32.《ネタバレ》 本作の面白いのは、彼女たち4人の「部屋」にスポットを当てているところ。その「部屋」を通して、彼女たちという人物を説明しているように思う。実際、部屋というのはその人となりがよく表れるもの。里子は想像した通りの可愛らしい部屋だし、秋代はエキセントリックに棺桶だったり、塔子は部屋一面の「絵」だったり、どんな女性が住んでいるのか、色々と想像に難くありません。対象的に、趣味や生き方にこだわりを持たないちひろは自分の部屋すらまともに描かれない。どうやら表向きは塔子と同居のようだが、部屋を見るかぎりではちひろの自己主張は希薄であり、完全に塔子の住まいにパラサイトしているような感じ。 でも、一つだけ不思議な感覚があった。里子、秋代、塔子の我が道を往く生き方を眺めているうちに、段々と無個性なちひろが三人に負けじと輝きを放ってきた。個性のないこと、実はそれも強烈な個性なのかもしれない。 ありがちな雰囲気映画ではなくて、彼女たちの心境とその変化をしっかりと伝えていると思うし、間違いではない裸も含めて、とても生々しくもありよくできたリアルな恋愛群像劇と思う。そして、みんな恋に人生に不器用だが、本作ではキラキラと輝いていて、この映画はそんな彼女たち (の全て) をやさしく肯定しているようだ。 個人的には、今泉監督 (mellowのラーメン屋笑) や岩井俊二監督の「リップヴァンウィンクル」に少なからず影響を与えているように感じた。 【タケノコ】さん [DVD(邦画)] 7点(2020-10-27 17:54:12) (良:1票) |
31.《ネタバレ》 登場する4人の女性は、人生それなりに酸いも甘いも噛み分けて、社会にとりあえずの居場所を築くことにも一応は成功している人生の中級者。そして、気に入らない出来事が身に降りかかってきたりしつつも、日々をごく淡々と過ぎ越してゆくことが出来ている。 しかし、何かが足りないその心の隙間は徐々に着実に広がってゆき、いつしか限界を迎えてゆく。結局のトコロ、足りないそれは「愛」であり、もっと有り体に言えばオトコだ、と言ってる様にも感じられる。女の映画だから当たり前なのかも知れないが、何とも「女々しい」話だとも思うのですよね(ちょっとキツイ言い方かも知れないが)。 『三月のライオン』でも思ったが、無機質な都会の情景から詩情的な雰囲気を引き出す部分には監督の優れた手腕をまま感じ取れる。その雰囲気、あるいはまた随所に見られる一種の画的な美しさ、などというものも率直にわりかし心地良いとも思ったが、話の内容はやはりかなり「繊細」で、個人的にはあまり共感も出来なかった。もう一押し、ちとパンチの効いた何やらかが欲しい…という感じかも。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 6点(2020-09-23 00:10:29) |
30.《ネタバレ》 好きな映画。●「原作は小説?」と、観始めた。塔子を見て「魚喃?」と思った(1999年発行の、別冊宝島438に3枚も写真が載ってる)。●里子はデリヘル屋の電話番。演じた池脇は、テレビと映画で主演が多い女優さん(10作品以上)。つまり、イケてない女と百万光年離れてる。●秋代は一人が似合う美女。建築系の学歴で、なぜかデリヘル嬢。ダメ男の菊地が大好きで片思い。死の願望がとても強い。●ちひろはOL。好きなタイプ(イケメン)なら誰にでも股を開く。複数のセフレがいて、料理をしたがる。主婦になり子供ができても、たぶん浮気するタイプ。●塔子は(アート系の)孤独で無口なイラストレーター。新人扱いで、編集者に強く言えない。いっぱい食べていっぱい吐くのが日常で、便器が友達。演じたのは原作者。■さて映画前半、一人暮らしの里子が、自宅のトイレでドア開け放尿。でも音がない。つまりこの映画のリアルは、そのレベル。4人の女性が出るが「美女」が前提。リアルじゃないし、ニオイがない。音が小さい箇所が多く、そこはリアルだった。■余談だが、ケーキには女性器の意味がある(スラング)。●予想してたが、ラストで2組が接近。でも、いらない。都会で一瞬すれ違う程度が良かったな。●少女漫画が原作のキレイな映画で、好きな映画。★8点 【激辛カレーライス】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-09-23 14:52:46) |
