★71.《ネタバレ》 してもいない約束を守ることを強制されたり、常軌を逸したスピードで回るメリーゴーランド、有名なテニス観戦のシーンなど悪夢的だったと思います。あるいは、なぜ赤の他人に自分のことを軽々にペラペラしゃべっちゃうのか、なんでこんな危ないところで発砲するのか、というはてな?のパートは変な夢を見ているようでした。全体的にふわふわした、落ちつかない展開の物語なのですが、ラストシーン。今際の際まで悪党だったブルーノが力尽きた瞬間だけが物語が我に返ったみたいでしたね。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 7点(2024-12-25 21:37:22) 《新規》 |
70.《ネタバレ》 原作P・ハイスミス、脚本R・チャンドラー、そして監督はA・ヒッチコック。豪華な顔ぶれというより、面子が濃すぎて空中崩壊しそうですが、実際、チャンドラーとヒッチコックはかなり折り合いが悪かったそうな。原作がどのように脚本化され、脚本がどのように最終的な作品に採用されたか、すみません全然把握してないんですけれども、この作品でも随所で見られる、いかにも「ヒッチコックあるある」なデフォルメされた演出シーン(「やり過ぎ」とも言う)が、何だかチャンドラーへの当てつけみたいに思えてきて。もちろんそんな訳無いのだけど、でも何だか嬉しくなってくるではないですか。そんな妄想を抱かせるのがまた、ヒッチコック映画のポテンシャルの一つなのではないかと。 冒頭、白い靴の男と黒い靴の男がそれぞれ車から降りて、駅に向かう。で、たまたま同じ列車に乗り合わせ、たまたま向かいの席に座り、一方の男がもう一方に馴れ馴れしく話しかけてくる。やがて男の話は恐るべき交換殺人の提案となり、当然のごとく断るものの、提案した男は勝手にそれを実行してしまう。提案された男にはアリバイが無く、追い詰められていき・・・というコワイ話。 二人の出会いは偶然でしかあり得ないはずなのに(まさにタイトル通り)、相手はなぜか自分のことを異常なほど知っており、自分を追い詰めていく、というのは、ちょっとドッペルゲンガーネタの変形のようにも思えてきます。実際、二人の男は、顔立ちは明らかに異なっているのだけど、背格好は何だかよく似ております。これで顔まで似てたら映画を見る側が混乱しかねないので、そういったことすべてを考慮したキャスティングなのかも知れません。いずれにしても、近くからあるいは遠くから、影のようにつきまとう男。テニスプレイヤーである主人公の試合で、観客たちがボールを追って顔を左右に動かす中、男だけがじっとこちらを見ている。だからそういうのが「やり過ぎ」演出だっての。面白いからいいけど。 男が主人公の妻を殺害する場面、地面に落ちた彼女のメガネに、歪んだ男の姿が映る。主の無いメガネだけがそれを目撃し、そのメガネを通じて我々がそれを目撃する。こういう演出の発想自体、歪んでますよね~。 夜、主人公と男が門扉を挟んで対峙するシーンがありますが、そこにパトカーが到着すると、主人公はつい、そこから隠れるように男のいる側へと回ってしまう。なぜ主人公が警察にすべてをぶちまけないのか、男のペースに巻き込まれるかというと、このシーンがあるから。男の側に立った、男の共犯者となったことを象徴するシーンだから。もう、逃げられない。 犯人は必ず犯行現場に戻る、という格言の通り(ほんまかいな)、クライマックスの舞台は、妻の殺害された遊園地へ。同じ舞台、同じシチュエーションが、作中で二度登場する。一種の変奏曲。今回は一体、何が起こるのか。 ここで、とってつけたように、大暴走するメリーゴーランド。はい、また「やり過ぎ」一丁いただきました。もう、絶対あり得ない状況の上、暴走メリーゴーランド上の格闘シーンが、やたら長くって、これ、このシーンにずーっと劇伴音楽つけろって、言われても、さすがに音楽が持たないでしょ、作曲家が困るのでは、と思っちゃうのですが、、、ちゃんとテンションが途切れない音楽がこの長いシーンに被せられています。ティオムキン自身が頑張ったのかアシスタントが頑張ったのか知りませんけど、いやほんと、作曲家って、エラいですね。 それにしてもこの暴走シーン、もはやメチャクチャなんですけれど、いやそれだけに、そのもたらす興奮たるや、無類のものがあります。まさに怪作にして快作。「やり過ぎ」大歓迎です。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 10点(2024-11-02 07:18:40) |
