1.《ネタバレ》 芸能プロダクション「テロワール」が主催する「短編映画ワークショップ」で制作された映画である。これは「初心者から演技経験を重ねたい俳優まで」幅広く参加を募り、若手監督を講師に迎えて全員出演の短編映画を3カ月で製作するもので、完成品はYouTubeやAmazonプライムビデオなどで公開し、ものによっては映画祭への出品も行っている。公式サイトで数えた限り、2016年の開始からこれまでに27本くらい完成しているようだった。
この映画は「ネズラ1964」などで知られた監督により、ワークショップ初の特撮映画として2021/8/5に完成が発表され、現在はYouTubeとアマプラで公開されている。なお必ずしも出演者全員が一般参加ということではないらしく、主人公役を含む3人がプロダクションの所属俳優とのことで、また監督の映画に常連で出る役者も入っている。
内容に関して、ストーリーとしては極めてストレートに展開し、何の捻りもなく簡単に終わる。頻繁にテロップを入れて事情を説明するので話が早い。ちなみに特別出演の古谷敏氏は内閣総理大臣役で出演されている。
物語がどうとかいうより特撮が売りなのかも知れないが、特撮といっても「ネズラ1964」で使ったミニチュアセットに生のタコを這わせるのが基本で、昭和特撮へのオマージュとはいえるがただのタコである。映像で少し目についたのはガラス戸に吸盤が張りついた場面と、人間の裸体にタコをからみつかせる趣向くらいだった。
演技者育成という目的には貢献したのかも知れないが、見る側からすればやっつけ仕事のようで泣きも笑いもしなかった。もう少し笑えるかと思ったが。
その他どうでもいいことだが、冒頭説明でのクラーケンはいいとして次のCetusはギリシア語でなくラテン語であり(天文用語では「くじら座」)、その正体がタコとは思われていない。日本神話の八足というのは意味不明である。
またTVニュースでタコが「豊洲に甚大な被害をもたらし、現在、東京都江東区に進行」と言っていたが(豊洲も東京都江東区だろうが)、豊洲では不動産業界への八つ当たりという形にして、タワーマンションに登るとか倒すとかいう場面を入れれば見せ場になったはずだ。そこまで手間と金をかけるものでもなかろうとは思うが。