32.《ネタバレ》 面白い!五社英雄監督作品と相性イマイチな私だけど、この作品はとても面白かった。少し前の日本社会の裏側アリ、女同士の闘いアリ、もちろん濡れ場アリと、しっかり五社五社してるんだけど、何だろうこの映画。そうだ朝ドラだ。 貧しい家庭から丁稚奉公同然に養子に出され、家業とは正反対の女学校を目指して勉強し、親に反対されつつも好きな人と暮らし…たまたま観出した朝ドラが大当りだったような、そんな面白さ?夜の朝ドラ?裏社会の朝ドラ?そんな感じ。だから朝ドラ好きな人はきっと楽しめます。 何より仲代達矢演じる鬼政のキャラクターが面白い。凄みはもちろん、人間味が溢れていて、もし目の前に居たら絶対怖いんだけど、なんか憎めない魅力がある。労働者同盟の件で須田から三行半を突きつけられた時の行動は、もう声を出して笑ってしまった。五社さんがこんな映画を撮れるなんて思わなんだ。もちろん仲代さんの持ち味が大きいんだけど、遺憾なく発揮されていた。 岩下志麻の歌も良い役だった。いつもの岩下さんのように触れちゃいけないオーラを出してるんだけど、どこか親しみやすい温かみが感じられた。松恵が初潮を迎えた時、笑若が聞こえるようにイヤミを言えるくらい、親しい存在の姐さんなんだろうなぁ。って。 圧巻は松恵役のふたり。仙道敦子はまだ13歳なのに目に力がある。お駄賃貰ってお礼言うシーンなんて、当時の子役の演技としては満点じゃないだろうか。夏目雅子の、散々抑えて抑えての演技からの「なめたらいかんぜよ!」の迫力は目がバチッと覚める格好良さ。鬼政に遺骨を握りしめて微笑むところまでがワンセットで素晴らしい。 ワンセットと言えば、歌が酔ってつるに絡む所で「なめたらいかんぜよ?あてぇは鬼政の女房やき…」を幼い松恵が隣で聞いていて、それを受けての「あてぇは…鬼政の娘じゃき…なめたらいかんぜよ!」だから映える。母と子の絆。 “鬼龍院花子の生涯”何とも不思議なタイトルだ。ちょっと頭の弱い、空気の読めない、ワガママな子。『おとうさん おねがい たすけて』はがきの裏にひらがなで、鉛筆で書かれた文字。 有名なタイトルなのに、こちらのキャスト一覧に名前も出てない女優さん。高杉かほりさんだって。wikiのページもない。 映画のオープニング、出演者紹介の、何人目に出てくるかな? 仲代達矢 夏目雅子 中村晃子+佳那晃子 夏木マリ+高杉かほり(新人)+新藤恵美 ←はいココ! 内田良平+綿引洪+小澤栄太郎 …決して当時の東映が、力を抜いていたわけじゃないみたいな、そんな印象。公開前の予告編ではオオトリに名前が出てました。 この殆どスポットの当たらない花子がタイトルなのが面白くて、色んな解説を読んでも、どうもストンと落ちません。なんかそこを含めて素晴らしい作品だと思います。 【K&K】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-11-21 20:29:25) |
31.《ネタバレ》 出ずっぱりだった仲代達矢の独壇場だったのに、ラスト付近での夏目雅子の「なめたらいかんぜよ」でインパクトの全てを持っていかれました。 それほどにインパクト絶大。 まさに日本映画史に残る名台詞、名シーン。 劇中でそれまでどちらかと言えば内気な女性を演じていた夏目雅子だったのに、ドスの効いた声で「なめたらいかんぜよ」が急にきたもんだから、とにかく腰を抜かすくらいやられました! この一作品だけでみたとしても、夏目雅子は間違いなく美しく偉大な女優だったと感じます。 【にじばぶ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-11-10 19:58:03) |
30.《ネタバレ》 ヤクザな父親も人の子。女性にだらしないのに、ハートがある。その辺を仲代達矢が鬼気迫る演技で見事に演じてる。鬼龍院松恵の生涯なのに、タイトルが花子であるのに疑問を持つのは、原作未読だからか。松恵役の夏目雅子の代表作と言われる本作だが、自分は「瀬戸内少年野球団」の素朴な先生の方が夏目らしくて好きだ。この作品の「なめたらあかんぜよ」は日本映画史上の名セリフ。いや~堪能しました(笑) 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-07-23 17:56:10) |
29.《ネタバレ》 まず大前提として、ヤクザと侠客は違います。一応、鬼政は自称侠客。でも、ちょっと単純かつ天然系で、よく言えば純粋で正義感もある。だから労働組合とも愛称がいい。そもそも侠客って本来左翼的なハズだし、だから東映任侠モノは学生運動のヒーローだったわけだし、この組み合わせは興味深く感じた。もっと2人の関係を深堀してもよかった。侠客の娘が労働運動に傾倒する男の妻になるのは、ある意味必然であり、松恵が2人を繋ぐキーパンであるべきなのだが、この辺の関係性の描き方がちょっと弱かった。原作未読だが、どうやら松恵は狂言回しで花子をとりまく人々の物語という構成のようなので、松恵の父と夫の3人が軸とならずに、結果的にこうなってしまうのは仕方のない事ではあるが、脚本はもっと改変してもよかったのではないだろうか。が、夏目効果で映画がヒットしたという事は宣伝が上手かったのだろう。 役者は皆すばらしい(子役の仙道敦子も夏目雅子に引けを取らない)のに、花子役だけは受け入れ難い。どうにかならなかったのだろうか。今となっては本来中心人物である花子が空虚な存在感のない人物になる事によって、うまい具合に「花子をとりまく人々の物語」となっているとも言えるのだが、制作当時その意図があったのだろうか。実話をベースとした話のようだが、松恵の父と夫の3者3様の正義のあり方に信念を貫き通す事による滅びの美学もあるし、3人に関係するその他の人々にも人間ドラマを感じる事はできた。 |
