21.《ネタバレ》 驚くほど美しくて静かな映画。音楽もほとんど使われず、自然光を巧みに利用した静かで美しい映像はまるで美しい絵画を見ているようでもある。この作品は多くを語らない。でも、その映像には言葉では伝えられないエリセ監督の思いが確かに宿っているように思え、観ている僕はこの美しい世界にすっかり魅了されてしまった。過去に大きな忘れ物をしてきた様でもあり、南を去り、苦悩を抱え北の地で生きてきた様でもある父。子供の頃から分からなかった父の抱えている物を知りたい娘。父は最後に娘に何かを語ろうとしたのだろうか。果たして南にどんな答が待っていて、娘は南の地で何を見つけるのだろうか。ラストは娘の幸せを願わずにいられなかった。エル・スールというタイトルでありながら作品は南には辿り着かない。かつて南に何があったのかも描かれず、観ている僕は作品が辿り着かなかった南への想像をめぐらせる。でも、鑑賞後はこれで良かったんだと思えた。でも、いつの日か娘の南への旅の終着点をエリセ監督に見せて欲しいなとも思うのです。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-01-04 22:27:23) |
20.《ネタバレ》 映像がきれい。流れる時間が静かでまたいい。南に行ってからの話は無くてもいいんじゃないかな?この静かな時間がこわれそうだから。内容は、父親の、青春時代に信じてたものをくつがえされた孤独のためにどこに自分の居場所を求めたらいいのか、分からない苦悩が伝わった。最後、ホテルでの食事の後、「カリオカ」に気をつけろとちょっとかっこつけて言うところが痛いくらい寂しい。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2008-04-17 23:05:44) |
★19.《ネタバレ》 個人的に主演の少女は、(ミツバチのに比べて)アナトレントには及ばないとは思いました。 しかし良い映画だと思った。
父親は何か神秘的なパワーを持っていたのでしょうか。気になります。
ホテルのカフェでポツリと一人寂しく座っている父親がとても小さくてみえて印象に残りました。 映画の中で寂しい人を見ると悲しくなっちゃいますねぇ。。。 父親の孤独感がとても伝わって来たように思います。
全体の雰囲気が良かったと思います。 映画館の雰囲気とか、凄く良かったです。
「エルニド」とか「エルスール」とか、「ミツバチのささやき(原題に『エル』がついていたと記憶している)とか、、、(まったく別物では『エルトポ』とか『エルシド』)とか、、、 「エル」シリーズ(?)。この「エル」はどういう意味なのか、ちょっとだけ気になります。
また今度観よっと! 【ゴシックヘッド】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-12-04 03:11:43) |
18.エリセ映画は刺激は少ないが、観た後にとても強い印象を残す。 あぁ、「マルメロ~」も観てみたい! 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2007-10-04 11:19:02) |
17.《ネタバレ》 フランス独特の情緒豊かな作品。エストレリャの父母に対する思いとかが描かれている。映像も絵画みたいで綺麗でした。疲れている時には寝てしまいそうな位静かな映画です(笑) 【うさぎ大福】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-03-08 02:26:54) |
16.《ネタバレ》 静かでどちらかというと地味な作品でありながら、観ている間まるで魔法にかけられたかのように惹きこまれていきました。その位魅力にあふれる素晴らしい作品でした。 映像の美しさ、ストーリー展開や親子の描写の巧みさ等々全く隙が無いですね・・・・・・。 まだ、いろいろ謎が多く残されているので、もともと脚本が書かれていたという南へ行った先のエピソードも是非映像化して欲しいですね。 【TM】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-08 18:14:09) |
15.『ミツバチのささやき』同様にスペイン内戦の傷跡を背景とし、少女の成長を描く。窓から差し込む光が、庭のブランコが、道が、木が、家が時間の経過を、そして父と娘の関係の微妙な変化を語ってくれる。それは雄弁であっても常に慎ましく静かに語りかけてくる。情景は前作以上に美しく、そのうえで画面に映るすべてのものがさりげなく何かを語っている。映像で語るとはこういうことなのか!とあらためて驚かされる。さらに画面には映らないもの、「南」の情景までもが頭に浮かぶ。その情景はこの映画を観ている間に変貌してゆき、最後には郷愁すら感じさせてしまう。おとなしいくせしてすごいやつ(映画)なのだ。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-05-02 13:19:59) |
14.絵的には「ミツバチのささやき」よりこっちのほうが好み。青空と陽光を受ける雲が個人的にツボなので。幼い頃は尊敬し、神秘的な存在だった父のイメージが事件をきっかけに崩れ始めるところはすんなりと入り込めました。ホテルで父が語る初聖体拝領の思い出をエストレリャが淡々と聞き流してしまう演出は素晴らしいです。ホテルに残る父の孤独な姿と悲劇的な結末、ここまでは良かったんですが、それだけにラストが尻切れトンボ感が強いのが残念です。あえて父のイメージを想像させるという見方をするにしても、「南編」への未回収の伏線が多く、「未完成」の印象が残ってしまうのです(シリーズ物の中篇のような感じ)。やっぱり、これは「南編」あってこその作品なのではないかと。 【マイカルシネマ】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-01 00:23:41) |