69.《ネタバレ》 その場しのぎの嘘を真に受けるヤベー奴もいる。 そんな簡単に一線を越えるヤバいやつに目をつけられたら、もう普通の生活はできない。 どこまでも主人公を追うブルーノがとにかく恐ろしい。遠くで見ているブルーノ。テニスの観客席で一人ヘインズを見るブルーノ。相手のプライベートに潜り込むブルーノ。それが全て恐ろしい。 特にメリーゴーランドが破壊されるシーンはかなりの迫力。オチもうまいことまとまっていました。 しかし万事解決とはいえ、ヘインズは決して良いやつでもないし、今の幸せはブルーノがくれたものなんだよなと思うと、その後の幸せそうな彼の面の皮の厚さとモヤモヤが残るのもまた味わい深いです。 古い映画ながら最後まで目が離せない極上のサスペンスでした。 【えすえふ】さん [インターネット(吹替)] 7点(2024-01-21 20:34:27) |
68.名作を知らずに死ぬのは勿体無いということで、ヒッチコックを見ることにしました。手始めに有名だけど見ていなかった作品から始めます。 「見知らぬ乗客」私にとってはもう満点以外の点数がありませんでした。私の中ではヒッチ映画の代名詞的な作品になってしまったと思います。極めてシンプルな構図ながらその仕掛けは非常に巧妙で、現代でも十分に通用する映画だと思われます。 誰しも旅の途中で知らない人に話しかけられた経験があるはず。たまたま仲良くなった相手から交換殺人を持ちかけられ、冗談だと思っていたら相手は犯行を実行してしまうというとても恐ろしい映画です。「さあ、次は君の番だよ!恩恵を受けたんだからきちんと返せよ」と殺人を迫られる恐怖はすさまじいもので、脅しの理由付けも”共犯関係””動機””嘘の自供”と、無理がありません。 本作でもヒッチコック・タッチが存分に発揮されていて、メガネに犯行が映っていたり、階段の上にたたずむ男だったり、テニスの観客で一人だけ首が動かない、テニスの試合とライターを拾う流れをシンクロさせたりと、ハラハラドキドキの連続です。ラストに賛否があるようですが、これでいいと思います。いや、これじゃないといけないと思います。 本作のカメオ出演も比較的優しくて誰でもすぐに見つかると思います。文句なし10点作品! 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 10点(2023-10-03 12:38:13) |
67.《ネタバレ》 うわー怖い。怖いし、嫌だなあという思いで鑑賞中は眉間にしわが寄りっぱなしでした。初対面からぐいぐい来る人(苦手)っていますね。ブルーノ・アントニーがまさにそういうタイプをどんぴしゃに演じていて、もう冒頭から「ああ早くこいつから離れたい」という思いでいっぱいになりました。 恐るべきしつこさで主人公にまとわりつくブルーノ。しかも人殺しをためらわないサイコパスときてますから、ロバート・ウォーカーのニヤニヤ顔が底知れぬ怖さを秘めます。テッド・バンディみたい。 ヒッチコック特有のカメラショットも随所に見られて、ヒリヒリと怖気が迫るようなサスペンス映画ですね。脚本の粗はちょっとばかり感じますけど。 やや一本調子な演技のファーリー・グレンジャーに比べて、ずっと際立っている殺人犯役のロバート・ウォーカー、早逝していたとは。実に惜しい。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-08-23 19:18:29) |
66.《ネタバレ》 これはサスペンス映画として、とにかくジリジリ怖い作品ですね。 随所に仕掛けをしておいて、心理的に怖さを感じさせるところがすごいです。 楽しいはず(と信じている)遊園地のメリーゴーランドでパニックになるシーンなど、巧みな脚本と演出に一気に引き込まれました。 高度に知的なストーカー役だった俳優は、さぞかし役作りが大変だったでしょうね。 ただまあ白黒で昔の映画なので、評価はこんなもんかと。 ちなみに「死ぬまでに観たい映画1001本」に収録されています。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-07-16 18:07:15) (良:1票) |
65.仕掛けに凝っているところは分からないでもない、終盤のシーンも。でも何だろう、この現実感の無さは。 まどろっこしい感じが拭えないのは惜しい。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-11-23 20:11:16) (良:1票) |
