1.豪華な大作やミュージカルが多い印象のMGM社製作の映画としてはおそらく異例とも思える、非常に地味なサスペンス映画の秀作。モノクロ画面の効果もあって地味だけど、切っ先鋭いナイフのような印象の作品。LA郊外の夜の街ロケーション風景も、光の影の絶妙なカメラワークが効果を上げていると思います。クライマックスの駅での演出に、後々のこの監督の「真昼の決闘」を想起させられる箇所もあって、面白かったです。主役三人は揃って好演。ジャネット・リーは「黒い罠」や「サイコ」もそうだけれど、悪人に脅かされる役を演じると何故か魅力を発揮する面白い女優さんだったんだなあと。大好きなフレッド・ジンネマン監督、処女作から後年の才気を感じさせる作品を作っていたんですね。こんな地味な作品をDVD化してくれたジュネス企画さんに感謝!