34.幻想的で寒々しい映像美が邦画にはない違和感を醸しており、昭和天皇の浮世離れっぷりを際立たせていた。しかし、デリケートな題材にずかずか踏み込んでいる割には、欧州の監督らしい、従来の昭和天皇像から抜け出せていなかったと思う。意図的に抒情性を排したせいもあるのか、単調で途中でウトウトしたのは言うまでもない。これでは"映画"ではなく、"演劇"である。自分には合わなかった。 |
33.《ネタバレ》 この映画が日本からでてこなかったことこそが日本の最大の魅力なんだと思う。 |
32.これは、まず日本じゃ撮れない。日本は主観で天皇像をやたら特別視しすぎるきらいがある。天皇もせっかく「私も人間だ」といったのだから、日本人はもっと砕いて描いても良い筈だ。 その点、ソクーロフは客観的で、あくまで一人の人間として天皇を描いた。 口ももごもごし、まるで子供のように植物の研究に明け暮れ、「人間て良いな~」と謳歌していそうな、何処にでもいそうな感じに。これほどユーモアと気品を両方感じさせる天皇、中々いない。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-04-30 19:12:36) |
31.《ネタバレ》 天皇陛下の苦悩が滲み出て、いい作品だと思った。 人間だと思いたい反面、天皇を神と崇めて死んでいった国民のために、神として生きる葛藤があったんだろうなぁ。 この映画を見て、もっと歴史を知りたいと思ったし、知らないといけないと思った。 ただ、最後の息子(皇太子)に会いたくて必死な姿は、まさに人間を感じた。 【kontiki】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-07-11 00:40:38) |
30.《ネタバレ》 終戦間近の昭和天皇の周りなんてまさに激動。首相との会談、御前会議、玉音放送などなどドラマチックになる要素をほぼ完全に排除したことに作り手のナルシシズムが感じられる。それによって天皇の人柄をより興味深く描けているならいいんですが、グダグダすぎる。場面場面は長い割にぶつ切りだし、どうでもいい会話やひとりごと、動きのない画面は退屈の極致。天皇をテーマにしたぜ、凄いだろー。イッセー尾形ハマってるだろー。っていうだけで、見てもらおうっていう努力が全く感じられませんでした。 【すべから】さん [DVD(字幕)] 2点(2009-09-05 01:29:22) (良:1票) |
29.戦争で引き裂かれた愛はたくさんあるだろう。でも、本当の愛は、そんな劇的なものではなく、むしろ何の変哲も抑揚もない毎日に耐えるところで静かに紡がれるものではないだろうか。この映画の統治者の姿は、いつも通りの日常に身をおくという、人間にとって実は最も困難な生き方を表現しているように思われた。統治者だけが、戦時下の日本において、一人だけ「変わり映えのしない日常」を生きていた。だから、彼だけが、敗れゆく日本の姿を、唯一の仕方で感じ取っていたはずなのだ。それゆえに、ソクーロフ監督の映像の中の日本は、日本人にとって誰も見たことのない雰囲気と色彩に満ちている。この映画はドキュメンタリーではないのだから、歴史的な考証が正しいとか正しくないとか、昭和天皇は本当にこの映画に描かれるキャラクターみたいな人だったのかとか、なるべくそういう考え方から離れて観てみるとより楽しく見れる。 【wunderlich】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2008-07-25 23:25:55) |
28.《ネタバレ》 ロシア人監督が大戦終結前後の天皇(日本)とマッカーサー(米国)をどういう描き方をするかに興味があった。意識的にか、戦争が終わったことが扱われていないので、あれっというかんじ。マッカーサー役の俳優は全然似てないし、少し軽いのではないか。 【ジブラルタの星】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 4点(2008-03-23 14:36:50) |
27.前半部分は、特に敗戦の御前会議と思われる会議が「?」です。・・・阿南陸将はどうして軍服を着ていないのだろう。天皇が「四方の海」と明治天皇の歌を詠むのは、開戦の時の御前会議で、敗戦の時の会議ではなかったはず。・・・・外国の映画だから、仕方がないといえばそれまでだけど、日本的環境では確認されている事実が、ないがしろにされてしまうと、事実は事実として扱ってね、と思ってしまう。・・・・・・とはいえ、特にマッカーサーとの対面や、会食のあたりが興味深い。昭和天皇とはこういう人だ、と決めつけるのでなく、子供じみた部分、科学者的側面、責任感、プライド、外交的能力などなど、昭和天皇の多面的な部分を、イッセー尾形が実に良く表現している。そして実際の人間や出来事というのは、そのように多面的なものなのだから、イッセー尾形を見ていると、一つに決まらないもどかしさがある一方で、現実性、リアリティを感じることができるのだ。そして占領期の日本について考えるきっかけを与えてくれる点でも貴重な作品といえる。・・・・・・とはいえ、天皇制の宗教性など、文化的な事柄を考えるには、全く掘り下げられていないと感じました。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-01-04 23:31:04) |
