11.何度かはっとさせられるきれいな映像もあったけど、 ヴェンダースの中ではハズレなほう。 |
10.《ネタバレ》 ひょんなことから一緒に旅をする事になった他人同士が時にはいがみ合いながらも様々な出来事やハプニングを通して少しずつ互いに共感が芽生え、目的地に向かう…というロードムービー定番の展開が何も無い、ヴェンダース監督初期のロードムービー3部作の中の一作。目的地もあても無い旅。繰り返される無意味とも思われる会話を聞いていると気が滅入りそうになる。まさに「まわり道」のような放浪。確かに観ていて気が滅入りそうではあるのだが、彼らに共感できないという事でもない。この不思議な感覚がこの異色のロードムービーの魅力なのでしょうか。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-04-13 22:46:51) |
★9.《ネタバレ》 自分探しの旅に出る主人公。その旅の中で会う人はどの人もどこか変わった人ばかりで話をするにしても各々が己の考えや経験、昨日の夢の話をし自分の世界を作り込み現実を見ようとしていない。それは傍から観れば凄く不自然で奇妙な会話に見え、始めの内にはそれはそれで成り立ってるように見えましたが、少しずつ少しずつ自分の主張や価値観をぶつける事によってそんな関係にひびが入っていき、結局最後にウィルヘルムは再び一人で旅立つ。形だけ見れば始めと一緒の形になり彼自身も「自分は無意味なまわり道ばかりをしている」と言っていました。しかし、誰かと関わりあった上で一人は寂しいと言いながらも気ままでいいと言い放ったラストは自分探しの旅というまわり道の上で出た、彼にとっての一つの答えであったようにも思えました。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-02-21 10:20:02) |
8.『都会のアリス』『まわり道』『さすらい』とヴェンダースのロード・ムーヴィ三部作は続くわけだが、どんどんレベルが落ちている。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-10-11 09:25:01) |
7.《ネタバレ》 ヴェンダースの作品特有のまなざしである、いわゆる天使の視点は、「まわり道」においては見受けられない。曇天の空撮から始まり、リュディガー・フォーグラーが窓を割る時のあの音、そして拳から流れる血、これらは小説を書けない作家の過剰な自意識というよりは、作品全体を包み込む否定――「まわり道」の原題は「間違った動き」という意味のドイツ語である――として画面に焼き付いている。ロードムービーとして想起されるような典型事象は、「まわり道」では発生しないだろうし、発生してもそこには必ず「~ない」という否定が絡まりつく。どうやらドイツという場所が悪さをしている。旅というのは端的にいえば移動に他ならないが、リュディガー・フォーグラーの移動は旅へと再変換できないような不可逆性を前提としており、彼が途中で出会う人たちとの関係性の変化がそれを物語る。ドイツを巣食う地霊は、人物から旅がもたらすセンチメンタリズムを奪い、純粋な移動(ただし、間違った動き)へと人物を導く。やがてリュディガー・フォーグラーは出会った人々と別れ、ツークシュピッツェ山頂へと登り、そこで奇跡を待つも、結局何も起こらなかったと述懐する。そんな彼を突き放すように登場する真っ赤な「FALSCHE BEWEGUNG」という題字。隙のない暗さの連打がまず圧倒的なのだが、その暗さを画面として表出するヴェンダースのセンスにはウットリする。痛々しい終わり方ではあるが、曇り空の無い高所で途方にくれるリュディガー・フォーグラーを捉えたラストショットは、ヴェンダースのあの天使の視点だったように思う。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-11-22 20:11:47) |
