32.《ネタバレ》 巨匠・名匠と呼ばれるぐらいの映画作家は大なり小なり自分なりの『8 1/2』を撮る傾向があるけど、これぞまさにボブ・フォッシー版の『8 1/2』でございます。ぶっちゃけて言うと、フェリーニの『8 1/2』を知らなかったり好きではない人には響かない作品なのかもしれません。 この種の映画はその時の監督自身が抱える悩みや迷いがテーマになるけど、本作ではずばり“死への恐れ”だと言えるでしょう。実際フォッシーはこの後8年しか生きれなかったし、すでに自分の健康状態に不安を持っていたんじゃないかな。その他にも劇中で完成に苦労する映画『スタンド・アップ』は明らかに『レニー・ブルース』のことですし、女性関係のイザコザも赤裸々にぶっこんでいます。あのケイティを演じたアン・ラインキングに至っては実生活でも劇中通りのフォッシーの愛人(の一人)であり、いわばセルフパロディみたいなもんです。オードリーは妻のグウェン・ヴァードンで娘のミシェルはニコル・フォッシーがモデルであり、ほとんど私小説みたいな感じです。 やっぱ圧巻なのはラスト三十分の“Bye, Bye Love”のミュージカル・シークエンスでしょう。このキレッキレッのパフォーマンスはボブ・フォッシーのミュージカル集大成という迫力を感じます。自虐的なネタも光っていて、毎朝目薬さしてヤクでキメて「イッツ・ショータイム!」と気合い入れするのが繰り返されたり、ギデオンが入院して舞台制作が危ぶまれたときにプロデューサーたちが保険会社を呼ぶと、実は手術が失敗してギデオンが死ぬ方が彼らは儲かると判明するところなんか強烈な皮肉になってます。そうは言ってもショービジネスの非情さを糾弾するのではなく、どっぷりとショービジネスの世界に浸ってきたフォッシーのショーを創る喜びの方が強く感じられました。 人間は死ぬときには過去の人生が走馬灯のように流れるとよく言われますが、わずか六十歳で他界したフォッシーが見た走馬灯はきっと本作のラスト30分だったんじゃないだろうか。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2024-09-12 22:18:39) |
31.《ネタバレ》 大好きな映画。元ネタのフェリーニの81/2も好きだが、このポップに展開した本作も好き。死も笑い飛ばす突飛さ、現実と夢を交わせる虚構の楽しみ、踊りや歌は、今からでは古いかも知れないが、最高。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 10点(2019-01-19 20:44:03) |
30.何が面白いのかさっぱりわからなかった.こういった,わかる人(がもしいれば)だけわかればいい,みたいな芸術家気取りな作品は,わからない立場として厳しく採点させていただきました. 一番の違和感は,ジョーズやブルーサンダーの主役を起用したことでしょうか.この役にはあり得ないと思うのですが. 【マー君】さん [DVD(字幕)] 2点(2017-12-03 11:49:47) |
29.《ネタバレ》 凡人には計り知れない、”才能あるアーティスト”の頭の中をロイ・シャイダーの名演を通して覗かせてもらった。 いや、なんというか壮絶ですなあ。妻を怒らせ、愛人に泣かれ、それでも性的道徳規範になんか構っちゃいられない溢れる創作意欲。精神薬を手放せず、充血した目に目薬を何万回と注しながら「バラを創ることができる」神の領域に近づこうと必死にもがく芸術家。スタッフが称賛しようと、彼一人納得できない。果てしなく。 これって地獄ですよなあ。けれど、地獄でのたうつジョーのその人となりが茶目っ気のある憎めないタッチで描かれるので、圧倒されつつも それほどしんどさを感じずに観ることができる。 女グセが最悪でも娘には愛され、母娘で見事なダンスショーを自宅で披露してくれる。この場面の幸福なことといったら、ジョーの不倫も不誠実もすべて許してやっか、という気分になる。 あの世からお迎えに来た死の使いまでが美女と来たもんだ。F・マーキュリーばりにステージで輝いて、そして逝った。見事な人生でありました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2015-10-17 14:51:16) |
28.エンターテイメントの世界に疎い私からすると、すごく離れた世界に感じました。これくらい、稀代でないと優れた作品は作れないのだろう思う。作品は、ストーリーが、現実なのか、夢、想像上なのか混同し、とても意図が汲み取れにくいものだが、特化した才能の人は、常人には分かりえないものを見れた感じがして楽しかったです。 ミュージカルのシーンも、うまくて楽しかったです。 【杉下右京】さん [地上波(吹替)] 5点(2015-05-17 19:38:21) |
27.前頭葉に訴えかける振付は見事だし、ショービジネスの魅力と自分の世界にどっぷりつかってしまった主人公の生き様や死を覚悟している監督の執念のようなものも伝わってきます。そうはいっても、その境遇を体感しないとなかなか共感まで行き着きません。 【ProPace】さん [地上波(字幕)] 6点(2015-04-15 22:23:04) |
26.《ネタバレ》 ボブ・フォッシー監督の自伝的作品、異色のファンタジーミュージカル。生と死の狭間の幻想世界にてド変態ダンスミュージカルを振り付ける、無類の女好きにしてヤク中のブロードウェイ演出家。硬派なイメージのロイ・シャイダーが怪演。あちらの世界で歌いながらこちらの世界の病院を徘徊。葬送曲「バイバイ人生」を熱唱してご臨終。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-06-29 03:16:02) |
25.《ネタバレ》 キューブラー・ロスの「死の瞬間」の怒り、拒否、歩み寄り、絶望、受容、この5段階が分かりやすくミュージカルで描けてたら、大いに満足だったのになぁ。ラストの方のミュージカルはちょっと駆け足だったかなぁ。しかし、この作品は、ボブフォッシーの半生を描いたというが、つまり彼は身を削って、傑作「キャバレー」(未見)、「レニーブルース」を創り、自分の人生が垣間見えたところを、この作品に仕立て上げたのか!?何たる作家魂!まさに死の瞬間!この映画は、豊富な踊りがたくさん繰り広げられるが、私のお気に入りは、主人公が身を削りすぎて、演出が浮かばない時、愛人と娘がいとも簡単に、楽しい踊りを彼に見せつけるかの如く、家で踊ったシーン。一番、酷かったのは、やはり彼が苦し紛れに演出した、アクロバットストリップショー。もう観てると、こんな踊り、よく綺麗なダンサーが踊るのを認めたなぁってことしか考えれんかった。やはりプロは凄いや・・。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2014-05-24 06:15:00) |
