1.《ネタバレ》 大ヒットした前作の15年越しの続編はまさかの配信止まりとなった。プロデューサーらがコメントを出しているが、おそらく試写の評判が悪く再撮影したことなども影響しているのだろう。
前作はそれなりの面白さがあったものの、結局主人公たちさえ幸せになればいい(フラれたエドワード王子とナンシーが出会ってすぐに結婚するという筋書きはどう考えても酷い)という作品で、悪い意味でディズニーらしい作品だった。本作はその悪い部分がより顕著になった作品と言えよう。
都会暮らしを嫌うジゼルは、家族の反対を押し切り郊外へ引っ越し、かつて暮らしていたおとぎの国の世界を実現しようとする。その後、魔法のせいもありジゼルは嫌な魔女のような人間になってしまう。その危機を救うのは、前作でフラれたエドワード王子とナンシーである。フラれたことは何のその。自分をフッた相手に対してエドワード王子とナンシーは命がけの無償の愛を提供する。
ジゼル以外の人物の大活躍によりジゼルは魔法を解かれ、みんなが幸せに暮らして終わりを迎える。結局、ジゼルの望んだ郊外での暮らしが実現し、それに夫のロバートも、彼の娘モーガンもみんながジゼルを、そしてこの郊外での暮らしを受け入れる。魔法にかけられた主人公は何もせず、周囲の人間がただひたすらに頑張り、最終的に自分のわがままが通って映画が終わる。いい年した大人の自分勝手な物語。本当にこんな物語を作りたくて作ったのか。