5.《ネタバレ》 「ディレクターズ・カット版を逆輸入」(96分)というのを見たが、もとの94分とどれだけ違うのかわからない(例えば洗面所の場面を追加したとか)。そもそも何でこれがアメリカ映画かと思うわけだが、極端に陰気くさい和風住宅とか和室の押入れなどは海外向けに見せる日本像という意図なのか。わりと忠実にジャパニーズホラーなるものを作ろうとしているようには見えながらも、リングとか呪怨とか出所のわかりやすいネタをあからさまに入れ込むのでは真似事にしか見えない。
原作は読んでいないが、映画で見た限りでは母と娘の関係がテーマだったらしい。途中までは一応真面目にドラマを作ろうとしたように見えたので、せめて主人公とその母親の問題には区切りをつけて終わってもらいたいと思っていたところ、ラストがこれでは結局何だったのかわからない。とにかく最後は理不尽な結末にして、これこそがジャパニーズホラーだという安直な態度には納得できかねる。
キャストでは、個人的には中越典子さんに注目していたが、最初のうちは疲れたような顔ばかり見せられて不満がたまる。しかし終盤になって怒りを露わにしたあたりからちゃんと美貌が見られるようになり、若干ながら色っぽい場面もあったりする。また初音映莉子という人は地味ながらも味のある表情を見せているが、この物語でこの役柄ならこういうメイクはなしで済ませてもらいたかった。
ほか隣室の少女役は、後にアイドルグループ「私立恵比寿中学」で活躍した松野莉奈という人らしい。また他の映画で印象的な役をしていた荒川ちかという人が出ていたはずだが、幼少時の写真に写っていただけのようである。
なお雑談として、この映画では家庭の問題よりも悪徳不動産業者の告発が主目的に見えたが、今なら変に安い物件などとりあえず事故物件サイトで見てみるという手もあるのではないか。昨年ネットでたまたま見た怪談(体験談)で、著名な事故物件サイトの名前がごく普通に出て来ていたのでそういう時代になったのだと思ったことがある。ただ現実問題として、誰かが嘘を書き込んだのがそのままになっている場合もあるようなので要注意ということらしい。