29.里子はデリヘルの電話番で秋代はデリヘル嬢。ちひろはOLで塔子はイラストレーター。この2組の女性の群像劇。原作は魚喃キリコという漫画家で本人も塔子役で出演している。彼女のマンガは前から読んでみたかったので、偶然この映画に出会ってちょっと得した気分になった。映画としては、脚本も演技も共に自然で全く違和感は感じなかったし、飽きずに最後まで観られた。ただし、異様に登場人物の声が小さく録音されているのがストレスフル。終始イヤホンをつけて鑑賞せざるをえなかった。 男性が観れば、「女って怖い」という感想が自然と出てきそうな映画だ。「女ってこんなこと考えてんだ」とか「女性に比べて男は子供だ」とか。女特有のねっとりとしたというか隠微に淫靡な雰囲気が濃厚に感じられる。それはそれで面白かった。でも、ちょっとこれはやりすぎと言うか何と言うか、「男には分からない女」を描くことに固執しすぎたがゆえに、嘘っぽく見えてしまうところもある。 世の中は、女性が男性を打ち負かすことを良しとする戦闘的なフェミニズムの時代から、女性が「ありのままに」「自分らしく」生きていくことを是とする時代になった。この映画は完全に後者の視点で作られており、それが少し俗っぽく感じられた。例えば、この映画にはデリヘル嬢が出てくるんだけれども、一抹の寂しさはあれど、彼女の生きかたはまったく否定されていない。それどころか、この映画を観た女性のレビューは概ねこの4人の生きかたを支持しているものが多い。彼女たちの色んな意味での奔放さは「何かかっこいい」のである。 となると、この映画はリアルではないのではないか?という疑惑が生まれてくる。人間は、普通自分にないものを持っている者をかっこいいと感じるからだ。男性に隠されている女性のリアルな部分が濃縮された結果、この映画はリアルではなくなったのではないか。この映画のもつ不自然な「女臭さ」(「男臭さ」と対比して)が同性の支持者たちの憧れの対象なのではないか。ということで、結論は以下のとおり。 結論:この映画はリアルではなく、「女臭い」映画である。したがって、女はそんなに怖くない。 でも、僕は所詮男だから「いや、本当に女はあんなふうに考えていつも行動してるんだよ。」と女友達に言われたら、信じるしかなくてちょっと怖くなる。「女なんて怖くないさ!」と嘯く僕はまだ子供なのかもしれない。 【枕流】さん [DVD(邦画)] 7点(2009-11-19 23:09:32) (良:1票) |
28.《ネタバレ》 子供には無理だけれど、そうでなければ他の人にも薦められるかもしれない。ちょっと最後のシーンは無理があるかな。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-03-10 20:11:05) |
27.この映画は現代に生きる女性のリアリティーがつまっています。この4人の女性、それぞれが少しバランスを崩している。でもみんなそれぞれに魅力的。彼女たちは時に弱く、ずるく、かっこ悪い。そしてさみしい。そういう人間としてマイナス要因であるものでも、人間としての魅力だったりするんです。それは彼女たちが、それでも自分に素直に生きていくことを守っているから。自分の大切にしているものをきちんと見失っていないから。世の女性、みんな少なからず、この4人のような感情は経験があるはず。この映画を見て、共感できる女性は少なくないと思います。現代をしたたかに生きる女性に贈る、応援歌のような映画だと思いました。 【ぷりんちょう】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-12-08 21:26:01) |
【フッと猿死体】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-06-01 07:28:01) |
25.なんというか、女性的な「SEXと人生」的な物語。物語と言ってもストーリーらしいストーリーはないし、僕には何も伝わりませんでした。 【すべから】さん [DVD(邦画)] 5点(2008-05-23 18:31:43) |
24.音楽がほとんどありません。だから余計に台詞と演技で勝負してる映画だと思いました。現代の女の子の生々しい姿が見れます。でもここまで個性的な4人が揃うと強烈。みんな不器用に生きてますね。この救い用のない不器用さがやけにリアルで結構好きだったりします。この映画の中の加瀬亮は本当にダメ男でした。ダメダメな役も似合います。 【未歩】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-05-11 16:27:32) |