64.《ネタバレ》 アルフレッド・ヒッチコック監督による殺人サスペンス。列車内で見ず知らずの男に持ちかけられた交換殺人。承諾していないのに勝手にコトを進められちまう。大いなるとばっちり。貸しをいつ返してくれるんだ…狂気的なこの男に付き纏われシカトも許されねえ。決定的な物証を巡って、ハラハラドキドキ。テニス試合、右に左に打ち合うも上の空。最後は暴走したメリーゴーランドでグルグル取っ組み合いだ。名作ではないけれどお話はなかなか面白いな。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 6点(2021-10-04 01:12:40) |
63.《ネタバレ》 交換殺人がテーマと思っていたが否、勝手にそれを持ちかけられて災難に遭う男の話だった。一方的な殺人に巻き込まれた「ガイの災難」という感じ。 F・グレンジャーの不安そうな表情が「ロープ」同様、うまく活かされている。彼が演じるガイの、母性本能をくすぐるような個性をブルーノは感じたか? マザコンのストーカー男ブルーノが不気味な存在感を示し、バーバラのメガネ姿にミリアムの面影を見る彼は、異常性が端的に表われている。R・ウォーカーが好演。 本来楽しいはずの遊園地が殺人現場になり、メリーゴーランドの暴走が緊迫感を盛り上げるなど、ヒッチコックらしい皮肉が随所にみられる。 【風小僧】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-09-26 14:12:59) |
62.《ネタバレ》 サイコパス氏の不気味な活躍ぶりで、最後まで堪能させてもらいました。 しかしシナリオ的にかなり無理があるような…。結局、サイコパス氏は何がしたかったんでしょうか。少なくとも交換殺人ではなさそう。背景的に嫉妬とか怨恨とか政治がらみとかもなさそう。だとすれば単に主人公への嫌がらせ? 暇つぶし? その意味不明なあたりが、サイコパス氏のサイコパスたるゆえんかもしれませんが。 【眉山】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-08-24 01:47:01) |
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61.《ネタバレ》 ~Strangers on a Train~電車の中の見知らぬ人。邦題のままでよいです。 二人の男の靴(足もと)から始まり、靴がぶつかって話が始まるオープニングがスタイリッシュ。 何度も出てくる小物『ブルーノのタイピン』よりも、この時締めてた可愛いロブスターのネクタイが気になったわ。 テニスコートで一人首を振らないブルーノの不気味さ。 パーティでバーバラ(ヒッチコックの一人娘だったんだ)を視ながらカニンガム夫人の首を絞める異常さ。 証拠のライターで自分のタバコには火を着けるけど、他の人にはわざわざマッチを使う変なこだわり。常人じゃないところが上手く表現できていたと思う。 名前のあるちょい役と思ったヘネシー刑事が、主人公といい感じに友達感を出して、バーバラにもバラバラ殺人のネタ話で怖がらせたりと、とても魅力的なキャラクターになっていた。 アントニー家に侵入。懐中電灯と地図の見せ方はダンジョン感があり、途中の犬も怖くてハラハラ出来る。 高速回転のメリーゴーラウンド。ガイとブルーノの格闘より、下をくぐる刑事さんの方が観てて怖かった。 全体的にゆるい感じはあるけど、ぼや~っと観ているうちに、その世界観に引き込まれる。 ヒッチコック作品は、後年のカラーの方が有名な作品が多い気がするけど、モノクロの方が若干、私自身の評価が甘めになっている気がする。掘り出し物を見つけた感があるからか?単に初期→中期作品のほうが私の好みに近いからか? 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-06-24 23:57:33) (良:1票) |
60.あらが目立って、笑っちゃうような内容だった。もちろん古いって点はあるけど、それだけが理由とは言えないあらも。 後半の展開は当時の観客を楽しませるには良かったかも知れないが、もっと高スピードに慣れた今となっては普通。 ヒッチコック映画は他にいくらでも良いものがあるので、わざわざこれを観ることはおすすめしない。 【くろゆり】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2021-06-23 07:23:38) |
