12.《ネタバレ》 9割方が21分署内で繰り広げられる刑事たちと犯罪人たちの群像劇は個々のエピソードが繋がってゆく見事な脚本で見応え充分。罪には罰を、犯した罪は償う。当然の事であって、マクラウド刑事の姿勢を支持するものの、結婚前のメアリーの過去を罵る「ちっちゃい男」ぶりには幻滅。チャーリーに素手で立ち向かうラストに、信念を貫くのとこの世への絶望感が入り混じった、他の生き方が出来ない男の哀れさを見せつけられ胸が詰まる。カーク・ダグラスはドンピシャのキャスティング。リー・グラントはほんわかとした存在感だったものの必要な登場人物だったのだろうか疑問が残る。邦題は鑑賞史上屈指の誤訳。 |
11.《ネタバレ》 この映画と「地獄の英雄」のカーク・ダグラスの演じる人の性格は似たようなもんでしょうか、何かに対して固執して頑固、我が道を突っ走って最後は自滅に至るという共通点が結構あるストーリーですが、圧倒的な迫力は原作の舞台劇の雰囲気をそのまんま映画でも表現できてるのは凄い。「十二人の怒れる男」のようにほとんどが一つの場所で進んでも見てるものを引き付けるのは脚本と撮影が素晴らしいからですかねー、全く飽きない。頭のクソ固いと人の話を聞き入れず、逆に頭のクソ柔らかいと人の話に左右されまくり、やっぱほどほどの硬さが一番いいんだぁ。 |
10.《ネタバレ》 出だしの雰囲気は大変よい。大都会ニューヨークの警察署を舞台に、多種多様な犯罪者とそれを取り締まる刑事たちの折衝、談判、駆け引きを実録風に描く。社会派的内容、手堅い演技、的確なカメラワーク、リズミカルな展開で佳作を印象づける出だしだ。 主人公マクラウド刑事は、非情なほど正義感が強く、犯罪に対して一切の妥協を許さない。それは悪党であった父親に対する近親憎悪に由来する。犯罪者を見ると父を思い出し、父を思い出すと憎悪が湧くという構図だ。その性癖が犯罪者に向けられているうちは問題がないが、妻に向けられたとき、心の仮面に裂け目が生じ、暗黒面が顔を覗かせる。純粋と信じ切っていた妻に過去の男がおり、子供を堕胎させていたという衝撃。しかも堕ろしたのはマクラウドがいま最も熱情を注いで追及しているシュナイダー医師だった。マクラウドは妻を心の奥底では愛しながらも責め立てずにはいられない。容赦ない言葉での面罵と問責。妻は懸命に哀願し、許しを請うが、遂に「あなたは自分が正義と思っているが、一片の思いやりもない。残酷で嫉妬深いだけ。父親と同じよ」と決定的な言葉を残し去ってゆく。暗い家庭で育った人間は、明るい家庭を築くのを夢みる。その夢が潰えたとき、自殺願望が頭をよぎる。拳銃を持った強盗犯に素手で向かったマクラウドの行動には明らかに自殺願望がみえる。血まみれで倒れ、死の間際に神の許しを乞う姿が痛々しい。 ちょっと待て。タフな刑事による硬質な犯罪捜査劇を期待していたのに、クライマックスが男女の愁嘆場とはこれいかに。前半が終わって、鑑賞者の最大の関心事はシュナイダー医師の連続殺人事件のはず。これが放りっぱなしである。事件の詳細も不明のまま終了でえは、鑑賞後感はよくない。期待外れである。途中から、万引き女の行動が鼻に付くようになり、見る気が失せるのを覚えた。初犯で引っ張って来られたのなら、打ちひしがれているはずなのに、周囲を子細に観察し、刑事の気を引こうとしたり、窃盗男に付き添う女に慰めの言葉をかけたり、場違いな別れの挨拶をしたりと、ありえない行動ばかり。シリアル劇に夾雑物が迷い込んだようで、違和感を覚えた。強盗犯の最後の行動も唐突で、現実味に欠けるきらいがある。どこか白々しい幕引きにみえた。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 6点(2013-06-05 16:09:12) |
