12.《ネタバレ》 西部劇苦手な私がはじめて全体的に面白いと思った作品です。
脚本もさることながら先が読めるのにそれでもまた面白い。
この時代の作品として白黒ではどうなのかは疑問ですが、
見てゆく途中で違和感もなく見られたのは画質も向上しているからか。
西部劇というよりも人間ドラマ西部劇風とでもいえましょうか。
見終えたあとにまた冒頭を観てみたいなぁと思える作品です。
この作品の面白さは(誰がリバティ・バランスを殺したのか)ということなのですが、
正直見ていてオチがわかったのにそのオチの切り出しがうまいのです。
だからあとに考えるものがあり単純な西部劇ではないと。
J・ウェイン演じるトムの気持ちがよくわかります。
この役は役得というかいい役ですよ~
でもJ・ウェインだからこそとも思います。
無骨で不器用な硬派・・日本では高倉健さんのような。
トムにしてみれば急に現れたような、J・スチュワート演じるランスの存在とは・・
両方適役といっていいでしょう。
無骨なトムはハリーを愛しているのに、ハリーは知的なランスに一目ぼれ状態。
リバティ・バランスに襲われてランスは運ばれて来ましたが、
またこの街にバランスが現れるのは間違いはない。
銃社会を非難し法で悪を裁こうとするランス。
しかし脅迫のような成り行きで決闘という形で銃を使うことに・・
銃を練習しているランスをからかうトムに伏線が見られます。
なぜそんなに腕が立つのに自分で撃とうとしないのか・・
決闘の日にランスの選択眼はふたつしかありません。
つまり素人同然のランスが銃で決闘するかこの街から去るか・・
トムが助けてくれるんじゃないか?
ところが素人のランスは奇跡的にバランスとの決闘に勝つのです。
しかし彼は弁護士の立場であります。
映画の演出もなかなかいい。
冒頭からトムの棺とサボテンの謎、
街に帰ってきたというランスは上院議員・・
そこから回想シーンとなり本編の始まりです。
キスも抱擁もないのに恋愛ドラマとして切ない味わいがあるし、
銃社会に対する批判もそれだけではない描き方。
愛する女性が一番幸せな道を選んだトム。
それは西部では名誉なのかトムにはどうでもいいこと。
単純明快なようでいて複雑な人間ドラマでもあります。