23.池脇千鶴の素なキャラクターに笑った。 そこら辺にいそうな、フツーな女の子をリアルに演じてます。 外の3人もなかなか。ミョーに脱ぎが多かったな…ま、無駄ではないけどさ。 ちょいと尺が長いように感じました。 【ふくちゃん】さん [DVD(字幕)] 6点(2008-03-24 20:36:43) |
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22.《ネタバレ》 包み隠さず女子をリアルに描いてあるね。女の私ですらコワかった場面がいくつかあるので、男性にはスリルいっぱいの映画かもしれません。ちひろは存在自体がウザいけど、特にコワいのは、彼にフラれた時にうかべる薄笑い。塔子が、食べ物と一緒に腹の底から吐き出す低い声も迫力ありまくり。このコワさのまま、秋代が、客の子を妊娠したのに菊池の子と偽って菊池に結婚を迫るって手もあったかも?!・・・と茶化しつつ、私も頑張ろうという気になってしまうから不思議。里子は最終的に職がなくなり神様も捨てられて不幸かもしれないが、そのキャラクター、いちばん羨ましい。あと、塔子が海岸で絵をみつけるところは、個人的にはなくても十分だったと思う。 【●えすかるご●】さん [DVD(邦画)] 8点(2008-03-15 20:07:19) |
21.最初の里子がずるずる引きずられているところは良かったけど、それ以降の99%はつまらなかった。 映画の中心となるストーリーがなければ、盛り上がりもありません。パッケージ見て躊躇したんだけど.......やっぱり借りなきゃよかった。 【紫電】さん [DVD(邦画)] 0点(2008-02-11 21:20:06) |
20.《ネタバレ》 3分の2ぐらい過ぎるまで説明的内容が続くだけなので、このままある人の日常を追っただけの群像で終わるのかと閉口していましたが、ちゃんと少女漫画で終わられてくれて満足。 最後まで池脇千鶴の内容がないと思っていると「なるほど」な処理で締めてくれて爽快でした。 ただ、やっぱり少女漫画のオムニバスをこういった構成でみせるのではどうしても退屈な時間が出来てしまうので、もっと工夫が必要ではないでしょうか。 【カラバ侯爵】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-12-23 16:56:37) |
19.《ネタバレ》 詳細なキャラクター設定と的確な描写に唸りました。ここまできめ細かに人を描けている作品は、そうそう無いと思います。彼女たちの心の内、考え方がよく理解できました。リアリティを欠いていたら、こうは行かない。もっとも、リアルではあるけれどツマラナイ作品も多い。そんな中、魅せる要素を忘れていないのも素晴らしかった。棺桶ベッドなんかがその例。リアルでなくても彼女の人物像を伝えることに役立っています。とかく男性諸氏へのサービスになりがちなヌードやエロ。本作では盛りだくさんです。でも全て必要だと感じました。無駄な裸はひとつも無かった。こういう作品で脱ぐ女優さんは幸せだと思います。彼女ら4人は、みな心に隙間を抱えている。満たされる幸せを願っています。2組のペア。望むものを相手が持っているという図式です。池脇が願う恋にホテトル嬢は身を焦がし、遣り甲斐ある仕事に憧れる中越にとって、ルームメイトは羨む存在。でもホテトル嬢やイラストレーターが幸せかというと、そうではない。それぞれの神様が異なるように、幸せの捉え方は違う。同じなのは、みんな寂しいということ。エンディング、そんな4人がある浜辺に集います。波は荒く、空は淀んでいる。彼女らを取り巻く環境は相変わらず厳しい。でも彼女たちは諦めていない。人生を投げていません。泣いたり笑ったり落ち込んだり縋ったりセックスしたりショートケーキを頬張ったりしながら、強かに生きていく。神様を介して4人の人生が交差する刹那、池脇の「恋でもしたいっすねぇ」がラストカット。この切り方にやられました。想像が頭の中を駆け巡り、気持ちが昂りました。情感溢れる優しい余韻でした。何もかもが上手い。絶賛させてください。ただ、ご指摘の方も多いように、声が小さ過ぎるのが難点。劇場だと違うのかもしれませんが、自宅鑑賞ではストレスになりました。伝えるセンスに長けている監督なのに、観客へ声を届けることに無頓着なのは解せません。それでも賞賛したい気持ちが勝るのだから、自分と相性がいい作品なのでしょう。本作については、ぜひ女性レビュワー様の感想を聞かせて欲しいと思いました。 【目隠シスト】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2007-11-15 18:15:28) (良:2票) |
