1.《ネタバレ》 スラムのアテナ団地で移民の少年が警察に殴殺されたことをきっかけに一部の住民が暴徒化。
被害者の兄にあたる、ギャングの長男(中立側)、機動隊の次男(体制側)、暴徒を束ねる三男(反体制側)の
すれ違いの果ての悲劇を描くネットフリックス映画。
『レ・ミゼラブル』(2019年)を手掛けたラジ・リが製作・脚本に関わったことだけあり、
そのクライマックスを一本の映画にした感じだ。
どう撮ったのかと驚嘆する警察署襲撃から団地にバリケードを構えるまでの冒頭の11分の長回しに引き込まれるが、
それ以降のドラマ自体は薄く、話が一本調子で誰にも共感できないのである。
不安と憎悪がSNSによって増幅され、客観的に物事を見れなくなって、「まあ、そりゃそうなるよね」な分かり切った展開。
扇動によって得しているのがいったい誰なのかが最後に明かされる。
これがフランスの現実だとは真に受けないが、
僅かなトラブルでも誰もが彼らのように怪物になりえる可能性があるということ。
映像表現としては一級(監督は社会派映画の巨匠コスタ=ガヴラスの息子とのこと)。
冒頭のシーンで+1点がやっとだろう。