にとっては何もない町に見える。
父親・清馬は近所の恋人の家に入り浸り帰ってこない。そんな父親との関係をあきらめた寂しさからか、その寂しさの代償行為としてか、母親・ときよの愛情は楯男に向かっていく。その愛情は、楯男には少しずつ重荷になっていく。
信用金庫の仕事には生きがいを見いだせず、木曜会と呼ばれるうたごえ運動で出会う涼子(竹下景子)に心を寄せても受け入れてもらえない。楯男は、まるで吹き溜まりのような町から、また、現状から逃げ出したいと考えている。
そんな中、大阪のキャバレーで働いていた近所の幼なじみ・タマミが戻ってきた。ヒロポンの打ち過ぎでタマミは頭がおかしくなっていた。性に奔放なタマミは、夜の浜で毎晩、楯男の知り合いも含めた若い男と寝ていた。楯男もある夜、タマミのところを訪れるのだが…。
今回の再観で驚いたのは、48歳の僕が、二十歳そこそこの主人公・楯男に感情移入していたことだ。
まずは仕事という観点から考えてみよう。シナリオライターを仕事にするには、当時ならば上京する道しかなかっただろう。映画会社の近郊に住みながら、そして、映画関係者と連携を取りながら勉強を重ねていくことが必要だったと思われるからだ。
次は環境面から考えてみたい。これはあらすじから容易に導き出せる。どちらかと言えばおとなしいタイプの楯男は、町の若者からは浮いた存在だ。政治への関心は薄いようなので、木曜会メンバーと気が合うわけでもなさそうだ。涼子とも深い仲になれそうもない。それどころか、涼子は、都会から来たオルグの青年に惹かれてしまったようだ。家庭も居心地がいいとは言えない。結局、楯男は孤独なのだ。地元を離れることへの抵抗は少なかっただろう。
楯男の場合は、将来の夢と現状から逃避したい気持ちが一致して、上京という行動を起こさせたのだろう。こうやって考えてみると、上京したいという楯男の気持ちは、環境と感情に裏打ちされたものといえる。これなら世代に関係なく感情移入できるかもしれない。
ところで、今回は楯男だけでなく、楯男の祖父・茂義にも感情移入してしまった。これは僕の年齢とも関係が深いように思われる。
頭がおかしくなったタマミはどんな男も受け入れる。関係を持った多くの男の中、茂義は心からタマミに惚れ、愛して可愛がる。周りは「いい齢をして」と眉を顰めるが、誰の子を孕んだか分からないタマミの面倒を、新たな生きがいを発見したかのように見るのだ。女としてのプリミティブな魅力を持つ、若いタマミが明るく振る舞えば、年配の男はいちころであろう。中年となった僕には、その気持ちがよく分かってしまうのだ、ちょっぴり悲しいけれど。
一人で映画『南国土佐を後にして』を観た後(分かりやすい象徴的なタイトルだ)、楯男は涼子に声をかけられる。ダンスホールへ行った後、二人は宿泊する。オルグの青年と寝たと告白する涼子は、その傷を埋めるように楯男を求める。据え膳を食う形となった楯男だが、以前のような、涼子に対する情熱はない。宿直先にも夜這いに来る涼子。清純で聡明なはずの彼女も、欲と本能に流される人間だったのだ。宿直室が火事になってしまい、涼子が来ていたことが信用金庫の上司に知られてしまい、叱責される。これで楯男は、涼子への気持ちを無くしてしまったのだった。上京の動機へのダメ押しが成されたのだ。
ある朝、普段通りに家を出る楯男。飼っていたメジロを逃がし、あらかじめ隠しておいた荷物を持ってそのまま東京を目指すため駅へ向かう。駅にはタマミの兄・利広(原田芳雄)がいた。強盗殺人を犯し逃亡中だったのだ。利広は楯男に金をせびるが、楯男がこれから上京すると知り金を返す。利広に駅のホームで見送られ、楯男は上京への一歩を踏み出す。「バンザーイ」と見送った利広だけが、結局、楯男の上京を祝福してくれたのだった。
書いていて、目頭が熱くなってしまった。利広は、素行が乱暴で兄嫁にも手を付ける、どうしようもない男だが、最後に、本作を観ているこちら側は、彼を憎めない奴、いい奴だと感じてしまうのだ。この人物観の逆転もこの作品の魅力なのだろう。
最後に、ここまでの感想からこぼれ落ちてしまった本作の印象を書いておきたい。本作は男の世界だ。下品で猥雑、そして田舎の共同体の濃密な空気が充満した雰囲気。苦手な人もいるかもしれないが、僕はそこが大好きだし、何とも言えない心地良さも感じる。もしかしたら観る人を選ぶ作品かもしれないが、普遍的な青春を描いた傑作映画だと僕は思う。 【はあ】さん [DVD(邦画)] 10点(2020-06-09 13:01:37) (良:2票) |
10.昔の田舎ってこんなんだったの?って感じですが、少なからずこんな感じだったんだろうと匂わせます。ドロドロなんだけどカラっとしてるのはなぜだろう?ハナ肇の駄目オヤジっぷりがなんか印象に残った。 【すたーちゃいるど】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-02-22 22:58:31) |
9.《ネタバレ》 登場人物のほとんどが性のことばかり考えてて、いささかうんざりした。特に、あの母親が父親の代用品として息子に執着するのは、ぶっちゃけ相当キモかった。あれじゃ、誰だって家出したくなるね。 そんな中で、知的障害になった娘に対する祖父の「純愛」だけが可哀想だった。浜村純さん大熱演! 人の内面がよく描かれてるというのと映画としての感動とはまた別物だなということがよくわかった。 しかし、昔のサブカルの監督は性扱うの好きだな。 【rhforever】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2010-01-10 12:05:07) |
