6.《ネタバレ》 先月久しぶりに見た「砂の器」に続いて本作も15年ぶりくらいの再見。(以前も見たのは「砂の器」の後だった。)本作は野村芳太郎監督にとって2作目の松本清張原作映画になるのだが、脚本に「砂の器」と同じ橋本忍と山田洋次監督を起用しており、「砂の器」を見た後だとどうしても期待してしまう部分があり、以前に見た時はその期待が大きすぎたのか、イマイチに感じたのをよく覚えている。それを今回はそういう期待を抱かずに見た。主要人物となる女性三人の人間ドラマは魅力的だし、本作でも印象に残る海の美しさはやはり野村監督らしいと思うし、三人を演じる久我美子、高千穂ひづる、有馬稲子の演技もそれぞれ良いし、白黒の映像も良い雰囲気を醸し出しているものの、脚本的にはあらすじを追っているだけというような印象があり、ややダイジェスト的になっていてドラマとして深みが感じられず物足りない。展開もスピーディーで、もっとじっくりとドラマを描いてほしかったところ。クライマックスの断崖での推理シーンは今では同じシチュエーションが2時間ドラマでもおなじみになっていて、本作がその先駆けというのは有名な話だが、けっこう歴史的なことだと思う。(テレビドラマではなく映画が先駆というのが意外な気もするが。)この推理シーンはさすがに緊迫感もあり、引き込まれる部分でもあるのだが、少し間延びしてしまった感もなくはなかった。事件の発端となる禎子(久我美子)の夫である憲一(南原宏治)の行動にもいささか納得しかねる部分があり、ここの部分をもっとしっかりと描かなければいけなかったのではないだろうか。また、「砂の器」同様に暗い過去を持つ犯人だが、彼女を通して元パンパン(米兵相手の売春婦)だった女性の悲劇も描きたかったようで、むしろそれが本作のテーマでもあると思うのだが、やはりこれらのドラマを丁寧に描くにはとても95分では足りずにあとせめて一時間くらいは必要だったと思う。やっぱり今見ても全体的な印象は薄く、物足りなさの残る映画だったが、それでも以前見た時よりは楽しめたし、けっしてつまらない映画でもないと思う。田沼久子を演じる有馬稲子は明るい顔立ちをしているが、「東京暮色」しかりこういう悲劇的な役柄が意外に合っているような気がする。犬童一心監督版も見てみよう。(2018年9月15日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 6点(2005-06-18 00:03:56) |
5.内容云々よりも当時の風景や風俗、その時代に見せられてしまいました。 【omut】さん 5点(2003-08-12 03:04:52) |
4.有馬稲子が、駄々をこねて主役から脇役に回った映画。台本を読んで、是非にということで久我美子が主役になったもの。このいきさつを知ってから見直してみると、違った見方ができるのではないか。 【ジブラルタの星】さん 5点(2003-02-23 02:23:41) |
3. 映画版『ゼロの焦点』は最後にスター有馬稲子のためのストーリーを付け加えたために、話の焦点がぼやけてしまった。◆殺人とその謎解きのストーリーは、久我美子と高千穂ひづるが崖の上で話し合う場面で終わっている。◆夫の失踪と謎の自殺。実は、夫には女(有馬稲子)がいてその関係の精算のために考え出した狂言自殺が、自分の過去を知られた高千穂ひづるによって殺人に利用された。そのことが明らかになったことで充分だった。◆ところが、過去の女の話になって、あのきれいなきれいな有馬稲子の顔がスクリーンを占領し始めると、映画自体の興味は間延びしてしまった。そして、それまでの恐い恐い映画が、切れ長の大きな目をした有馬稲子の可愛い笑顔によって可愛い女の映画に変わってしまった。◆結局、最後に一番強く残った印象は有馬稲子がいい女だということで終わった映画だ。いや、有馬稲子は実に美しい女優だ。 |
【知事】さん 10点(2001-06-16 09:17:01) |
1.ストーリーはつまらなくは無い。それは松本清張の有名作だから当たり前か。でも小説と言うイメージが強すぎるので、原作ありきの映画だと思ってしまう。 【出木松博士】さん 5点(2001-01-29 22:46:15) |