22.《ネタバレ》 美しい。湖に浮かぶ寺。そこに住む和尚と少年。少年は魚やカエルやヘビに石をくくりつけて遊ぶ。朝起きると少年の体には和尚によって石がくくりつけられていた。和尚に言われる。明日、魚やカエルやヘビにくくりつけた石を外せと。もし一匹でも死んでいたならお前の心には一生石が残るであろうと…。 季節が過ぎるごとに年数が経過する。そして湖上の寺の風景とともに人間模様が繰り広げられる。 性と煩悩と死と生と。そしてまるで輪廻のような世界観。 何本か、キムギドク監督作品を観て、石井聰互・石井隆・北野武あたりに似てるものを感じるが、似て非なり。キムギドク監督の貫きすぎる他を寄せ付けない世界観はこの映画でも十二分に感じられる。 本作では音楽の美しさも十分に味わった。少しは作品作りにお金をかけることができるようになってきたのか、と感じた。そして韓国民謡アリラン。この曲か。これが後の超問題作「アリラン」につながるのか。 拳法の型を見せる監督は何を感じ何を演じたのか。わからない部分も多いが、覆面の女を推測し、残された子どもからやっと本映画の主題にせまることができたように感じた。 【JF】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-07-27 23:37:53) |
21.《ネタバレ》 水中から樹が生える不思議な山の湖に浮かぶ寺院舞台に、人生を四季になぞらえて描いた仏教説話。小坊主がいたずらで、魚と蛙と蛇に石を括りつけて苛める。老僧は懲罰として小坊主の体に重石を巻き、いじめた動物を助けに行き、一匹でも死んでいたら、お前は心の中に石を抱えて生涯を生きると予言する。魚と蛇が死んでいた。少年僧となった小坊主は、少女との愛欲に溺れて寺を出奔、その十数年後に妻を殺して舞い戻る。老僧は、男が自死しようとするのを諌め、般若心経を彫らせることで精神の安らぎを与える。男が刑事に連行されるのを見送った老僧は焼身往生を遂げる。男は服役を終えて帰門し、老僧の衣鉢を継ぐ。ある日、覆面の女が赤子を捨てて去ろうとするが、事故で死ぬ。女の菩提を弔う為、男は苦労して仏像を山上に安置する。男が土台石を引きずる姿は、かつて男に苛められた小動物の姿そっくりだった。赤子は成長し、動物をいじめ始める。過ちと償いが繰り返えされ、かくて人生は流転する。人は、いたずら、執着、愛欲等で過ちを犯すが、どのような棘の道、艱難辛苦であろうとも、最後には安らぎを得るという有難い教え。予定調和な仏教説話の範疇を出ておらず、あくの強いこの監督の作品としては物足りない。奇跡を示現するような作品がふさわしい。水は神聖と浄化の象徴で、水上の寺院は超俗と孤絶を表わす。壁のない扉は見えない戒律。蛙が生き残ったのは偶然だが、神の視点では偶然も必然。男が仏像を持ち去ったのは絶ち切れぬ仏教への愛執。鶏を持ち出したのは、閉塞の象徴の鶏を自由にすること。老僧の超能力めいた力は、金剛密教の修行の成果。焼身往生するのは、入滅の時期を悟り、最後の功徳を積むため。男が氷った舟から掘り出したのは聖者の遺骨こと舎利で、それを氷仏像の白毫に入れ、最後は溶けて自然に還る。女が布で顔を隠すのは、最初から子を捨てる目論みだったのと、女は特定の誰かではなく、あなたかもしれないという示唆。「閉」の字で目鼻を覆い、般若心経を彫るのは、文字に聖なる力が宿ると信じているから。猫の尻尾で経を書くのは、他に太い筆が無いことと、何事にも自然に臨機応変に対応する老僧の才覚の表現。老僧が蛇に変身するのは、蛇が神秘の象徴だから。残念な点。老僧が自由に舟を操れるなら、舟を戻すのに紐付鶏を利用する必要はない。仏像を据えた山上に雪が無かった。裸での冬季登山は難しかったのか。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-10-31 19:22:03) |