9.この邦題は当時なんでこれでOKが出たのか?配給会社は鑑賞せず?どう観たって『探偵物語』ではなく『刑事物語』だよね、直訳しすぎ。うーん、当時に観たらなかなか面白かったのかもだけど、私にはパンチがあまりなかった。最後の展開は呆気にとられたけど。口は災いの元、思っても言わない方がいい事はたくさんあるものだ。でも気にしちゃう人は絶対捕らわれちゃうものだよね。ただただエレノア・パーカーが美しかった。 【movie海馬】さん [地上波(字幕)] 6点(2013-01-21 01:52:04) |
8.《ネタバレ》 「ワイラーの階段」がでたー。『黒蘭の女』のラストの肯定的な大逆転の階段もあれば、『探偵物語』の暗転の階段もあるというわけだ。『女相続人』の、駆け落ちの相手にすっぽかされた主人公が自室へと戻る際の、失望の長い階段、というのもあった。 さて「内容」だが、罪に対する厳格主義の主人公について、「父を憎んでいるから」という「精神分析的な」説明がなされるとき、観客はなんだか大きく頷いてしまう仕組みなのであろう。エディプス期を円満に「卒業」できていないゆえに、マザコン男としてバランスを欠き、過酷な超自我を模倣してみせる、のだろうか。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-05-30 18:27:14) |
7.テンポが速かったので少し落ち着かないところがありました、もう少しじっくり心境の変化なんかを見たかったです。あのラストしかなかったのでしょうね。。。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 5点(2012-05-29 15:33:30) |
|
6.《ネタバレ》 どこの社会にも己が正しくいつも正義を行っていると勘違いしている者がいる。そういう人間は、相手の非を決して許そうとしないし、忠告も聞き入れようとはしない。実に困った存在である。この映画の主人公もとうとう妻に「あなたは冷酷な人だ」と言われてしまう。そして最後は銃弾に倒れてしまう、実に哀れである。 この映画は舞台劇だから、人間の性格や感情がもろに表面に出てしまっているが、本当の警察署ならば決してあり得ないことだろう。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-04-25 21:50:10) (良:1票) |
5.それぞれのシーンで、殊に感情面のものにおいては的確な演出がなされていますし、室内での人物の出し入れも上手いですし、署内の喧騒や緊迫感も良く出ています。カーク・ダグラスを始め万引きのおばさんまでオーバーアクト気味なものの、そのキャラクターからすればそれも決して悪くはありません。 …しかしこれらの良い点は概して舞台向きとも思えます。移動シーンすらほぼ車内一室で見せてしまっているのですが、これは移動ではなく殴らせる為だけに二人の空間を用意したに過ぎないもので、いくつか良い場面はあるものの、映画としては突き抜けたものが感じられないのです。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-12-04 18:29:23) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 面白い!このとんでもない迫力に圧倒されます。ひとつの柱となるドラマがあって、同時進行で複数の取調べがドラマを織り成すのですが、全く無駄が無く、全てのシーンが映画を面白くするためだけに機能している程の臨場感!演技のノーガード・バトルロイヤル!マクラウド刑事の父親へのトラウマが引き起こした壮絶で痛々しい事実との直面、そして葛藤。この常に苛立ちを抑えきれない剃刀のようなカーク・ダグラスに眼鏡をかけてるシーン、タイプを打つシーンを与えたバランス感覚も見事。シュナイダーの弁護士を追ってマクラウド刑事が凄い勢いで階段を駆け下り、それを下からのアングルで捕らえたショットは鳥肌が立ちました。 【よし坊】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-02-05 00:41:32) |