24.怒られるかもしれないですが、歌と踊りのシーンが退屈でした。最低でもミュージカルは好きじゃないとこれは辛い。 【色鉛筆】さん [地上波(字幕)] 4点(2009-10-18 16:35:24) |
23.夢想の中で踊り続ける主人公が美しい。なんだかんだいって幸せな人生だったんだろうな。最後は喜びのカーテンコールで締めるって、カッコよすぎです。 【民朗】さん [地上波(字幕)] 7点(2009-09-14 11:49:54) |
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★22.《ネタバレ》 ○異色ミュージカル。これが最初の印象。○ボブ・フォッシー映画は「レニー・ブルース」のみの鑑賞だが、徐々に崩壊していく主人公の様は共通している。「レニー・ブルース」はかなり好きだが、今作はどうも惹きつける魅力が自分の好みと合わなかった。○ロイ・シャイダーはかなりの好演。アカデミー賞主演男優賞は皮肉にも、「レニー・ブルース」主演だったダスティン・ホフマンの手に渡った。 【TOSHI】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-08-04 11:56:52) |
21.フェリーニのような幻想的な描写が時折ミュージカルの形で入り込んでくるのが好き。命がけで好きなことやってる主人公はある意味ヒーロー。そんなギデオンを演じるロイ・シャイダーが、歌はうまくないが、これまた格好良い。 【kagrik】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2008-12-18 23:12:54) |
20.《ネタバレ》 いろんな場面での画面上の迫力はそれなりにありますが・・・中身の進行が似たようなところをうろちょろしているだけなので、作品としてはあまり心に残りません。主人公の破滅的な最期をしつこく描写してみせたラストの部分はインパクトがあったので、そこに5点。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-07-28 01:48:58) |
19.つまらん。構成は面白いかもしれないけど、何も伝わってこなかった。 【Balrog】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-06-04 00:12:58) |
18.カンヌで賞をとったと聞いて、意気込んで見に行ったんです。ジャズマンの話と思い込んでいて肩透かしでした。その後、テレビなんかで見る機会があって、なかなか味わい深い作品となりました。人生は現実と幻想のゴチャゴチャ入り混じった状態ということなんですかね。ロイ・シャイダーと言うと思い浮かぶのはまずはこの作品なもんで、追悼の意味を込めて。向こうで言っているのかな。イッツ・ショー・タイム!! 【パセリセージ】さん [映画館(字幕)] 9点(2008-02-11 20:03:55) |
17.カンヌ映画祭グランプリを「影武者」と分け合った作品。「影武者」の受賞はうれしいことだったが、受賞対象がただ一本であったら、本作だっただろうと鑑賞当時思ったものだ。ロイ・シャイダーが最後までミスキャストのような気がして仕方がなかったのが、これは「フレンチ・コネクション」や「ジョーズ」の印象があまりに強かったからか。実に熱演していた。 【ジャッカルの目】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-10-20 22:51:47) |
16.ある振り付け師の、生き様と死に様。当然それは、我々一般の人間の目に触れられることのない、ウラ話的な側面が目立つことになり、いわば、「ダンスミュージカルとその解体」、ということになるのだけれども、ここではついには、主人公の心臓手術という、いわば「人間の解体」にまで描写が到ることになる。この、人間という存在の脆さ、しかしその脆い存在が織り成す、あまりにも強烈な躍動感と存在感。この映画では、天使との交流など、しばしば幻想的な領域に足を踏み入れるのだけれども、最後まで、物語の具象性は失われることなく、登場人物たちはニオイ立つような存在感を発揮しつづける。この「赤裸々さ」こそが、ショウのもたらす感動、なのだろう。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-04-15 15:42:30) |
15.編集構成がおもしろーい◎でもそれだけかな。。もっと心を掴んで欲しかった… 【SAEKO】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-05-25 22:04:10) |
14.おもしろかった。ロイ・シャイダーよい。ストーリーはもちろん、驚いたのが編集。あれはかなり斬新だと思った。 【ジェイムズ・ギャッツ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-19 15:25:57) |
13.実物は「星の王子さま」のスネークとしてしかお目にかかることのなかったボブ・フォッシーの分身、ジョー・ギデオン。 身を削ることとなっても常にSHOW MUST GO ONの人生。 死に向かって疾走する彼の表情は実に穏やかだ。 「キングコング」より3年後の復帰作となったジェシカ・ラングの美しき死神も、浮世から魂が離れつつある彼の心が生んだ幻か。 I THINK I’M GONNA DIE・・・♪ ギデオンが恋人の団員に告げる「偉大なダンサーにも優秀なダンサーにもしてやることはできないが、よりよいダンサーにすることはできる」という言葉が心に刻まれ、ジップアップな身仕舞はあまりにドライな幕切れ。 BYE BYE LIFE! 【レイン】さん [映画館(字幕)] 9点(2005-12-21 20:05:30) |