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19.《ネタバレ》 ギドク作品の中でも私にはちょっと苦手な作品。なんというか全体的に説教臭いんだよね。セリフは殆ど無いにもかかわらず、言葉じゃ無くて映像で説教してくる感じ?結局言いたいのは、悪いことをすれば自分に帰ってくるよ反省しなさいって事でしょ?たぶん。 いつもながらギドク映画の特徴でもある水と魚が、これまた非常に効果的に使われていて良い。水によって俗世間と隔絶された世界。色とりどりの美しい金魚や鯉達。またこの映画の主人公は魚に石を括りつけて死に至らしめた事によって、大いなる報いを受ける事となる。 春夏秋冬と季節毎に様々な風景を見せるが、季節が進むごとに数年経過しており、その都度主人公の役者も変わっている。春→夏は非常に自然な感じだったのに、夏→秋で誰お前?ってなって、秋→冬でいきなりギドク本人が出てきたのには驚きを通り越して笑ってしまった。完全に人変わりすぎでしょ!(笑) この映画のクライマックス、ギドク本人が石を引きずって山をはいずり回るという展開がどうも私には受け入れ難い。アリランアリランと大音量で流れる音楽がもうダメである。雄大な自然の中、如何にも何か感動的な事が起こっているかのような大仰な演出。無理矢理まとめた感じがしてしまう。監督自身はこのシーンがよっぽど気に入ったのか、後年の『アリラン』という作品の中でこのシーンを見ながらギドクが涙ぐみ、そのままアリランを熱唱するというとんでもな展開が描かれる。この歌はきっと、監督にとってとても重要な歌なのだろう。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-09-26 01:21:19) |
18.西洋のイメージした東洋を見ている気がずっとした。老師の感じなんかスターウォーズみたいだし、池の中の浮き堂も美しいんだけど、西洋の視線を経由してるように感じちゃう。季節ごとに若者の設定が替わるの。罪を越えて次の世代の老師になる。それらを仏が高みから見てござる、って感じ。猫の尻尾で般若心経を書いたり、どうも禅的なハッタリにすべて感じられ、まあ禅と言うものが、大部分そういうハッタリの世界なのかもしれないが、他者の思惑を意識しすぎた精神性って、やでしょ。こちらが必要以上に拒否反応起こしてる気もするけど、せっかく画は美しいんだから、それを素直に愛で られるストーリーだったら良かったのに。むかし韓国で作られた『達磨はなぜ東へ行ったのか』なんてのは、素直だったよ。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2014-02-22 09:48:46) |
17.《ネタバレ》 面白いのが壁の無い扉、画面の向こう側に開く扉から、聖俗と世俗の見えない壁にも思えるけど、山の上から見下ろす風景にはそんなものは見えない。人生庵に廻る四季。56億7千万年繰り返すカルマ。 |
★16.《ネタバレ》 ギドク監督の中でも異色。春夏あたりは面白かったけど・・・秋あたりからだんだん見るのが退屈で苦痛に感じた。冬の演歌みたいな音楽は苦痛に拍車をかけるのでやめてほしかった。あと冬でのお坊さんは何者?それと同時に顔を隠している女は?パラレルワールドすぎて引いた。 【将】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-02-06 00:26:51) |
【くろゆり】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-03-22 20:41:36) |
14.日本人から観ても非常にわかり易い優れた作品だと思います。中年期の人って監督本人なんですね。個人的には秋で話が終わったほうがすっきりしたと思う。冬の時に来た女性って?誰、あの人?ですか。この監督は1本筋が通っていて注目の監督ですね。 【たかちゃん】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-12-30 10:06:37) |