26.《ネタバレ》 友人と観にいったら私たち2人を含め5人しか客がいなかったのでホームシアター気分でした。昭和と平成の境目に生まれたもので昭和のことも昭和天皇ご自身のことも良く知らないのですが、印象に残ったのは空襲シーンです。上空からの視点で、燃えている町の映像はぼんやりしている。これはおそらく火の下を逃げた事のないであろう天皇の空襲のイメージなのだろうか、と思いました。 【HOPUKO】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-12-06 00:04:25) |
25.《ネタバレ》 非常に興味深いテーマではありますが、何となく禁忌を冒す罪悪感を感じてしまいながらの観賞となりました。まあ、日本では作れない映画ですね、上映できたことが驚きです(「昭和も遠くなりにけり」ということなんでしょうかね?)。 イッセー尾形は、いろいろな意味で難しい役を見事にこなしていると思います。下手すれば命を狙われかねない訳ですから・・・・・。 まあ、感想を述べるのが非常に難しい映画ですね。他の国の国王やら皇帝の話であれば簡単に述べられるんですけど・・・・。ただ、映像の美しさ等格式の高い芸術作品であったことは良かったなと思います。 【TM】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-11-11 23:40:03) |
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24.イッセー尾形って、特定の人物の物まねをやるのではなく、あるタイプについて人々が抱いている典型を、ひたすら外面の模倣だけで内面をも感じさせるまでに持っていく人。今回はヒロヒトという特定の人物が課題、外面の模倣はさすがだが、はてそれで内面はどうなったか。興味深かったのはそのヒロヒト自身が、映画の中でチャーリー・チャップリンに似てると言われたことだ。マッカーサーの部屋で一人きりになると、チャーリーのようにふらふらと室内を踊りだしてしまう。人と対面することが仕事の天皇がふと誰の視線もない場所に立った時、似ていると言われた他人を模倣することで内面を埋めようとしているような、そうすることで映画の中のヒロヒトがイッセー尾形を模倣し、内面の空虚をお互いに埋めあっているような、奇妙な倒錯が一瞬感じられた。 【なんのかんの】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-10-07 10:37:51) |
23.僕の知っている昭和天皇は温和なおじいちゃんという感じで、尊敬すべき人格者です。 それは天皇という地位が齎すものではなくて、人として内面から滲み出る風格でした。 この作品では、また違った一面を見ることができて面白かったし、本質的な威厳も損なわれていないように感じましたね。 物語としては、そんなに面白いものじゃないけど、人間観察という意味で非常に面白い作品でした。 【もとや】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-06 21:10:52) |
22.「朕の不徳なる・・・」と云う文芸春秋に掲載された文を読んで、昭和天皇に対する畏敬の念が大きくなっていました。この「太陽」を映画館で観れなかったのでDVDで初めてみました。天皇があんなに堂々とマッカーサーとやり合っていたとは知りませんでした。また、多数国語が喋れたということにも吃驚しました。さらに畏敬の念を強くしました。 【亜酒藍】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-08-03 09:21:37) |
21.《ネタバレ》 イッセーさんてなんて勇気のある人なんだろう。ただただ感嘆するばかりです。まさかロシア人監督が描く昭和天皇の映画で、まさにその昭和天皇の役を演じるなんて!しかもその描写と行ったら、もう。僕の見方は間違っているのかもしれません。でも僕にはそうとしか見えなかった。この映画で描かれているのは多分、その器もないのに神と等しい位置にまで祭り上げられてしまった一人の哀れな男の姿です。そしてこの、本来もの静かで知性も備えた、現人神でいるにはあまりにも我の強くない男はその重荷に耐えきれずに半ば精神に変調をきたしかけています。僕は観てて本当に戦慄が走りました。”これじゃイッセーさん右翼に殺されちゃう!”て本気で思いました。特にマッカーサー登場までは。この内容を徹頭徹尾リアルな映画として撮ってしまったとしたらほんとに政治問題や国際問題になりかねないな、って思いました。ところがこの映画はそんな愚をおかすことは決してしないで、美しくもグロテスクなイメージを重ねつつ、あくまでファンタジィの側で踏みとどまります。これは現実の皇居で起きた現実のことではない。どこか観ている僕らにはその確信がある。その上でこそあのイッセーさんのすばらしいお芝居が輝きます。その緻密さ。連合軍のジープに乗せられて去ってゆく現人神の庭には丹頂鶴が憩うている!しびれます。太陽と崇められた男の心はしかし崩壊の手前で踏みとどまります。そして月光の下で一人の小さな人間としての悲しい再出発を決意する。この先の人生が苦い苦いものになるであろう予感を含んで。やがて太陽は昇る。今日もゆっくりと。 【am】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-05-30 03:56:16) (良:1票) |