18.リアルすぎて気持ちが悪かった。 もうちょっと精神的に成長してから観賞したなら違った見方が出来るのかもしれないが。 【おっちょ】さん [DVD(邦画)] 3点(2007-11-13 22:59:47) |
17.《ネタバレ》 20代の女性達の日常を追いかけてるだけで、そこにドラマ性はありません。同世代の女性には共感する部分があったりして支持される作品なのかもしれませんが、私のような年喰ったおやじには受け付けられない、というか面白くはないと思います。最初から最後まで重い雰囲気が漂い、必要のないくどい性描写もあって、鑑賞後の爽快感は皆無でした。それから他の方もおっしゃっていますが、本当に声が小さくてイライラしました。 【たこすけ】さん [DVD(邦画)] 4点(2007-10-14 09:40:19) |
16.妙に生々しい描写というか、今を生きる女の実態を淡々と描いている。 と同時に同じときを生きる男どもの実態も暴いている。 かなり痛々しい気分にもなるけど、でもこれが現実なんだろうな。 夢物語を語る映画も良いけど、こういうのも存在感があっていい。 淡々とと書いたが話の進行がとにかくゆったりしている、でもこれも現実に合っているか。 出演者がみんな良かった。 それぞれの役を良く表現していた。 特に池脇千鶴、実にうまい。 【称えよ鉄兜】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-09-16 14:39:42) |
15.久しぶりに素晴らしい邦画を観た。 4人の女性の描かれ方がとても丁寧でいてリアル。 素晴らしい。 それにあらゆるシーンで小技が効いている。 とても丁寧に作られた作品という印象。 「やっつけ的にいかにもサクっと撮りました」的な邦画が多い昨今、これはとても貴重である。 矢崎監督の力量とセンスに脱帽だ。 中越典子が微妙なウザキャラを演じている辺りもハマり役。 そして池脇千鶴のおとぼけキャラも自然。 “棺おけベッド”がリアリティを欠いているとか、音声が小さすぎてセリフを聞き取りにくいとか、細かい欠点はあったが、そんな部分を帳消しにしてしまう程の傑作であった。 ちなみに性的描写が満載で、そういう意味でものめりこめる本作。 女性のリアルな日常、リアルな性描写、うそ臭くない演出が素晴らしい。 終り方も秀逸。 音楽もいいし、映像センスも良し。 ここ最近の邦画の中では傑出した作品である。 あ、池脇千鶴ファンの方と中越典子ファンの方は要注意! 彼女たちの女優イメージにしては、かなり過激なシーンがありますょ。 放尿シーンや顔○シーンなど、際どいシーンが盛りだくさんなのであります。 彼女たちに演じさせるにはどうかな、という感じです。 つまり、まだ深い関係にはないカップルが観るには適さない作品なのです。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 8点(2007-09-05 22:29:24) |
★14.《ネタバレ》 知られざる女性の世界をかいま見てしまっているようでなんとなく 居心地が悪いというか、見てはいけない裏側を見てしまったという か。映画自体は登場人物のすべてが活かされていてよかった。 しかしスーツケースに無造作になげこまれた万札あれで軽く千万 ぐらいあるような...。 【K2N2M2】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-09-02 11:37:40) (良:1票) |
13.《ネタバレ》 役者さんたちの演技が実に淡々としていて、すごくよかった。同じ街の下に住む四人の女性。皆、それぞれ別の悩みを抱えて生きているが、全て共感のできる心情ですごく胸に響いた。大好きな人に振り向いて欲しい女性、自分の絵を我が子のように愛している女性、人間関係にひたすら悩んでいる女性、そして何もないことに不安を抱えている女性。みな、どこにでもいそうな不安や悩みを抱えていて、すごく不器用で生々しく生きている。台詞が小さくて確かに聞き取りにくかったけど、この物語事態が台詞以外の演出で強く描かれているため、さほどぼくは気にもせずに観る事ができた。どこにでもいそうな女性たち四人はみな、知らず知らずに繋がっている。極端な捉え方なのかもしれないが、みんな一人じゃないと感じることができた。この作品はとても暖かく優しい映画だと感じた。 【ボビー】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-08-17 03:06:13) |