28.ストーリーがどうだとか関係ない程の鬼政の濃すぎるキャラに惹きつけられた。自分の感情を殺したまま死んでいった歌の存在も印象的。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-01-27 20:23:28) |
27.<原作未読>もう鬼政がめちゃくちゃで意味不明。だけど面白いな~。ヤクザではなく侠客を自負する鬼政こと鬼龍院政五郎は現代で言うところの「天然」が入ってる。だから恐いとか憎たらしいとかいう気持ちもあるにはあるが、それよりシュールさが上回って面白い。キャラクターの勝利。そんな鬼政に翻弄される二人の娘。おそらく原作ではもっと花子のことも書かれているんだろうけど、映画に限れば「鬼龍院松恵の生涯」であり、望まぬことながら、鬼政の娘として生きる運命を受け入れた女の姿を夏目雅子(と仙道敦子)が熱演。見応え十分だった。「なめたらいかんぜよ!」 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-11-11 19:31:16) |
26.仲代達矢の魅力に溢れた映画。彼の演技がこの映画の全てと言っていいくらいで、逆にそれ以外が微妙に感じられる。 【もんでんどん】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-12-18 14:31:43) |
25.仲代達也の独壇場ともいうべき映画。任侠の世界を舞台にしているとはいえ、 女たちの生き様を描いた内容だと思うのだが、仲代さん最初から最後まで出ずっぱり。 アクの強いキャラを、こめかみの血管が今にもぶち切れそうな演技で見せてくれます。 夏目雅子もその迫力に引っ張られたのか、役になりきってがんばっているんだけど、 全体的に女優陣の影は薄いかな。仲代の演技を見ているだけで、息吐く暇もない作品だった。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-08-17 06:29:47) |
24.《ネタバレ》 ヤクザ映画は嫌いだし、この映画にも結構残酷なシーンもある。それなのになぜかこの映画に惹かれる。それはヤクザの争いも出てくるが、人間ドラマの要素が強いからかもしれない。鬼龍院政五郎や松恵など人間それぞれの生き方が強く描かれている。すごく味の濃い映画だ。またそれを演じるキャストがすばらしい。仲代達矢、岩下志麻、夏目雅子らの演技がそれぞれ役に大変はまっている。そして忘れてならないのが、少女時代の松恵を演じた仙道敦子、周囲の大人に一歩も引けを取らない。 ところで気になったのがタイトルの「鬼龍院花子の生涯」、花子はほとんど活躍しないし、演じているのもこれしか出ていないというような新人女優、これはどう考えたらいいだろうか。花子はやっとできた実子ということで甘やかされて育った。頭も弱いようだ。政五郎がこの子だと目を付けて連れてきた松恵と好対照である。この好対照さを浮き彫りにして、ヤクザの行く末の哀れさを出すためか。そういえば山本圭演じる田辺恭介という存在もあったし・・・、深読みはやめよう。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-05-19 05:46:15) |
23.《ネタバレ》 夏目雅子が鬼龍院花子ではない。でも鬼政の娘じゃきー。なめたら、なめたらいかんぜよ! 個人的にはなんだか惹かれる作品。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 7点(2012-04-10 22:34:27) |
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22.筋が粗いのは気になるけども、そんなのは脇に吹っ飛ぶほど役者の厚み、熱量が半端じゃない。けれん味だくだくというか、緋色をバックに牡丹が目の裏でちかちかするような。近頃邦画ではめったに見かけない情感の分厚さ。そして夏目雅子が女優になった映画。この松恵をつかまえてグラドル出身の三蔵法師と同じ評価を下す人はいないだろう。 【tottoko】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2012-02-07 00:37:02) |
21.《ネタバレ》 鬼政演じる仲代達也のすさまじさは、 スゴい…まさに役者 今どきの俳優さんには絶対出せない(であろう)雰囲気 そして夏目雅子の美しさ 岩下志摩もすごい 土佐の言葉もこの作品の雰囲気に合っていていい この頃はこういう熱い男が生きていた時代だったのでしょう ・絵的に率直な印象 花子は正直地味 もう少し中心に絡むかと思いきや、、、あえてそう演出したのでしょうか? ※役所広司 一瞬の役で登場 ほとんど顔も写らず、鬼政に殴られて終わり 予告編にも全く登場せず まだまだ駆けだしの頃であったのでしょうネ 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-01-05 10:06:38) |
