ANORA アノーラのシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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ANORA アノーラ

[アノーラ]
ANORA
2024年上映時間:139分
平均点:7.40 / 10(Review 5人) (点数分布表示)
公開開始日(2025-02-28) (公開中)
ドラマコメディロマンス
新規登録(2024-10-31)【Cinecdocke】さん
タイトル情報更新(2025-03-04)【Cinecdocke】さん
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監督ショーン・ベイカー
キャストマイキー・マディソン(女優)アニー(アノーラ)
ユーリー・ボリソフ(男優)イゴール
脚本ショーン・ベイカー
製作ショーン・ベイカー
配給ビターズ・エンド
ユニバーサル・ピクチャーズ
編集ショーン・ベイカー
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5.《ネタバレ》  映画館の予告は見てました。R18だし嗜好的にどうかと思ってたので視聴見送り予定でしたが、アカデミー受賞で評判も良さげで題材も好みっぽかったので観てきた感じです。

 率直な感想としてはすごい良かったです。

 前半部のものすごく舞い上がっていく夢のような展開に、後半の怒涛のような闘争と転落が実に劇的でメリハリがあって、あと自分は娼婦じゃない、ストリップダンサーなんだ! という誇り高さに痺れて最後まで応援したい気持ちで観ながら一気に走り切った感じでした。

 この辺の風俗業的な職業差別については、つい1~2年前くらいに日本でも当事者の意見を全く反映してない偏見に満ち満ちた法律が決議施行されて、かなりの偏見が国内でもまん延してることが明らかになったわけですけれども、本映画の感想でも「娼婦の話で~」というような、お前ほんとにこの映画観たのかよ、まったく全然何もわかってないのじゃないのか!? というような偏見に満ちた感想がネット上にあふれてて、いかがなものかと思ったりしています。

 そういう意味でも、今まさに時流をとらえた挑戦的な作品(しかもエンタメとしてもよくできている)なわけで、受賞も納得だなあと思いました。

 あと、エンドのあのかかわりとエンドロールの辺の演出については、私個人としては創作系の学校に行っていたときに出た心理テストを思い出したのですが、どういうテストかというと主人公ヒロインに関わる男性が何タイプか居て、その中で誰が最も好ましいと感じられ、逆に最も嫌悪感を覚えるかというもので、その一人にヒロインの願望をかなえることに協力するけど代償としてセックスを要求する男性というのがいて、それが好ましいか、嫌悪感を覚えるかどちらでしょう? というので評価が真っ二つに分かれたんですよね。

 で、本映画だと主人公からするとそれは、仕事外の行為で、相手に対する親愛の情の証であり、そういう世界にどっぷり浸かったそういう文化圏の人間なのだ、という風に認識して見えたので、だからあのあと恋人同士になるとか、結婚するとかまったく考えてもないしありえないと思ったんですけどどうなんでしょうか。まあ友人にはなれるかもしれない。

 主人公と、あの最後の彼との分かり合えなさは、典型的な今どきの男女間のすれ違いを如実に表してたと思うのですが(と同時にわかったつもりになってるだけの今どきの象徴的男性像でもあり)、主人公は、あれは暴力だというのに一切耳を傾けず、ただ暴れるから抑制しただけだと平行線をたどったまま終わる。主人公は果敢にもあらゆる手を尽くして暴力に抵抗するのですが、最終的に屈してしまったのは、顔に大きな傷を付けられて、それは彼女の商売道具でもあるのでさすがにまずいと意気消沈して、やっとおとなしくするのですが、その傷跡を、夫やあの男にいかにもわざとらしく見せつけても、彼らはそれがいかに重大な心折れることであるかをまったく理解せず話題にもしないわけで、かなり酷いことになってる。