3.Detective Story とは探偵小説、推理小説、刑事物語。 舞台劇を観ているようです。ほとんど刑事部屋で夜半の出来事。様々な人間模様が凝縮され展開。短い時間の間に素晴らしく上手く演出されている。刑事物の佳作。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-10-18 13:23:25) |
★2.《ネタバレ》 これを観たのはやはり東京12チャンだったと思う。 ダグラスがやはり宮部昭夫で吹き替えでみる。 非常に引き込まれる。思い出すのはやはりエリノアパーカー に惚れたことと、なんと言ってもラストの超悲劇だ!これはつくずく 宮部のマクラウドでよかった!わたしはこの、最愛の妻を追っ払ってからの、狂気の主人公の悲劇のラスト15分ぐらいのシーンにめっぽう惚れてしまい、キングスレーの舞台の脚本を覚え、何度も自分ひとりで演じて 超感動していた大学のときを思い出す。 ひどいマジメと潔癖症と嫉妬と悪と他人と自分をどうしても許すことのできない、悲惨な主人公刑事のラスト。(書いていて涙でてきた)非常に残念ながらバカは死ななきゃ直らないの典型であるのだが、自らをコントロールできなくなるところから、虫の息で自分の死期を悟ったダグラスが、神に自らの罪を悔い改めるシーンは、もう、もう、もう、もう、、、、、、うあーーーん!!である。ダグラスの演技は白眉である。 亡くなった主人公に、同僚が”どうか、罪深きこの男をお許しください”と十字を切る!もう、号泣である。こうゆうの観るとつくずく演技(芝居)っていいなあと思う。うーん。ワイラーかー! 【男ザンパノ】さん [地上波(吹替)] 10点(2006-08-09 23:00:33) (良:2票) |
1.《ネタバレ》 ワイラーの演出の卓抜さが堪能できる刑事ドラマの傑作。開巻を飾るキャスト&スタッフ・クレジットにおけるリー・ガームスのカメラワークが先ず見事。大都会NYを高空ショットで捉えつつ、徐々に絞り込み舞台となる21分署へと至る流麗な鳥瞰撮影の妙で観る者をグッと画面に引き込んでゆく。次いで慌しく引っ切り無しに署内を出入りする登場人物たちの紹介となるが、ほんの端役(被害妄想の婆さん等)に至るまで人物へのスポットの当て方が実に秀逸。凡庸な監督なら焦って主役のカーク・ダグラス扮するマクラウド刑事をこれ見よがしにトップで登場させるだろうが、ワイラーは先ず脇を固める署長や同僚の刑事たちを、万引き女を、猥雑な生活感に満ちた取り調べ室の屋内状況を、矢継ぎ早のショットの積み重ねの中で確実に描写し、観る者に情報を”映像”で提供する。その的確さ、構図の上手さには全く無駄やムラがなく毎度ながら感心させられる。こうした一連の描写の中に細かい伏線を同時に数多く張り巡らせているコトもワイラーの非凡さを実感させるポイント。並みのヘボ監督との相違点はそれだけではない。その最たるトコロは俳優の過剰演技を徹底的に制御するコントロールの見事さにある。カーク・ダグラスの稀に見る力演も一歩間違えば鼻につくオーバーアクトになりかねない諸刃の剣だが、上手く劇中に活かしきっている。自らの”イントレランス”で愛する妻を完全に失うマクラウドの哀愁と苦悩が画面から痛いほど伝わってくる。こうした俳優アンサンブルが見事にハーモニーを奏でるか否かに演出の力量が問われるが、そういった意味でワイラーのディレクションには決して破綻が無い。出演者では矢張り、万引き女役のリー・グラントと強盗犯チャーリィ役のジョセフ・ワイズマンが舞台版に引き続きの当たり役だけに実~にウマイ、ウマ過ぎる。殊にグラントは極端なわざとらしいコメディ演技に走らず、何ともトボけた味わい深さで絶賛も納得。そうそう、ワイラー名物の”階段”は当然、人物の出入りの際に印象的な効果を発揮していたことも言い添えておかないと。とにかく文句無し10点満点!! 【へちょちょ】さん 10点(2004-11-12 19:28:34) (良:4票) |