118.《ネタバレ》 ルディの執着は身の程知らずで諦めが悪く危うくも見える。
自分に都合良く解釈するようなところもあり、対象が女性だとしたらストーカーになりそうなタイプ。
その言動が途中まではうっとうしく感じられる。
ところが、あまりにもひたむきで恥も外聞も関係ない情熱に、周りの人間の見る目が変わっていく。
ヘッドコーチにルディの出場を直訴するメンバーは感動もの。
でも、ラストチャンスに出場して、敵の司令塔にタックルを決めるのは、あまりにもできすぎと感じてしまう。
スポーツには感動の実話も多く、事実は小説よりも奇なりというような奇跡もあるのだけれど、映画にしてしまうとなんだか嘘っぽく見えてしまうのが残念。
実際の試合映像も見たが、映画ではルディが一人でQBを倒したように描かれているが、リアルでは二人がかりのタックルで倒している。
実話ベースとはいえ、そうした類の映画的演出はあるのだろう。
それでもルディのあくなき情熱と不屈の魂、果敢な行動力は観る者の心を揺さぶらずにはいられない。
諦めなければ夢は叶うというエネルギーを与えてくれる。
ただ一点、ルディがヘッドコーチ室を訪れて、家族や友人に証明したいからと出場を陳情したのは冷める。
アメリカではプロでも選手が監督に出場を直訴するのはよくあることだが、日本では見苦しく出しゃばりすぎの印象を与えかねない。
結局、そのヘッドコーチが辞任して約束が反故にされたため、最後は自分の力で(仲間の後押しがあったとはいえ)出場できたとも言える。
それでもこれは悪い言い方をするならお情け出場。
そこに賛否両論あるだろうけど、プロの世界ならそんなのありえないものの、大学スポーツを教育の一部と考えるならこういうのもアリかもしれない。
余談だが、ルディ・ルティガーは後年、株価を上げるために虚偽の情報を流したとしてアメリカで話題になった。
目的のためには手段を選ばない。
それが純粋にフットボールの夢だけなら良かったが、金銭が絡んでくると途端に胡散臭い話になってしまう。
光と影。夢のある話が一転せちがらい現実を見せられたようだが、ルディのキャラクターなら十分ありえることに思えてしまう。