1.《ネタバレ》 「Jam Films」→「Jam Films S」→「Jam Films 2」と、このシリーズを見てきたが、共通しているのは、どの短編も高校生の自主制作映画レベルで、自己満足以上の商品的価値を持った作品がほとんど無いことだ。毎回、監督は総入れ替えされているが、若手らしいパワーや独創性に溢れる作品には一作もお目にかかっていない。こんな既存作品の廉価版みたいな映画しか作れない若手が、第一線で活躍しているというのだから呆れる。
・『机上の空論』~何故か似非日本を舞台にした恋愛のHowToビデオから始まり、後半はそれを参考にした男の恋愛話という二段構成のコメディ。結局、「現実は理屈通り行かないよ」というありきたりなオチ。レクチャービデオの「バカな事を大真面目にやる」というお笑い部分も、日本のコント番組や一昔前のギャグ漫画などでよく使われてきたもので、笑いとしてはかなり使い古されたパターン。ワイヤーアクションも中途半端すぎ。笑いにしても何にしても、やるならもっと徹底して欲しい。4点。
・『CLEAN ROOM』~無菌室に閉じこもった少女の精神的自立を描いたであろうストーリー。結局はよくある内的世界を打ち破る成長物語。ラスト付近の雰囲気やエンディングテーマはなかなか良いが、全体的にはよくある「イメージ先行型」の作品で薄っぺらい。3点。
・『HOOPS MEN SOUL』~これも、いかにも最近の若手クリエイターが撮りそうな作品。ひとつのジャンルに徹底することが出来ないのか、する気が無いのか…。真剣さの中に、おふざけの要素を露骨に取り入れることで、両方の要素を際立たせようとする、演出において一番安直なパターン。2点。
・『FASTENER』~これも真面目さとおふざけのバランスが悪い典型。何故かキスされた途端に、少年が大人になる為の現実と幻想の世界を彷徨う旅をする話。問題は、その人生の矛盾や生きる意味を問うための脳内妄想旅行(?)が、まったく面白くないこと。思わせぶりなエピソードを繋いだだけで、具体的な主張性や問題提起の無い薄っぺらなストーリー。これもイメージ先行型の作品。1点。
と言う訳で、今回も平均すると3点くらい。どの作品も中途半端で、発想や演出のすべてが、どこかで見た事のある借り物のパッチワークの域を脱していない。もう少し、荒削りでもいいから、若手らしいパワーや独創性を感じる作品が見たい。