20.天皇が神ではなくなったのだが、血の通った人間のように見えるわけでもなく、むしろ人形が心を持つようになりました、というような印象だった。昭和天皇があの当時から口を震わせながら話していたのかどうか知らないが、見ていていらいらしてくるし、会話も成り立っているのかどうかよくわからないところが疲れた。 【HK】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-05-20 22:41:56) |
19.《ネタバレ》 面白い。ストーリーも面白いんだが昭和天皇そのものの人物像が面白い。シュールすぎて。口がもごもごしてるシーンは笑いをこらえるので必死だったけど所々会話シーンで途中話が中断し昭和天皇がボソッと日本語で「あっそう」。なんてシュールなんだ |
18.なりきってたなぁイッセー尾形。 いや、実際昭和天皇をよく知ってるわけじゃないけど、完全に入ってた。 集中力がすごい。特にマッカーサーに背を向けて、ドアに向かって歩く姿は 確かに日本を背負ってる威厳のようなものを感じた。 監督はあくまで、「昭和天皇を形態模写するイッセー尾形」 を、通して昭和天皇像にアプローチしている。 だって、イッセー尾形はくたびれたサラリーマンと同じベクトルで昭和天皇を演じているだもん。 最初はオーバーアクトだと思ったけど、あえてやり過ぎたパロディに、そして滑稽さを醸し出すことで 表現できるリアリティを選んでいることが分かる。 きっと日本人がイッセー尾形の形態模写を見るとき、あーそれあるある的な感想で笑って 終わるのに対して、欧米人がイッセー尾形のひとり芝居を見るとき、笑いを越えて何かしらの メタファーを読み取ろうとするんだと思う。芝居に対しての感受性の違いというか。 まぁ、しかしいろんな意味で日本人には撮れん映画だわな。 【michell】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-05-05 21:20:04) |
★17.昭和天皇は本当に神格を否定したかったのか、自分には疑問に思う。 人格を欲したのか、それが本当の気持ちなのか違和感が非常にある。 国民を想い、日本を想う昭和天皇が最終的に間違えた選択を起こしたかの錯覚を みせる内容に見えて非常に嫌であった。 敗戦の責任は暗に天皇であるといわんかの内容は自分の思い違いなのか? 「人格」のない昭和天皇にはあろうはずも無く、すべては時の政治が起こした 「神格」の錯覚と欺瞞にほかならないと自分は思う。 天皇を語れば右翼といった安直な精神は押し付けられた憲法と今でも占領下の 日本では仕方の無いことかもしれないが、戦争にいたった経緯、国民の想いを なぜに教えずに謝罪のみを繰り返すのか憤慨してやまない。
古き良き日本の文化をノスタルジックに語るのならば、当時の日本の宗教であった 剥奪された天皇教をも語ってほしい。
映画的には7点。 みなに今一度考えてほしいから+1点。 【Jane.Y】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-05-03 08:05:01) |
16.流用するようで申し訳ないのですが、確かにイッセー尾形の芝居の面白さだけが突出しているようにも思える。テーマよりも映像美と配役とテンポの静かさに目がいってしまい、少し希薄な印象。伝統や権威の傀儡が引き起こす悲喜交々にも感情移入できないままでした。ラストシーンはカナリ切れ味がよく、明確。 【aksweet】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-04-30 23:31:58) |
15.《ネタバレ》 あんまり史実がどうとか実際の人間像はどうとかっていうのは深読みせずに、「昭和天皇をモチーフにしたイッセー尾形の芝居劇」と見ていればよろしいかと思います。その演技の仕草一つ一つ、あるいはカメラアングルのやらしさが逐一失笑してしまうんですが、なぜかだんだんとイッセー尾形扮する昭和天皇が愛おしく見えてきます。外の凄まじい東京の状況と待避壕&研究所の対比とか、現人神と人間の対比とか、そういうのは面白いんですけど、そもそもそれって昭和天皇という立場上最初からある面白さであって、この監督さんの物静かなタッチがその面白さをどれほど引き出せたのかはなんとも言えないところですね。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-04-08 01:04:15) |