59.《ネタバレ》 ヒッチコック作品には、主人公がとにかく天然というかノーガードな作品がいろいろあって、それが適度にコメディ的に収まっているものもあるんだけど、こういうストーカー系の内容だったら、それがもろに弱点になってしまうのですね。追われる側が何のガードもしてないので、ストーカー側も単なる嫌がらせ男になってしまい、魅力が引き立たないのです。最後の追跡パートも間延びしてしまったと思います。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-06-20 01:42:03) |
58.《ネタバレ》 サイコ野郎につきまとわれる主人公、結果的に彼の殺人によって不倫相手とハッピーエンド! 少し違和感のある設定ながら、映画的には面白い。 何十年前かに観たとき、ヒッチコックの最高傑作かと思ったけど、今観るとそれ程でもないか? 当時はストーカーが珍しかったけど、今や普通にあるもんね。 【とれびやん】さん [インターネット(吹替)] 7点(2021-05-04 10:03:16) |
57.初冬、久しぶりのヒッチコック映画を鑑賞。 列車に乗り合わせた厚かましいくらいにフレンドリーな男が、徐々にその異常な本性を現していく様が怖い。 序盤のシークエンスのみでは、列車内で初めて顔を合わした二人の男のどちらが、この映画の主導権を握っていくのか判別が付きづらい。 というのも、私生活においてトラブルを抱え、明確な「殺意」を表すのは、フレンドリーな“見知らぬ乗客”の方ではなく、主人公のテニスプレイヤーの方であり、彼が激情のあまり殺人を犯してしまうのかとミスリードされる。 しかし、次の展開では、見知らぬ男の方の狂気が、不気味に、淡々と映し出され、主人公と同様に、我々観客も戦慄させられる。 このあたりのストーリーテリングのテンポや間の取り具合が、1950年代の映画としては非常にサスペンスフルで洗練されていると思う。 殺人の舞台となる夜の遊園地や、犯行の瞬間をメガネのレンズ越しに映し出す演出など、流石はアルフレッド・ヒッチコックだと思わせる映画術がしっかりと冴え渡っている。 序盤は「交換殺人」というキーワードを主軸にしたサスペンス映画の様相だったが、男(見知らぬ乗客)の本性が現れてからは、この男がストーカー的に主人公の前に出没し続け、殺人を強要していくスリラー映画として、映画作品自体がその“本性”を現す。 その映画的な塩梅も、古い映画世界に相反するようになかなかフレッシュだった。 テニス会場のラリーの応酬に対して一斉に左右に首を振る観客席の中で、一人微動だにせずこちらを見つめてくる男の不気味さや、ラストの“超高速回転木馬”のスペクタクルに至るまで、終始観客の心理を鷲掴みにして離さないヒッチコック監督の映画づくりを堪能することができた。 そしてその“ラリーの応酬”や、ちょっと“廻りすぎなメリーゴーラウンド”は、映画の中で対峙する二人の男の「運命」を象徴させているようで、そういう隠喩表現も巧みだ。 キャストの中では、サイコパスな殺人者を演じたロバート・ウォーカーがやはり印象的。 非常に真に迫った名演だと思えたのに、名前を聞いたことが無いことを不思議に思ったが、この映画の後に32歳の若さで急死したとのこと。 どうやら少年時代から心に傷を追った生い立ちだったらしく、俳優になった後も妻の不倫やアルコール依存等が重なり、精神的な不安と混乱を抱え続けていたようだ。 そんな彼にとって、この作品の役どころはある意味まさに「適役」だったのだろうが、俳優本人の人生の不遇を思うと複雑な思いにかられた。 【鉄腕麗人】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-12-05 00:58:55) (良:1票) |
56.《ネタバレ》 疑われるとしても素直に警察に行って説明するのが自然だと思うが、話を盛り上げる為に絶対に警察に行かない。 ここに不自然さを感じた。 それがずっと引っかかっていたので、最後まで乗り切れなかった。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2020-09-07 20:44:59) |
