9.《ネタバレ》 導入部分からは、企業サスペンス的なものをやりたかったのではと窺えるが(原作も黒岩重吾だし)、その観点からは、ありがちなシーンと説明台詞ばかりで、それほど面白くない。一方、人間関係のドロドロというか怨念や情念の描写は完成されているのですが、この両者が融合せずに、むしろ喧嘩しているのです。あと、まとめ方も何かありがちメロドラマ風であり、私は、いいように使われているアヤちゃんが、最後は夫と愛人を向こうに回して一人で丸得した、みたいな展開を期待してたんですけどね。 【Olias】さん [DVD(邦画)] 5点(2024-11-11 00:32:03) |
8.《ネタバレ》 私が今まで観た若尾文子主演の映画で、もっとも彼女がエロかったのが本作です、いや若尾文子フィルモグラフィ中でもオール・タイム・ベストかもしれません。なにしろタイトル・バックが若尾様の入浴シーンで、微妙なところはボディダブルであるのは判ってますけど、すりガラス越しにほとんど見えてると言っても良い裸体には製作時代を考えると驚くほど大胆です。もう全編にわたって人妻フェロモンを出しまくり、田宮二郎と初めてベッドを共にした後の彼女のセリフにはもう頭がクラクラしました。その若尾様に負けず劣らずなのが岸田今日子でして、上手い女優さんだとは認識しておりましたがここまで色っぽかったとは自分の不明を恥じるばかりです。 田宮二郎の演じるキャラは明らかにあの横井英樹がモデルなのは明白ですが、実物と違って実に魅力的なキャラになっています。“目的のためなら手段を選ばず”という男なのに、あまりにキザなので凄みが薄れてしまった感じもありましたが、まるで初心な少年みたいに若尾様にのめりこんでゆく心情にはマッチしていたと思います。お話し自体はけっこうご都合主義が濃厚な感じで「世間はそんなに狭いんかよ!」と甘く突っ込みを入れておきますが、夫の川崎敬三や若尾様の兄役などが開陳する価値観があまりに古くて嫌悪すら催すところがやはり時代を感じてしまいます。まあ昭和30年代の日本人のレベルなんてこの程度だったというのが現実なんでしょうけど、増村保造はそれを決して肯定せずに新しい時代の男女スタイルを若尾・田宮の両者に投影しているのかもしれません。 血まみれで死にゆく田宮二郎に口づけをする若尾文子、凄みがあるラスト・カットでした。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-30 23:43:44) |
7.《ネタバレ》 見終わって、凄いと思えたモダンホラー。早すぎた佳作。最初は、田宮のスタイリッシュな悪さに引き込まれたが、後半、岸田・若尾の魅力に参った。若尾の途中から、だんだんと豹変する怖さ。そして、ラストの岸田のスプラッター演技。凄い。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 9点(2019-02-01 15:46:10) |
6.《ネタバレ》 今から50年以上前の作品だけど面白いねー。当時の日本の状況もいろいろと伺えるし、興味深いところがいっぱい。高度成長期?のギラギラした雰囲気が出演者の皆さま(みんな若い!)にあっていて見応えありました。なかなかでゴザイマシタ 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-04-18 05:44:46) |
【ケンジ】さん [DVD(邦画)] 6点(2015-08-25 13:59:06) |
4.ストーリーそのものよりも、出演している役者の個性に脱帽といった感じです。若尾文子のきれいさ、ハンパないですね!ただ美しいだけでなく、まるでフェロモンの塊のようです。あの時代に、こんなエロい人がいたなんて、昔の人がうらやましいです(笑)。でも役者としてすごいと思ったのは、やはり岸田今日子でした。特にラストの狂気はこの人にしかできないっていう怪演!それにしても、川崎圭三演じる夫のアホさ加減や、兄さんの間抜けな価値観は、今の時代だと袋叩きですね(笑)。 【ramo】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-10-01 19:59:10) |
