2.大予算・大スケールの弊害も顕わにいわゆる「偉人」らのドラマに偏向し、「民衆」は戦争スペクタクルを構成するその他大勢としてしか表象されない。
よって、群像ドラマは散漫な印象しか残さず、なんらエモーションを呼び込まない。
建国における「歴史に残らなかった命の物語」という、どこかジョン・フォード的なモチーフを標榜するなら、皇太后を始めとする朝廷側の描写はもちろん、同盟会指導部の描写すら省いても全く差し障りなかったはず。
視点を黄興なり、革命軍一兵士なりに限定したほうが余程良かった。
画面構成はその深度においても視点においても、「民主的」とは程遠い。
序盤からジャッキー・チェンの中指を失わせ、アクションを封じておきながら、半端なサービスシーンを入れてしまう辺りも興醒めだ。
そもそも、アクションスターの宿命的なワンマン性と、歴史群像劇との相性が悪すぎるのではないか。