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6.ヴェンダースのロード・ムービー3部作の中で唯一のカラー映画。しかし、3部作の中では1番暗い作品で全体的に寂寥感漂う映像なのが印象的。ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』を下敷きにしているとはいえ、自由な脚色をされた本作はむしろ原作とは全くの別物になっている。登場人物はどれも個性的で象徴的。むしろ、彼らが一人ずつ去っていく様子にこそ芸術の退廃などを見い出す事ができた。ラストを見るとやはり現代では昔のような自分探しのたびなど出来ないのではないかと思わされる。ちなみに役者の中ではこれがデビュー作だというナスターシャ・キンスキーが異彩を放っていた。このままクリスティーナ・リッチのようにミステリアスなキャラを追求しても良かったかもしれない。 【マイカルシネマ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-03-16 13:39:49) |
5.普通、ロードムービーというのはその道すがらに起こる事件や同行者との葛藤等を通して、そこに主人公の成長が見られたり感動があったりするものだが、この作品にはそういったものが何も無い。実際にはいろいろなことが起こっているのに主人公が起こっていないと思っているから、何かが変わるなんてことがあるわけがない。旅をすれば何かを得れるだろうと思うのはとんだ間違いで、本人が何かを得ようとしなければ何も得ることは無い。最初から最後まで”まわり道”ですべて無駄に終わる。ロードムービーを否定したようなロードムービーである。私にはちょっと難しいのか、良さがあまり解からない。でも嫌いではない。印象に残るのは散歩道での延々と無駄に続く会話と景色。そして終始何も語らないナスターシャ・キンスキーの瞳。 【R&A】さん 6点(2004-02-19 13:56:28) |
4.ロードムービーは割りと好きな方です。旅先で出逢う人々は、もう二度と出逢うことがないと思うのでその瞬間の会話などをとても大切にしたいと思うのであるが 、この主人公のように出逢う人々と連れ立って行動してしまうのは自分には理解できずにいる。これからもまわり道ばかりの人生が続いてゆくのだろうか、、。 【fujico】さん 7点(2004-02-07 11:42:38) |
3.ヴィム・ヴェンダースのロード・ムービー3部作の内の一つ。 コンプレックス(或いはある不安)を抱え旅に出る作家志望の青年と、トラウマを抱えた大道芸人(?)の老人とその孫、青年が目を奪われた女優と自称詩人の男が偶然集まり、さまよい歩く様は「気まま旅」のようで現実逃避をひたすら類友と繰り広げているように見えてしまい、とても憂鬱。正に「まわり道」です。人物設定には哲学的な意味を持たせているのですが、それがまた重い...。ラスト、「仲間」と別れた主人公がその後どんな「旅」をしてゆくのか考えるだけでもちょっとした鬱状態に陥りそうです(笑) まるで、自分を観ている様なやるせな~い気持ちにさせる映画でした(^^; ご注意・寝不足ピークの方は、調子のいい日に回して下さい。結構マッタリ系?なので寝てしまう可能性大! 【MAZE】さん 8点(2004-01-25 13:56:06) |
2.人生の目的なんてあるのか…という問いそのものを抱えて彷徨する主人公の”さすらい”ぶりと、その屈折感が画面から切々と伝わってくる。少しでも挫折を知る人間にとっては、何よりも共感と後ろめたさ(あれは自分自身だ…と、主人公の姿にどうしても自己を重ねてしまうから)を感じさせる、そういった意味で実に”重い”映画。青臭くってかなわん、とおっしゃる向きがあるだろうけれど、生きること自体がそもそもいつまでも青臭く、みっともないことの連続でしょ? 少女時代のナタキンが重要な役で登場し、真正ロリータぶりで見る者を狂わせてくれます。 【やましんの巻】さん 9点(2003-06-06 13:33:42) |
1.ロード・ムービー3部作の中でも異色な作品。必要性が感じられない放浪旅、目的地は風任せといえば聞こえはいいがそんな格好いいモノではない。優柔不断で嫌なことを避けて通る保守的な旅。でも、このまわり道こそが実に人間らしく、得られるたものが後の人生を左右することだってある。万人受けする題材ではないが、個人的には明確なテーマをもったロード・ムービーより身近に感じられ共感が持てる。それと忘れてはならないのが、これがデビュー作にあたるナスターシャ・キンスキー。「テス」「パリ・テキサス」でその美貌と個性をみせてくれたが、今作は12,3歳と幼さの残る顔が印象的だ。すでに、魔性の魅力が感じられ、小悪魔的といったところ。台詞が少ないのに、この強烈な個性、特に寂れた洋館で主人公を誘惑するシーンにはおもわず見入ってしまう。語られることの少ない作品だが、いやいやどうして傑作の部類に入る作品だ。 【ゆたKING】さん 9点(2003-04-15 10:03:16) (良:1票) |