6.《ネタバレ》 昔から気になっていたが、実際見てみると、"見た"という現実が満たされただけだった。'90年代当時の高度経済成長真っ只中のホーチミンの闇社会を描いた本作はヴェネチア映画祭で最高賞に輝いた。では、どうして評価されたか? 闇社会に片足を踏み入れた少年と、既にその世界に染まった男の対比。少年の姉の一途な想いと、売春をさせて見て見ぬふりをしていた男の対比。3人が純粋さと残酷さの狭間に葛藤する様をひたすら映し出し、何を考えているか観客で補完してください、というフランス映画らしい作りではあるが、「それで?」という感じです。ただ、ジャンルは違えど、監督の純粋さが貫かれているのは分かったし、レディオヘッド好きなのも分かった。ラストの民謡を弾く子供たちの純粋さが、これからのベトナムを作り出す希望のように思えた。 【Cinecdocke】さん [インターネット(字幕)] 4点(2018-09-13 00:13:51) |
5.最初はリンタクに靴みがきでデ・シーカの世界に近いのかと思っていたら、何かギラギラしたものが出てきて、どちらかと言うと初期の大島渚か。俯瞰。この世間を離れた裏稼業のやくざの目で、あくせく働く表の庶民を俯瞰している。近代的なビルが建ち並ぶ下を、健全なシクロ一家が抜けていくラスト。おそらくそれに嫉妬する無垢な少年時代の「詩人」が見下ろしているという感じ。構造自体はグレかけたけどグレなかったのと、グレたのを恥じつつ死んでいくのと、というオーソドックスなものだけど、その彼らのまわりで「現代」がぐんぐん広がっていく圧迫感が描かれていた。タイヤの空気入れの仕事してるじいさんのとこに、まちがって体重計が届き、ならこれで商売してみようか、なんてエピソードがいい。あと、ベトナムにだって変態はいるんだ、ってこと。ああいうのはとかく高度資本主義社会のひずみとかで片づけられるけど、人の社会があるところ変態はちゃんといるんです。女親方の顔もよかった。それと色に意味づけがあったみたいで、黄色、赤、青などが象徴的に画面を彩る。熱気がこもってて表面はひんやりしている怖さ、みたいのがある。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 6点(2009-08-01 11:57:32) |
【ホットチョコレート】さん [ビデオ(字幕)] 3点(2009-05-24 08:42:55) |
★3.トラン・アン・ユン監督の作品は、『青いパパイヤの香り』『夏至』そして本作『シクロ』と、3つとも全て観ましたが、その映像美は素晴らしいの一言です。 特にその映像の持つ独特のみずみずしさは、唯一無二のものがあります。 監督はフランス・パリ在住のベトナム人というお人ですが、フランス的なセンスとアジアの美しさとが見事に融合した高いレベルの作品を撮る監督さんです。 特に本作『シクロ』と『夏至』は素晴らしい出来ですね。 監督の奥さんが3作とも出演しているんですが、いくつになっても美しい女優さんです。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-29 01:26:17) |
2.授業で観たけど、あまり印象に残らない映画だった。ホーチミンは興味深い街ではあるんだけど。 【Michael.K】さん [ビデオ(字幕)] 3点(2007-01-19 03:31:19) |
1.何とヴェネチア映画祭の金獅子賞受賞作品(全然知らなかった…)。シクロ乗りの少年が主人公ということで、ベトナムはホーチミン市の現状を横断的に描き出す映画かと思ってたら、実はこれまた私の嫌いなヤクザ(チンピラ)映画でした。シクロ乗りの主人公が裏社会に片足を突っ込み、葛藤を経て成長していくという青春映画でもありますが、私にとっては他のトラン・アン・ユン作品同様、余り面白い映画ではありません。主要な三人の登場人物も何を考えてるのか判らず(今思えば、ほとんど台詞を喋らない本作のトニー・レオンと、ユン作品常連のベトナム美女トラン・ヌー・イェン・ケーの関係が「悪い男」っぽくもありましたが…)、他のユン作品みたいな映像美も無く、淡々とした展開がかなり退屈でした。そんな訳で、3点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-10-08 00:00:48) |