1.《ネタバレ》 いきなり最初からフィンランドにこんな険しい山があるわけないと思ったら、実際の撮影地はドイツのバイエルンだそうで、このあたりでこれはもうファンタジーなのでリアリティなど問題にすべきでないという気にさせられる。
アメリカ人役で出ているのは実際にアメリカで活動している俳優らしいが、原案・脚本・監督はフィンランド人であり、この映画もあくまでフィンランド映画である。その割にはハリウッド風の(大作風の)アクション映画のように見えるが、これは今回の趣向がそうだったというだけで、実際はフィンランド映画であるからハリウッド映画と直接比較するようなものではない。ただしフィンランド映画にしては金がかかっているのではないかと思われる(英独も製作に関わっている)。
物語に関しては、基本的には異質のようでも共通点のある2人が協力して困難を切り抜けたことでともに成長する話に見えるかも知れないが、題名に基づいて解釈すれば、テロリストと少年が狩りの獲物を奪い合う映画と思うのが正しいことになる。最後は少年が勝ったことでアメリカ大統領がクマとかシカ並みの扱いにされていたわけで、あくまで主人公はフィンランドの少年である。
またアメリカ大統領をめぐる陰謀の映画のようでもあるが、それが最終的にどうなったのかよくわからず、問題を残したままで終わってしまった印象もある。しかしあくまで主人公はフィンランドの少年であるからワシントンでこれから何が起こるかはもう関係なく、少年側がめでたい状態で終わればハッピーエンドである。
そういうことで、あくまでフィンランド側に視点を置いて見れば素直に良さが感じられると思われる。要は天下のアメリカ大統領をネタに使ってフィンランド人が盛り上がる痛快映画だが、単純に可笑しい場面もあって万人が楽しめる映画になっている。
ちなみに自分はフィンランド語は話せないが聞いているのが好きなので、劇中でフィンランド人が朗々と語る場面は聞き惚れてしまう。古老の言葉を後で少年が再現する場面があったが(“Metsä on ankara tuomari…”)、ここはこの少年が格好よすぎて少し感動した。