6.《ネタバレ》 全国上映展開されたすぐ後に地元で観に行ったのですが初回は「SOLD OUT」で視聴できず、後日再チャレンジしてやっと観られた感じです。観た日もほぼ席はいっぱいで盛況でした。
情報的にはSNSで話題になって、東京1館でしか上映されてなかったのが連日満席で全国展開が決まったというのは認識しており、観たいなと思ってました。「カメラを止めるな!」と比較されてインディーズ映画でも面白げな話なのかなあと思いつつ。
率直な感想としては、メチャメチャ面白かったです!
ハラハラする超カッコいい本格的な鬼気迫る殺陣に、タイムトラベルネタ的な笑いあり(劇場中が笑いに包まれてみんなで映画観て楽しんでるなあって感じが非常に良かったです)、ホロっと泣ける話もあり、あと、個人的にはそれだけで十分インディーズ映画として元が取れて大満足だったのですが、その先にさらなる驚愕の展開があるという予想を上回る出来で、インディーズどころか全映画の中でエンターテインメントかくあるべき、時代劇エンタメ最高! と快哉を叫びたくなるような素晴らしい作品でした。
映像的には、時代劇としてあまりにもクオリティが高く「これ本当にインディーズ映画なのか!?」と疑ってしまったのですが、インタビュー記事など見ると脚本を気に入った東映が全面的にサポートしてくれたみたいで(ただ予算節約のため舞台のオフ期に撮影されたとのことです)、映像的には本格的時代劇とまったく遜色ないレベルの作品となっておりました。
特に"殺陣"の部分が、主人公が斬られ役の殺陣師に入門する設定なのもあり、どこもかしこも殺気立った緊迫感のあるカッコいいものになっていて、あの抜刀して刀を鞘に納めて"チャキン!"てやるだけで、ああたまらん! と思ってしまうのですが、これが主人公は当然として、端役の隅々まで行きわたっててみんなカッコいい。主人公の当て馬的、チャラい二枚目俳優の心配無用ノ介すらも、漫画チックなコテコテな役をしてるのに刀の扱いはクソかっこいいという、もう大満足でした。
最近は時代劇というとほぼ地上波では放映されておらず、BSで往年の名作が再放送されるか、多少新しめの新作が出てくるものもあるのですが昔ながらのチャンバラ劇のようなものはあまりやられなくて(役者が殺陣を身に付けるのが難しいというのもあり)人情ものが主流だったりして、こういうバキバキのカッチョ良いチャンバラのある作品てすごい久しぶりだなあと思って……いや、NHK大河ドラマでは考証含めてしっかりやってますか。映画も何だかんだ毎年ちょっとずつは作られてきてますね(今年は"碁盤斬り"ですか)。
あと、時代物タイムスリップネタだと定番的なお笑いのネタについてですが、ケラケラ笑って楽しく見られたのですけど、同時にこういう純粋な、単純な感動の感覚ってすっかり忘れてしまっていたなあと思い起こさせられました。新興国の新しい映画作品とか見てもしばしば認識させられるんですけど、ごく単純な、人が死んだら悲しいとか、食べ物がおいしくて平和なのはなんて素晴らしいことなんだろうとか、親子の情愛は泣けるなあとか、妙に斜に構えてしまって、そういうシンプルな原点の感動を見失ってしまっているというか、そういうのはダサいとか感動ポルノとか言って叩き回ってるのはどうなんだろう、というのをしみじみ考えさせられた感じです。
あと、インタビュー記事で監督氏がヒロイン役の人に「めがねをしたら最強だから」と言ってて、めがねをした役としてヒロインの人は出演していたのですが(当人はあまり気に入ってないようでしたが)(同時にリアルでも助監督をしていたそうです)、これについてはめがね好きとしては監督に大賛成で、とても良かったです。あからさまに度のない伊達めがねなのと、めがねに慣れてない人にありがちなしばしば微妙にめがねのかけ具合がズレてるのを直していただけたら完璧なめがね女優になっていただけるかと、今後にとても期待を持たされる出演となっていました。
いいぞ(超ウザい)。
そんな感じで、時代劇愛の感じられる実に良い作品でした。
ちょうど真田広之の「SHOGUN 将軍」が同時期にエミー賞受賞とのことで、これからこういう時代ものの波は来るのでしょうか。
そんなところです。