6.《ネタバレ》 時代劇だと思って観始めたのに、実は現代劇だったということで、完全に予想を裏切られた。
でも、私は時代劇での雷蔵より、現代劇での雷蔵の方が好きなので、私にとってこれは良い意味での裏切りだった。
本作での雷蔵の役回りは、まさに三島由紀夫の生き写しの様なキャラ。
自分が命を賭けて取り組んだものに挫折を感じたならば、死すことも厭わない。
完全にスポコンものの本作であるので、雷蔵のキャラは熱血だ。
クールな役柄が多い雷蔵なのに、見事に演じきっていた。
しかも、少しも違和感がない。
禁欲主義者で、女性の誘惑に一切乗らない。
女性に乗らないのだ。
こういうキャラを演じても、少しも違和感がないのに、女好きの好色男を演じさせても違和感なくこなす雷蔵は、まさに天才だ。
熱血で禁欲的な男と、クールで女好きの男。
この対極的な男を、完璧に演じ分けることのできる俳優、市川雷蔵。
前にも増してファンになった。
本作は、内容はまずまずのレベルだが、雷蔵ファンなら必見の三隅作品であろう。