 そんな風にお互いまったくわかり合えないことが描かれてるけど、あれの返還によって、好意と相手からの親愛の情はわかることがわかるという風に感じました。

 エンド後の感想としては、いろいろ大変だったけれども最終的に合計5万ドルなら、まあまあどうでしょう? と思った感じです。

 ああでも、最近、示談金9000万とかいう話があったばかりでした。すごい時流だなあ。

 そんなところです。
simさん [映画館(字幕)] 8点(2025-03-06 12:43:23)★《新規》★
4.《ネタバレ》 ストリップダンサーのエネルギーあふれる官能的なラブコメ。米アカデミー最優秀作品賞受賞作…ということは本年度最も評価された映画。夜のNYで踊るイケイケでヤりたい放題なアタシと、ロシア富豪の御曹司にして絵に描いたようなチャラ男のオイラ。見るからに安っぽい恋愛で、勢いに乗ってケッコンしちまうアタシとオイラ。ロシアの両親が来米すると聴いてビビりまくり尻尾巻いて逃げ出す、小便小僧なオイラ。大邸宅に取り残されたアタシ、怒りのスイッチオン。両親が寄越した大の男3名の刺客相手に暴れまわる、怒鳴り散らす、じゃじゃ馬ではねっっかえりなアタシ。アタシと男3名、世間知らずで臆病なボンボンのオイラを求めて珍道中。四方八方探し回り、捜索後に両親が来米してもちろん離婚成立。やってられねえ。慰めてくれたのは刺客の一人。最後のイッパツもヤり損ねて涙。破天荒でエネルギッシュに「アタシ」を怪演、弱冠25歳のマイキー・マディソンが米アカデミー最優秀主演女優賞、ショーン・ベイカーが最優秀監督賞受賞。良作。
獅子-平常心さん [映画館(字幕)] 7点(2025-03-04 21:19:42)《新規》
3.《ネタバレ》 ニューヨークに暮らすストリッパーの女性アノーラと、ロシアのオリガルヒの御曹司イヴァンとの無軌道な恋を描いたショーン・ベイカー監督作。公開以前から世評が非常に高く、まさかの本作鑑賞当日には、本作がアカデミー5部門を制覇するニュースまで飛び込んできたから、たまたま映画を観にいったこちらとしてもびっくりであった。

主役のアノーラを演じたマイキー・マディソンは見事に主演女優賞を獲得。25歳とかなり若い年齢でのオスカー獲得だが、これはこの時期の、若い彼女にしか表現できなかった演技を高く評価されたおかげだろう。イントロから体当たりのシーンの連続。ヌードシーンやセックスシーンも多い。映画ではそれらがロマンチックというより、むしろリアリスティックに描かれていた。ストリップを行うシーンはアノーラのお仕事シーンとして描かれ、イヴァンとアノーラのセックスシーンはどこか刹那的というか、即物的な感じで描かれる(今からすると、二人の関係に愛は存在しないという伏線だったのかも)。総じて、若さを発散するかのような身体の大胆な露出も厭わず、それでいて若さゆえの思慮の無さを同時に表現したマディソンの演技が、非情に印象的だった。もちろん、イヴァン役のマーク・エイデルシュタイン、ユーリー・ボリソフの助演も素晴らしい。前者は最初から最後まで信頼してはいけない屑男の雰囲気を上手く表現できていたし、後者は、中盤以降のヒロインの相手役で、用心棒のくせに妙に人間味と愛嬌を持つ人物を表現できていた

序盤は無軌道なシンデレララブストーリー、中盤はドタバタコメディ、終盤はほろ苦いヒューマンドラマとして締めくくる風変わりな構成(三幕構成としては実に綺麗な構成だが)。そして、エンディングは今までこの手の映画で見たことがない展開と演出であったため、観る人によって評価が分かれるだろうと予測する。ただ、アノーラの心の奥底にあった悲しみが爆発するシーンでもあり、強く印象に残った。この先、アノーラはどういう人生を辿るのであろうか。映画は答えを用意しない。冬の景色の中、観客は取り残される。
nakashiさん [映画館(字幕)] 8点(2025-03-04 01:28:59)《新規》
2.《ネタバレ》 大人だからこそ、若さがあるからこそ、大きな困難を乗り越えられると思っていた。
だが、いくら大金を得られてもヒエラルキーからは逃れられない。
そして強大な権力によってどうしようもない厳しい現実に打ちのめされる。

NYのストリッパーで時折性的なサービスも請け負っていたアノーラが求めていたのはお金だったのか、
それとも自分自身を受け入れてくれる代わりの利かない愛情だったのか。
最初で最後かもしれないチャンスに彼女は必死にしがみつく、必死に抵抗する。
大富豪の部下たちの脅しには汚い言葉で打ち負かし暴れまくる。
決して折れまいと毅然とした態度で立ち向かうマイキー・マディソンのパフォーマンスに圧倒された。
ポールダンスからロシア語まで完璧にこなし、アノーラというキャラクターに現実味を与える。

本作では愚かな人間しか登場しない。
勢いでアノーラと結婚した大富豪の息子のイヴァンですら、彼女を置いて逃走して、NYのクラブで泥酔しまくるし、
自分という核がなく流されるがままの幼稚で無責任な青年。
両親を見ても「この親にして、この子あり」な横柄さでロシアという国家そのもの。
その中で寡黙な用心棒のイゴールだけはアノーラに対して距離を置きながらも、彼女を気遣い、見守っていた。
婚約解消のシーンで部外者ながらイヴァンを謝罪させるべきだと進言したのも彼だった。
ある意味、彼だけはファンタジーの住人だ。
当たり役を好演したユーリー・ボリソフに肩入れしたくなる。