8.久しぶりに見返して感じたのは、「やっぱりおもしろい!」の一語。濃すぎるストーリーもさることながら、画面全体から伝わる、あのムッとするような湿気、汗臭さと泥臭さ、熱さと暑さ、それに中途半端なエロは、一連のATGモノの代名詞ですね。やや大げさにいえば、ここに日本人としての郷愁を感じるのは私だけでしょうか。ついでにいうと、原田芳雄がカッコよすぎます。見てくれのいい役者はたくさんいますが、ああいうアクの強い役がピタッとハマる人は他にいないでしょう。ただ唯一、竹下景子をもう少し見たかったかな。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2008-06-11 02:09:03) |
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7.《ネタバレ》 もっと青春の倦怠感とか退廃感を表に出した作品かと予想していたのですが、最後まで普通に淡々としたトーンで終わってしまいました。周辺の登場人物が何となく動いているだけなので、主人公が最後の決断に至るまでのドラマが感じられない。無意味にHシーンの描写が繰り返されるのも謎。原田芳雄に5点。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-06-08 04:33:24) |
6.あの世界観が本当なら、僕も出て行きたくなると思う。 【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-03-05 21:53:16) |
5.《ネタバレ》 何というか、「アジア」を感じさせる映画でしたね。それと「ここでは無いどこか」への憧れや脱出願望を、ユーモアを交えながら描いています。 何といっても、原田芳雄(秀逸!)、ハナ肇など登場人物が非常に魅力的で素晴らしかったです。 【TM】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-10-27 00:02:01) |
4.《ネタバレ》 南の国、四国高知を舞台に描かれる青春映画の秀作!この映画の主人公をはじめとする出演者それぞれにドラマがあり、生活感が感じられる。地方の生活の実感が生々しく描かれている。東京への憧れを抱き、町を出て行く主人公、そんな主人公を見送る原田芳雄が駅のホームからパンをかじりながら「バンザイ!バンザイ!」とエールを送る姿とそんな原田芳雄を消えていく列車の中から見ている江藤潤演じる主人公の姿に知らない都市での生活に対しても希望が感じられる終り方に万感迫るものがある。田舎町の閉鎖的な空気もあのラストがあればこそ、そこに見える希望、大人への憧れ、東京という都会への憧れ、その全てに青春の一ページを感じられずにはいられない。この映画のタイトルにある「祭り」とは主人公の人生への祭り、人生こそ正しく祭りなんだと言わんばかりの監督からの熱いメッセージみたいなものを感じることが出来た。脇を固める俳優陣、竹下景子の初々しさ、主人公の両親を演じているハナ肇と馬淵晴子の演技と存在もこの作品に大きな貢献をしていると言えよう。これまた間違いなく黒木和雄監督の代表作品の一つと言える作品です。 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-08-05 15:20:31) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 最初この映画を見た時、私は東京近辺から外へ出たことのない大学生でこの映画の登場人物が思いをはせる「田舎の閉塞感・都会への憧れ」という概念はこれっぽっちも感じずただ役者の演技(ある意味江藤潤の最高傑作だろう)にうまいなぁという考えしかなかったのが事実であった。ただ時が経ち外へ出るようになりこの映画を再見し、たまらない気持ちになる。大都会へ出たからといってそこには希望があるかと言われれば実際そうではないだろうがそれでも何かがあるはずだ、何かを成し遂げたいという想いは誰もが皆持っている感情なのではないだろうか。殺人犯となった幼馴染原田芳雄が街を離れる主人公に送る「万歳!」のエール。「青春・旅立ち」を描いた邦画の中でも抜群の出来栄え。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-01-07 19:31:14) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 クライマックスに使われるのは窪川駅(高知県)です。私は撮影当時の窪川を訪れたことがありますが、最果てという雰囲気をたたえた駅で、この映画にとってまさにふさわしいロケ地だったと思います。原田芳雄のぎらついた演技がなんと言っても素晴らしいです。また、人気の出る前の竹下景子をちらりと見ることができます。希望と絶望の交錯した不思議な味わいの青春映画の佳作と思います。 【ジャッカルの目】さん [映画館(邦画)] 7点(2007-01-07 17:38:08) |
1.高校時代、あらゆる面で非常に刺激の強い映画だった。自分の映画観にATGの映画というのは恐ろしいくらい影響を残している。それが感性なのか技術なのかはわからないが、小津でも黒澤でもない日本映画の重要な部分がある気がしてならない。 |