6.《ネタバレ》 ハッキリ言って、ストーリーは面白くない。
意地っ張りの勘違い女は見ていて腹が立つし、悪夢にうなされているもんだから彼女の中にきっと何か心配事や抱え込んでいるものがあるのだろうとか想像したりもしましたが、ザクッと髪を切ってササッと水を浴びたらケロッと治っちゃうし、おまけに彼女の心がアランに傾いていく過程の描写もハンパなもんだからラストの二人の後ろ姿を見てもスッキリしない。また、何処となく現れた土人が王になり彼に見送られてサヨウナラってのもご都合主義的にしか思えませんでした。
とか何とか言いながらもそこそこの合格点をあげちゃうのは、ロケーション撮影の素晴らしさ故に他ならないのですが、とにかくもう、サバンナの野生の動物たちとの絡みが凄く、実際にライオンなどの猛獣との鉢合わせシーンの多さに驚きました。
よくありがちなのが、動物と役者を別々に撮った映像を繋ぎ合わせ、あたかも本当に鉢合わせしているかのように見せる方法なのですが、この映画では俳優の身代わりを立てることがあるにしても、ほとんどのシーンで両者をワンショットの中に収め本当にニアミスの状況を撮っているのが凄い!
中でも特筆すべきは、山火事で慌てふためく動物たちが向かって来るシーンで、あれだけの大群が一斉に走り回る状況はほぼリテイクは不可能だと思われるので、一発勝負のワンテイクで撮ったと考えるのが妥当でしょう。という事は、藪の中に潜んでいた役者たちも影武者と交代する間もないとなれば、彼らも動物に踏まれながらの決死の撮影であったに違いありません。
また、話が進むごとに複数の部族が次々と出てきましたが、どの部族との絡みでも皆しっかりと演技をしていて、全員に撮影というものを理解させる努力を考えると非常に良い仕事をしているなという印象です。
これだけの作品なのだから、当然スタッフの中には動物に襲われて怪我をした者もいただろうし、病気で途中離脱した者もいた事でしょう。点数のほとんどは彼らの労力と苦労に対してと言っていいくらいです。
余談ですが、土人との通訳役の人はカメラが回っていない時にはスタッフとの橋渡し役をやっていただろうとか、また献上品として鹿と塩を持参していたやつも本当に撮影の謝礼としてプレゼントしたんだろうとか、いろいろ考えてみると楽しい映画ですね。