13.キム・ギドクって人がどういう人だかも、これがどんな映画だかも全く知らないままに見ました。お坊さんと少年の心暖まる物語だと思ってたら、あらあらまあまあ・・・。生生流転、諸行無常、諸法無我、涅槃寂静、なんだかアタマの中に四文字熟語浮かびまくりな映画でございました。四季を通して描かれる人と生命と自然との関わりを通して信仰ってそもそもナンなんでしょう?みたいな事を見つめさせてくれます。隔絶された空間を舞台にしながら、その外側に広がっている俗世間に生きるということを映し出してゆく、ちょっとステージ高めな映画。まあ、ちょいとお坊さんにしろお弟子さん?にしろ、極端な行動に出過ぎる感はありましたけれど。お坊さん、ちょっとジェダイマスター入ってましたねぇ。あんたぁ、オビ=ワンか、ヨーダか、って。と、結局俗っぽい感想に至るあたりが私の限界か・・・。お後がよろしいようで。 【あにやん🌈】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-11-03 00:51:05) |
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12.ロケ地の風景がすごい。湖の真ん中にあるお寺とその周りの山林はただそれだけで絵になる。…が、撮り方としてはもっともっと凝ってみても良かったと思う。場所は印象的でも撮り方が普通なので、無料でもらえるカレンダーの写真みたいな微妙な感じ。やろうと思えばもっと深遠な空気が出せたはず。 ストーリー展開はほぼ予想通りのストレートなものなのだけど、これが案外面白かった。ラストで流れる宗教的な曲に拒絶反応を覚えさえしなければ…どうも肝心なところでセンスが合わないんだよなあ…。 一番面白かったのは予測のつかない和尚さんの行動。基本的に目的は間違ってはいないのだが、手段としては若干間違っていると思う。とくに般若心境を書く筆代わりに尻尾を使われてしまう猫が可哀そう(笑)。普通の筆でいいじゃん! いい迷惑だよ、猫。 【no one】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-06-29 14:33:10) (笑:1票) |
11.《ネタバレ》 実はキムギドク監督作品の中で最初に観た映画。これを観たことによって他の作品の後追いをしたわけだから、私にとってある意味記念碑的な映画であります。と言ってもやっぱりキムギドク監督、いまだによくわからない。「悪い男」にも書いたので詳しくは省くが、やはりなにか紙一枚ずれているような気がする(悪いというわけではない)。本作も韓国の仏教世界を題材にしているわりにはなにか東洋以外の香りがきこえてくる。もちろんドイツとの共同制作だから当然なのだろうが、この監督自身の「味」というほかはなさそうだ。溝口健二監督も持っていたような香りに近いかもしれない。東洋的とも西洋的ともいえない妙なエッセンスは初見のときは驚いたなぁ。輪廻転生を象徴する数々の小動物のシーンはディズニー映画「砂漠は生きている」のようだったし、生々しいセックスシーンには魚が交わるような変なファンタジー感が漂っている。ファンタジーといえば湖面の祠堂がゆっくり回転していることに気が付いたときにはやるなぁギドク監督と思ったね。仏教世界に通じている人にとってはテーマもストーリーも正直目新しいものではない。ただ、数々の小さなエピソードを包む監督の演出装置があくまでも愛に満ちているのが好ましい。でもやっぱりこの監督のことはわからないなぁ。 【ただすけ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-05-12 00:59:40) |
10.心打たれました。それほど悲しい話ではないのに涙がでます。「閉」と書かれた半紙ににじむ涙を忘れられません。。。 それにしたって、春の子役と夏の青年はそっくり!よく探してきたなと思います。もしや兄弟? 【サイレン】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-04-08 09:46:38) |
9.《ネタバレ》 水の中のお寺という風景に魅せられてしまいました。夏のシーンで小僧さんと精神を病んだ少女とのセックスシーンは妙になまめかしかったです。水の中に女性が沈むシーンや、船の上でお坊さんが燃えていくシーンは、もう少し工夫を凝らせば強烈なものになれるのではと思いました。映像はきれいですが、それほど心に残るシーンはなかったです。お坊さんの背負ったリュックから猫が顔を出しているところ、猫を抱きかかえながら猫のしっぽに墨を付けて般若心経を描くシーン好きです。 【omut】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-01-04 01:05:25) |
