4.1930年代の上海。裏社会に生きる人間達の抗争と愛憎のドラマ。
日本や西洋諸国の思惑が交錯するこの時代の上海の混沌も、裏社会の抗争に付き物のドンパチもほとんど無い。
上海の裏社会を牛耳るドンの愛人にして上海の人々を魅了する歌姫。皆から"お嬢様"と呼ばれ栄華を極めるコン・リー演じるチンパオ。
この手の作品にしては静かなドラマですが、作品の視線を荒みきったこの世界の住人達に置くのではなく、
彼女の付き人を務めることになった、田舎から出てきたばかりの少年に置いたことで登場人物ぞれぞれの運命や結末が強烈な印象を残します。
チンパオがいなくなってしまっても何も変わらない。新たなチンパオの候補者を上海に連れて帰るだけ。
この少年もいずれは上海の裏社会の構成員に成長していくのか・・・。
こんな風に裏社会のシステムが受け継がれていくことを感じさせるラストが悲しすぎる。
チャン・イーモウが時折見せる映像美へのこだわり。本作でもそのこだわりが随所に感じられます。