3.《ネタバレ》 映画やドラマでよく聞くセリフ「私と仕事、どっちが大事なの?」を究極の形にして夫に突きつけた。みたいな…。よく考えればやり手の実業家と平凡なサラリーマンを同じ土俵で戦わせるのは酷ではあるが、那美子はそれほど強く愛を求めていた。エミ殺しの犯人が明らかになった後の夫婦の会話「私があなたを捨てたら?」「殺すもんか、愛してるからな」「愛していないからよ」これがどういうものか見せてくれた洋子の執念が恐ろしい。岸田今日子はハマるね~。ギラギラした田宮二郎のかっこよさに魅入っていたつもりが、終わってみれば二人の女の壮絶な愛に咽せ返る思いがした。制作から半世紀も経っているが、今見てもスタイリッシュ。スタイリッシュにドロドロさせているという…。本当に面白い映画だった。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2012-07-10 18:04:01) |
★2.《ネタバレ》 田宮二郎はやっぱり怖い。 あのコワモテに、あの人を寄せ付けない雰囲気、そしてあの体格。 全てが怖い。 そのキャラクターが見事に本作のキャラクターとマッチしている。 まさにハマリ役。
田宮二郎演ずる男は、金のためなら何でもしてきた男。 まさに出世欲と金欲のかたまりの様な男だ。 ある日、その男は大会社をのっとるために、若尾文子演ずる女に計算づくで近づいていく。 最初は若尾文子を騙すために近づいたのだが、すぐにその魔性の女の虜になってしまう。 「大会社をのっとる」という本来の目的は達成したものの、若尾文子に「だんなと別れて俺と結婚してくれ」と迫る田宮二郎。 それに対する若尾文子の切り返しが凄い! 「私と結婚したいなら、大会社をのっとるあなたの夢を捨てて。私をとるの?それとも会社をとるの?二つに一つ。どっちをとるの?さぁ、どっちをとるの?私?それとも会社??」 これだ。 この迫力。 まさに“にじりよる”若尾文子の魔性の女の迫力炸裂!
男にはメッポウ強く、押しの強さもハンパじゃないコワモテ田宮二郎も、これには完敗。 最初は多少反抗してみたものの、「わかりました。あなたをとります。会社をのっとる夢は捨てましょう。」とアッサリ男の夢を捨ててしまった。
どんな怖い男より、魔性の女の方が怖いし、力も強い。 あの田宮二郎の筋肉質な体も、女の柔肌の前には力のない物体と化してしまうのだ。
あぁ、何たる女の怖さよ。 そして、純情な愛の強さよ。 田宮二郎が男の夢を捨てたワケは、若尾文子の性的な魅力によるところはもちろんだが、田宮二郎が若尾文子に対して持ってしまった「純粋な愛」もその一因だ。
「愛した女の為なら何でもできる」 この、愛の力の凄さが、見事に表現された作品だ。
秀作揃いの増村保造作品の中でも、本作は上位にくる傑作であろう。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2008-07-11 02:20:08) |
1.《ネタバレ》 これはまた何という欲の固まり、欲に埋もれた人達のドロドロしたサスペンスものであり、これまた恋愛劇、それも純愛といっても良いような男と女のメロドラマ!出世の為なら何でもする。仕事として女を抱くという田宮二郎のあの男の凄まじさ、平然とした態度、それ以上に若尾文子、若尾文子、若尾文子はここでも凄い。オープニングから女の色気、ムンムン、フェロモン全開、風呂場での田宮二郎とのやりとりの凄さ、田宮二郎に猛烈に口説かれても全く動じない。表情をまるで変えず平然としている若尾文子、この場面を見たら間違いなく男はノックアウトするでしょう!私はもう、最初の若尾文子登場のこの場面から完全にノックアウトされました。そんな若尾文子と並んで凄いのが岸田今日子、怖い。本当に怖いです。増村保造監督は何を見たいか?男が期待している女の凄さと恐ろしさを徹底して見せてくれる。この監督、やはりただ者ではない。人間の持っている出世したいという欲、更には金に対する執着心、金欲、そして、人間なら男も女も同じように持っているはずの色の欲、つまりは性欲、欲の全てをここまでして描くとは恐ろしい。作品の好みで言うと「妻は告白する」の方が上だけど、これもまた単なるサスペンス映画ではない恋愛映画として素晴らしい傑作! 【青観】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-06-30 21:50:17) |