175.《ネタバレ》 誰が何の目的で15年間も監禁したのか、謎を追究する主人公に自然と思いを重ねてしまい、最後まで引っ張られる。
その謎を解くキーはなぜ解放したかにあったというのが、意表をつく展開で良かった。
日本の漫画が原作だけに、劇画的な部分もあちこちに感じられる。
15年間の監禁生活で体を鍛えイメージトレーニングを重ね、大勢の敵を金槌で倒せる格闘の達人になるなんて、いかにも漫画チック。
少年の頃に持つような空手の通信講座で達人になる空想を、そのまま映像化したかのよう。
リアリティはまったくないけど、これはこれで楽しい。
ただ、犯行動機と手段が近親相姦も関わってあまりに衝撃的でシリアスなもの。
なので、時折り混ざっていたギャグタッチの描写とのギャップに違和感はあった。
そういうのもないと重くなりすぎるのかもしれないが。
アラを探せば、主人公が解放後に一番気になるはずの娘の消息を追わなかったのはおかしい。
また、万能薬的なアイテムともいえる催眠術を使っているのも引っかかる。
ただ、そうしたことをさほど気にならなくさせるだけの勢いがこの映画にはある。
ウジンの犯行動機は理不尽な逆恨みに近く、これほど苛酷な復讐はありえないと思われるかも。
でも、イカレた人間の逆恨みのターゲットになる怖さは今の社会なら常に潜在しているので、絵空事とまでは思えない。
タブーを恐れないアンダーグラウンドの臭いがして面白い映画だった。