55.《ネタバレ》 犯人を知っているけど言えなくて、自分が疑われて追い詰められ、八方塞がりになってしまうというプロットは、同じヒッチコックの「私は告白する」を思い出しました。 でもラストの「ブルーノよりも早く殺害現場に行く」ところが、どうしてその必要があるのか全く理解出来ませんでした。ブルーノが早く着いたところで、今更証拠の偽装工作なんて出来るわけがありません。 (そこに至るまでの、「テニスの試合がなかなか終わらない」、「ライターをドブに落としてしまってなかなか取り出せない」シーンは、焦燥感を煽る上手い演出だと思います。) 背景にあるブルーノの異常性。つまりマザコンで、自我を肥大させまくりの不気味な存在、と描きたかったのでしょうが、役者が悪いのか演出が悪いのか分かりませんが、「サイコ」の主人公と違いさほど異常性が伝わって来ませんでした。 メリーゴーランドのシーンに至っては、クライマックスの緊迫感を煽っているものの、冷静に見ればそんなことをやる必然性はどこにあるのだろう?と思いました。 巧みな演出が随所に見られ、名作と言われる作品ですが、リアリティに欠けるちょっと軽い映画だなと思いました。 【wayfarer】さん [DVD(字幕)] 4点(2020-06-14 02:38:54) |
54.《ネタバレ》 ロバート・ウォーカーの好演と監督の演出の相乗効果でもってブルーノ・アントニーのサイコパスぶりが際立つ。結末を知るのが怖くて手に汗握っていたのが、メリーゴーランドの対決に脱力。「何じゃこれ・・・」そもそもあの場面で発砲する無理筋に白けてしまう。体操競技の着地で尻餅ついたかのような作品。 |
53.《ネタバレ》 ヒッチコック映画の殺人シーンと言えば『サイコ』のジャネット・リー刺殺がもっとも有名だけど、実は彼のフィルモグラフィ中で刺激的で登場回数が多い殺人手段は絞殺ではないかと思います。やはりファーリー・グレンジャーが出演した『ロープ』は絞殺がファースト・カットだったし、『ダイヤルⅯを廻せ!』でのグレース・ケリーが絞殺されかけるシーンのねちっこさは官能的ですらある。そりゃ極めつけは『フレンジー』ですが、ここまで来るとヒッチコックの変態性がもうバレバレです。本作でもブルーノがミリアムやカニンガム夫人の首を絞めるときの表情や演出には時代を感じさせない凄みがあるし、個人的にはノーマン・ベイツよりブルーノ・アントニーの方がよっぽど怖い。演じたロバート・ウォーカーは実生活でも酒乱で奇行がひどかったそうで、撮影終了直後にそれが原因で急死しているという事実もまたゾッとさせられます。プロット自体はヒッチコックお得意の“巻き込まれもの”であるけどそこに“交換殺人”というこれまた推理小説のテーマとしてはありふれた要素をぶち込んでいるのに飽きさせない見せ方、凡庸だったパトリシア・ハイスミスの原作を見事に再生しています。偶然入手したガイのライターを殺害現場に残しておくのが普通ですが、交換殺人のつもりだからガイが疑われてしまっては意味がないので持ち帰ってしまうブルーノ。ところが思惑が外れて今度はガイを逮捕させるために現場に戻ってライターを置きに行くのに大変な苦労をしてけっきょく破滅する、なんとも見事なストーリーテリングであります。映像的にも有名なテニス場観客席のシーンやワシントンで豆粒のような遠景でガイを見つめるところなど、ブルーノの異常性が強調される絵造りが上手い、やはりブルーノ・アントニーはヒッチコックが産み出したキャラでもトップクラスのサイコ野郎です。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-04-21 18:17:57) |
52.《ネタバレ》 見知らぬ乗客同士の計画的交換殺人。思い付きはいいが、かなり条件の揃いにくい題材なのだが、意外にもそのご都合主義はさほど気にならない 両者の同意が得られていない中での提案側の完全な押し売り&勇み足という不完全さが残るため、はぐらかされてしまうらしい 不可逆的な時間の流れで、謎解きの要素は全くなく解り易い。素直だが、質の高いサスペンスだ 何も悪いことはしていないのに、罪を背負わされる。ちょっと妻が邪魔な存在って感じてるだけで少なからず罪の意識に苛まれるのだからすごく巧いお話だ。 知らない奴が勝手に友達宣言して、俺が捕まるときはお前も一緒だから。とか言ってくる。なんとも理不尽な・・・。巧い話だなあ いつもながら画もいい。遠くからこちらを見てるブルーノのシルエット怖すぎ。うまい! ラストにキッチリとユニークな場所でのクライマックス展開を持ってくるのも、お約束ながら感心する。撃ち殺された係員可哀そうすぎるけど。おい警察!その誤射はねえだろ! 途中のテニスの試合とライター溝に落っことしは、ちょっと長すぎてダレるかな あと、もしもリメイクされるなら妹はいなかったことにされるであろうな。ちょっと存在自体が映画的に邪魔 ラストシーンをガイ・ヘインズの緩む口元のアップにしていたらまた違った味わいになっただろうなあ、ていうか得したよね・・・ガイさん 【うまシネマ】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2019-10-10 01:57:11) |