8.春夏秋冬と輪廻転生こういったいかにも東洋的なものって西洋人には受けるよねって感じの映画。ギドク監督にしてはソフトな印象、もっとえげつなさ、人間のエゴ、本性が出ていればと思います。 【亜流派 十五郎】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-12-11 14:16:28) |
7.バッサリ斬ります! ほとんど意味不明!.. 韓国文化、風習を良く知らないから分からないのか?..これを観てどこを学べと言うのか... 【コナンが一番】さん [DVD(字幕)] 1点(2005-10-14 12:13:57) |
【michell】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-06-22 23:29:48) |
5.ハリウッド映画の劣化コピーばかり量産してる最近の韓国映画界にあって本作の様な作品に触れると、韓流も捨てたもんじゃないと思えてくる。キム・ギドク作品は「魚と寝る女」しか観てませんが、本作は更にシュールな舞台設定の上、登場人物と台詞も更に抑えられ、これまで以上に寓話性が顕著になっている。そして、春夏は比較的普通っぽい展開でしたけど、秋になって、途端にキム・ギドクらしい作品になった。繰り返される人の一生の春夏秋冬。ある人生が幕を閉じても、必ず別の春はやってくる。芸術性も高いと思いますが、それ以上に本作は面白い映画です、7点献上。 【sayzin】さん 7点(2005-03-16 00:08:28) |
4.キム・ギドク作品は過去の例をみても分かるように、外界と隔絶された異世界(異空間)を舞台に展開されるということが、まず特徴として挙げられる。そして本作ではそれがより顕著で象徴的な形として綴られていく。それは山奥深い、まるで水墨画のような幽玄の世界。湖上に静かに浮かぶ庵。それらのピンと張りつめた佇まいは、この作品を語る上で、これ以上ない舞台設定だと言える。そして、自然の美しさと造形された美しさとが見事に融和し、鋭く的確に捉えたカメラの素晴らしさを語らずにはいられない。それは決してカラフルなものではなく、むしろ程よく抑制の効いた色彩効果といえるものであり、四季の移ろいを人生訓として特徴づけた撮影技術は本作の功労者だと言える。物語は桃源郷に生まれ育った人間が、外界(俗世間)に触れることにより人間本来の生き方を悟るという、あくまでも寓意に満ちたものである。生まれてから死ぬまで業を背負っているのが人間なら、生きていく上で俗社会に関わっていく事を避けて通れないのも事実。閉ざされた空間から飛び去り、再び舞い戻ったとき、人はそれぞれ何を学びとって来るのであろうか。本作は、そういった人間の一生の在り様の教えと捉えたいが、平易な語り口だけにより深く考えさせられる作品である。天空から下界をそっと見守る菩薩像に 「2001年宇宙の旅」のスター・チャイルドをついついダブらせてしまうが、作品イメージとしては実相時昭雄作品に近いのではないだろうか。 【ドラえもん】さん 9点(2005-02-12 15:28:06) |
3.無邪気に遊んでいる春、煩悩の誘惑に負ける夏、罪を犯し俗世から戻った秋、再び修行に励む冬、そして繰り返す春。 静謐で美しい四季に重ねて一人の男の人生が繰り広げられるが、「人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し」という家康の人生訓そのもののような冬のくだりがことに印象深い。子供の頃魚や蛙やヘビに石の重石をつけて遊んで老僧に諭され、幾たびの春夏秋冬を重ねた男が、弥勒菩薩を抱えながら自らに石の重石をつけて険しい山を登っていく。山頂に鎮座した菩薩がはるかに見下ろす風景はまるで神が下界を見ているようだが、深い山中の湖と庵というこの地自体が浮世離れしていて素晴らしい。そして菩薩と共に合掌する男の境地も煩悩を越えて悟りを得たように見える。 言葉ではなく映像で東洋(仏教)思想あたりを感じさせる手腕が新鮮で見事だった。 【キリコ】さん 8点(2004-11-26 23:07:52) |