8.《ネタバレ》 ロジャー・ムーアの「007」映画を観ようと物色していたら、今作のパッケージが目にとまり、イントロダクションを読む限り面白そうだったので鑑賞に至った。
女嫌い+猫好きという主人公のキャラクター性の妙だったり、作戦実行に至るまでの心理戦を映画の大半に渡って展開させる等、特徴的な面白味はあったと思うが、残念ながらそれらが娯楽性に直結していない印象を受けた。
全体的に説明不足だったり、結局は場当たり的な展開が、興を冷ましてしまったことは否めない。
クライマックスに至るまでずっと百戦錬磨の知将ぶりを誇示する主人公だが、結局お前の作戦“穴”だらけじゃん!と突っ込みを入れたくなってしまった。
自分の部下に敵と間違えられて襲われ、その部下を海にたたき落とすシーンには笑ってしまった。
その他にも、そもそも主人公の私設部隊が、黙々と訓練を繰り返してきた理由は何だったのか?など、根本的な設定に対しても説明がなく、腑に落ちない部分が大きい。
ラスト、実は主人公は犯人一味だったとか、逆転的な展開を用意してほしかったと思う。
主人公の窮地を助ける“少年”役の女優が可愛かった。彼女のキャラクターは、この手のアクション映画において、現場に居合わせた女性キャラが主人公を手助けする活躍を見せるという定番要素の走りだろうか。
また悪役を演じるアンソニー・パーキンスの存在感があり、良かったと思う。
見るべき部分がある映画であることは確かだが、総合的には褒められた映画ではなかった。
さてこのままでは、ロジャー・ムーアに対する印象が悪いので、当初の意向通り「007」を借りに行こう。