20.登場人物は皆、いかにも類型的なんですけれども、仲代演じる鬼政に至ってはもはや、「ここまで類型的なヒトが本当にいたらコワいよね」というレベルに達しており、要するに、“類型”も極めてしまえば“理不尽”となり、ある種、形而上の世界へと繋がることがよくわかります。俳優座魂をかけた仲代のトリップぶりともあいまって、強烈な存在感、いやあ、実に絵になっております。彼の血の繋がらない娘である主人公の、これまた類型的なほどのマトモさ(ここまでくるとマトモではない、という話もある)が、これはこれで、異常な環境との対比、なんでしょうけれども。やはりただの「対比」では済まない訳で。「私は血が繋がっていません」では済まない訳で。「この環境へ引き取られてきた」という運命を背負わざるを得ない訳で。だもんで、アノ有名なタンカを切るシーンとなり、我々はその光景を観てゾクリとすると共に、自分の業の深さとも向き合わざるを得ない訳で。コワい映画です。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2010-06-19 14:01:47) |
19.センターズームでバッと映し出される仲代が、ぐるぐるとうねり常に光っている。破天荒な男の人生のその側で、押さえつけられ端がひらひらと風にたなびく紙みたいな女たちの人生。そこに一輪添えられた白い花が夏目雅子といった感じだろうか。喧嘩にしろ濡れ場にしろ、炎のような迫力は最近の映画では見られない凄みがあった。音響や音楽にもうちょっと気を使って、重い画とバランスを保ってほしかった。 【のはら】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-06-19 12:45:51) |
18.《ネタバレ》 壮絶な愛を体現する男と女が描かれた映画。愛しの娘に拒絶されて(当たり前じゃ)激昂の後に悄然とする不器用すぎる男、愛する人の潔白を証明する為に指を差し出す男、死に際に愛する男を思い姿見にとりすがって化粧をする女。愛する男の遺灰を手に入れるため、単身で敵陣に乗り込んで啖呵を切る女。ごくせんの元ネタがこれだと思うと、仲間由紀恵にはもうちょっと頑張って欲しい。「鬼龍院松恵の生涯」にしなかったのはそれなりの理由があるのだろうが、それにしても花子は松恵に比べて華がなさすぎ。 【lady wolf】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-05-04 13:08:51) |
17.《ネタバレ》 観る前は、たびたびテレビ等で流れる夏目雅子の「なめたらいかんぜよっ」のイメージが強くて、ずっと彼女が花子役で男勝りの女性を演じている映画とばかり思ってましたが全然違ってました・・・・。 それにしても、仲代達也の硬軟自在の演技に最初から最後まで引き付けられましたね。目力がとにかく凄かったです。 タイトルは「鬼龍院花子の生涯」となっていますが、彼女の描写自体はそれほどありません。表情のアップさえ少なく非常に印象が薄くなっています。それにも関わらず、彼女の名前がタイトルに付けられているところに、封建的な男性社会の中で自分の力で人生を切り開くこともできずひっそりと散っていった多くの女性たちに向けた原作者の思いが込められているように感じました。 【TM】さん [地上波(邦画)] 8点(2008-12-14 17:44:56) |
16.この映画はある意味忘れられない。夏目雅子の裸が見れると聞き友人たちと見に行った。周りのおっさんたちも同じ目的だったと思う。ムンムンとした妙な熱気が立ち込める映画館で夏目雅子の着物がはだかれ、胸が見えようとしたまさにそのとき、大勢の男達の「ゴクリ」という生唾を飲み込む音が確かに聞こえた。夏目雅子の美しい身体と同じぐらい脳裏に焼きついたあの音。映画館であのような体験をしたのは後にも先にも一回だけだ。 【パオ吉】さん [映画館(邦画)] 6点(2008-12-13 00:30:44) |
15.《ネタバレ》 泥臭いはずなのに、透明感があって…。 【成田とうこ】さん [地上波(邦画)] 8点(2008-04-14 22:52:05) |
14.日本映画のパワーを感じさせてくれ、良いものを見させてもらった思いがする。仲代達矢と夏目雅子のオーラが画面にみなぎっている。仙道敦子も非常に良かった。後半の展開が破綻気味なのは少々残念。 【ジャッカルの目】さん [地上波(邦画)] 6点(2008-03-27 23:08:14) |
★13.冒頭で結末を見せておいてその後過去に遡って物語が始まる構成。一体彼らに何が起こっていくのかという興味がお話を引っ張ります。圧倒的な映像の美しさ。仲代、岩下、夏目の主役三人の映画スターらしい迫力ある役づくりと演技、子役の仙道敦子の魅力。ストーリーとしては10数年の変遷を描いているので少々まとまりにかける点もあるが、上記の絵と役者の魅力で全く飽きさせることなく映画は突き進みます。物語そのものの面白さで勝負するなら小説の方がいい。やはり絵と役者、つまりは演出=監督が映画を決めるのだなあと痛感させられる傑作です。 【Sean】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-07-30 15:31:29) |