夢から醒めたように現実に叩き戻されるラスト。
朝から白い雪が降り続く灰色の世界に、車のエンジン音とワイパー音だけが響いている。
自分に良くしてくれたイゴールへの厚意を性行為でしか示せない悲しさに今まで張り詰めていた糸が切れ、
アノーラは"一人の女の子"として泣き崩れる。
イゴールもやんわり拒否しながらも無言で、
「もうこれ以上、自分を傷つけなくていいんだ、頑張ったよ」と彼女を慰めているように見えた。

アノーラのこれからの物語はどうなるのだろうか?
きっと、二人は恋人同士になれなくても、お互いに信頼し合える存在として支え合いながら強く生きていくと思う。
なんたってアノーラはロシア語で"光"を意味するのだから。
Cinecdockeさん [映画館(字幕)] 7点(2025-03-01 21:18:50)《更新》
1.《ネタバレ》 『フロリダ・プロジェクト』や『レッドロケット』のショーン・ベイカー監督が、ついに賞レースの最前線へ! しかもテーマは、ストリッパーとロシア人富豪のバカ息子の恋? うわ、めっちゃ面白そう、っていうか絶対面白い、という諸々のハードル上がりまくった状態で映画館へ。

結論としては、うーん・・・思ったのとは違った。それにいままでのショーン・ベイカー作品と比べるとちょっと飲み込めない部分もある。

「恋愛成就からその後まで」映画といえば『ラ・ラ・ランド』をはじめ珍しいパターンではない。この映画の奥深さは「それって恋愛なの?」という疑問がそこに挟まれていることだ。ストリッパーと客として出会い、前半は基本的に短いセックスシーンと乱痴気騒ぎの連続。そんな「底の浅さ」の頂点に「ラスベガスでの結婚」がある。そんな軽薄極まりない結婚に「シンデレラ・ストーリー」を見出すのが「新しさ」なのか?といろいろ疑問が頭に・・・。そこから、物語は俄然面白くなる。それまでの短いカットでポンポンと進んできたストーリーと比べると、無駄に長いポンコツ三人組との組んずほぐれつの格闘シーン。ここで、とにかく屈しない主人公アノーラ。ここで初めて、アノーラという主人公の核が見えて、物語がクリアになる。

その後のイヴァン捜索のグダグダからラストまでの展開にはハッとする瞬間もあったけれど、とくにロシア人父母が登場してからはモヤモヤが。アノーラを含めて全員クズなんだけど、それが何重にも重なるやりとりがイマイチ心に響いてこない。それはたぶん、あのロシア人一家がわかりやすい悪役で心を許せる要素がほとんどなかったせいだと思う。クズがクズであることの人間的な魅力はやっぱり社会の周縁にあってこそなんだと実感。富豪一家は本当に単なるクズで、いまの世界をかき回している有害なクズたちの姿に重なって、ただただ不愉快だった(今朝あいつとあいつの腰巾着がウクライナ大統領に放った暴言の数々をみちゃったから、なおさら不愉快)。

だから、ラストがあの二人のシーンになったのは必然だし、そこは本当に素晴らしい。雪の風景、音の演出、そしてアノーラの涙。「それって恋愛なの?」という最初に抱いた疑問が、ここで深く突き刺さる。マイキー・マディソンにオスカー主演女優賞とってほしい!と心から思えた幕引きでした。
ころりさんさん [映画館(字幕)] 7点(2025-03-01 10:16:24)《新規》
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【点数情報】

Review人数 5人
平均点数 7.40点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
400.00%
500.00%
600.00%
7360.00%
8240.00%
900.00%
1000.00%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.00点 Review1人
2 ストーリー評価 8.00点 Review2人
3 鑑賞後の後味 8.00点 Review2人
4 音楽評価 9.00点 Review1人
5 感泣評価 6.50点 Review2人
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【アカデミー賞 情報】

2024年 97回
作品賞 受賞 
主演女優賞マイキー・マディソン受賞 
助演男優賞ユーリー・ボリソフ候補(ノミネート) 
監督賞ショーン・ベイカー受賞 
脚本賞ショーン・ベイカー受賞 
編集賞ショーン・ベイカー受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2024年 82回
作品賞(ミュージカル・コメディ部門) 候補(ノミネート) 
主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)マイキー・マディソン候補(ノミネート) 
助演男優賞ユーリー・ボリソフ候補(ノミネート) 
監督賞ショーン・ベイカー候補(ノミネート) 
脚本賞ショーン・ベイカー候補(ノミネート) 

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