2.《ネタバレ》 面白かった!普通ではまず接点のない中学男子とヤクザの兄ちゃんが関わることで発生する事象の数々を、まあ上手に笑いに変換してます。強面のチンピラが腰低く中学生にビールを勧めてくる、ベタだけどその画ヅラに笑えます。口のあるキティちゃんはツボにはまっちゃった。
視点は中三の聡実なので15歳のリアルとともに物語は進行。ジュヴナイルな瑞々しさが本作の魅力の一つに感じます。彼が中学生活で心を注いできた合唱部の仲間や担当教諭らもキャラ立っています。めんどくさい後輩に、掛け持ちで所属する映画部という大事な場所。客観的に見られるようになってきた愛すべき両親。まだまだ狭い中学生の世界に突如ぐいぐい押し入ってくる別世界の大人。困惑する聡実を演じた斎藤くんは当て書きかのように違和感なしです。
「気の良い兄貴」的な懐っこい若頭狂児役の綾野剛は、(関西弁の難しさに足を引っ張られてる感があるけれど)魅力的な造形に仕上がってます。スタイルが良いのでちゃんとスクリーン映えしますし。でもでも、なぜに狂児がカラオケ大会最下位なのよ?序盤の「紅」だってわりかし上手じゃないですか?この場面はもっと音外してくるものと思ってましたのでやや拍子抜け。演出的にどうなんだろうとは思いました。
カタギの中学生には優しくても、ヤクザですからいつマジでおっかない側面を出してくるのかと内心冷や冷やしながら観てたのだけど、最後までハートフルな空気感でした。「カラオケ大会が終わったらLINEも通じなくなった」と聡実の台詞。ヤクザの自分がいつまでも未来ある15歳に関わっていては良くないと狂児が身を引いたのでしょうね。実にハートフルです。