13.「ミツバチのささやき」で見せてくれた美しい映像と物語、同じくここでも見せてくれてます。やはりこの監督の撮る映画は素晴らしい!とにかく近頃のアメリカ映画みたいにやたらうるさい音楽を流すことなどせずにじっくりと見せてくれます。なんて言ったら良いのかなあ?とにかく静かな中にあるその人間ドラマとしての美しさ、優しさが上手く描かれていて観ていてとても良い気持ちになります。 【青観】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-08-15 14:01:26) |
12.残念ながら、私には合いませんでした。ちょっと地味すぎて(繊細、というべきなんでしょうが)。映像はまずまずきれいだけど、主人公の女の子はたいして演技が上手いというわけでもないのであまり魅力を感じません。個人的には「南」のシーンがないのも欠点だと思います。未完の作品だと知らずに観た上で、「中途半端すぎる」と素直に感じましたから。 【no one】さん 5点(2005-01-19 19:59:55) |
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11.感情や思いを明るく口に出せないことはセツナイ。エストレリャ、父、母・・・それぞれの気持ちに、つい感情移入しそうになる。かもめの風見鶏、並木道、原野、日本の田舎に似た情景に郷愁をかきたてられるけど、どこか違う。内乱による不安と重たさか?陽気でマイペースなスペインのイメージの裏にある歴史を垣間みて、心に染み入る作品。 【草川ひゅー馬】さん 8点(2004-11-29 11:14:05) |
10.観る人それぞれが少女の父親のイメージを作り出し、それぞれに想いを馳せる。きっと観た人の数だけ父親像が出来るはず。エリセはすごい! 【mimi】さん 8点(2004-10-30 21:14:33) |
9.《ネタバレ》 う゛おー! どう評価すりゃいいんだこれ! エリセ監督が10年1作という超寡作家であるが故に、長い間見るのをためらっていた本作。DVD解説によれば未完、しかも後半になるはずの「南」パートがゴッソリ(お蔵入りならまだしも)製作中止だとか。だがしかしそこはエリセ御大、話半分でもすんばらしく面白い。撮られざる南パートも、本作で描かれた「父の前半生の襞」が解き明かされる内容とは思えないので、この「北」パートでも十分評価する事は可能。だけどオイラは見たいんだよー。信心深くも底抜けに明るく陽気な「南」側のスペインを。そこで癒されていく(であろう)少女エストレリャを。このあたりを勘案して、点数は低めに設定しときます。もー血の涙を流しちゃうよオイラ。いつか、別作品でもいいので「南」をテーマにした映画を作って下さい。エリセ様。そりゃーもちろん何十年でも待ちますから…本気で期待してまっせ。 【エスねこ】さん 6点(2004-09-08 22:13:18) (良:2票) |
8.前作「ミツバチのささやき」もそうだったが、ヴィクトル・エリセの作品では音も映像も決して叫ばない。ただ、慎ましげに密やかに、何かを語りかける。その声はとても静かで、こちらが少しでも気をそらすと聞き漏らしてしまいそうになるが、気味の悪い呟きではなく、まるで穏やかな老人の昔語りのように心を惹きつける―――本作に登場する父親が果たしてどのような人生を送ってきたのか、何を抱え、苦悩していたのか、作中ではっきりとは明示されない。観客は娘と同じ立場になって、失われた時間と記憶に思いを馳せる・・・・・・静かな、とても静かな作品。 【ぐるぐる】さん 9点(2004-05-07 18:27:17) (良:2票) |
7.心の中の「父」を想い、そして心の中にある「南」を描くことが、この映画の主題なんだろうなあ、と思っていました。『エル・スール(南へ)』という表題ですが、あえて南の風景を映像として出さないことで、南への想いを際出たせてるんだろうなあと思ってた。 でも、原作では、ちゃんと後半に「南」の話が出てくるんだそうですね。映画でも当初は「南」の部分まで撮るつもりだったそうな・・。 わたし的には、「南」を描かないことで、かえって映画の素晴らしさが増したと思う。静かな感情が持続する美しい映画。 【まいか】さん 8点(2004-03-30 03:42:50) (良:1票) |
6.寡作で知られるヴィクトル・エリセ監督の作品のなかで、もっともすきなのが本作品。記憶が熟すると人を死に至らしめる。しかしその死を安直に不幸なものと弾じることができるのか。この映画を観たのはたしか20年近く前、有楽町の映画館でしたが、この頃から記憶や郷愁の美しさと恐ろしさを考えるようになりました。そうしたきっかけを作ってくれた映画として感謝の念を覚えます。故天本君が言っていましたね。「スペインは死の国だあ!」。その通りです。 【バッテリ】さん 9点(2004-01-17 21:02:55) |
5.《ネタバレ》 親父にあんな死なれ方したらたまらん。でもラストの彼女には強さがあった。美しくて悲しい映画。 【黒猫クロマティ】さん 8点(2003-12-02 17:24:30) |
4.幼女を撮らせたらエリセの右にでる人はいないかも。 お金がなくて実際のエル・スールが撮れなかったという話ですが、ホントに残念。でも、それも逆によかったのかな、、、とも思います。それ位この映画の北の雰囲気は素敵でした。 【コーラL】さん 9点(2003-11-16 22:43:23) |
3.これは、私の理想とする映画の一本かもしれない。「いかにはげしくとも こわいほどしずかで そしてかなしい」映画。でも、観終われば、なぜだか やたらと うれしいのだ。 【なるせたろう】さん 10点(2003-11-10 13:11:18) (良:1票) |
2.タルコフスキーのノスタルジアに少し似ているだろうか?南を捨てた親父に対する娘の想いが監督独特の詩的な映像で綺麗に描かれている。昔の女を忘れられずスペイン内戦の暗い過去のなかで苦悩する親父 その親父を子供独自の視点と成長した視点から見る娘の描き方がうまい。 【たましろ】さん 8点(2003-11-07 20:00:29) |